首脳会談で握手を交わす石破首相(中央)とトランプ米大統領。左は岩屋外相(7日、ワシントンのホワイトハウス)
=ロイター共同
【ワシントン=黒沼晋】
トランプ米大統領は7日(日本時間8日)の石破茂首相との首脳会談後の共同記者会見で、日本への液化天然ガス(LNG)の輸出を増やすと表明した。首相は「大きな国益だ」と評価した。
日本の対米投資を1兆ドル(およそ150兆円)まで引き上げると明かした。
首脳会談はおよそ30分間で、その後の昼食会も含めて2時間弱にわたり協議した。会談には岩屋毅外相やバンス副大統領らも同席した。
両首脳は米国からのエネルギー調達を拡大すると合意した。共同声明には「米国の低廉で信頼できるエネルギーと天然資源を解き放ち、米国から日本へのLNG輸出を増加する」と盛り込んだ。
トランプ氏は「日本はまもなく歴史に残る記録的な量の米国産天然ガスの輸入を始める」と語った。「アラスカ州の石油・天然ガス事業に関する日米合弁事業について話し合っている」と紹介した。
首相は「トランプ氏の決断を非常に感謝する」と謝意を示した。「日本としてLNGのみならず、バイオエタノールやアンモニアという資源を安定的にリーズナブルな価格で提供される」と話した。
日本の対米投資額の残高は2023年時点で7833億ドル(およそ120兆円)ほどあり、19年以降、5年連続で世界トップを維持する。
首相は首脳会談でいすゞ自動車が「近く米国に工場を建設し、多くの雇用を作ると決定した」と発言した。トヨタ自動車の投資にも触れた。
いすゞは27年に米国でトラックの組み立て工場を建設する。投資額は3億ドル程度(およそ450億円)で、年産能力は5万台程度を見込む。米国では物流の増加によりトラックの需要が伸びている。
両首脳は経済と安全保障で協力を深めると確認した。人工知能(AI)や先端半導体の開発でも協力を進める。
石破茂首相は2期目が始まったアメリカのトランプ大統領と7日に首脳会談に臨みました。アメリカは日本にとって唯一の同盟国で、日本の経済や安全保障にとっても重みのある存在です。トランプ政権とのディール(交渉)への備えは欠かせません。トランプ政権下の日米関係を巡る動きを追います。
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日経記事2025.2.8より引用