オンラインで決算説明会を開く富士フイルムホールディングスの後藤禎一社長(6日)
富士フイルムホールディングスが6日発表した2024年4~12月期の連結決算(米国会計基準)は、純利益が前年同期比4%増の1815億円だった。
同期間として2年連続で過去最高を更新した。半導体関連材料やデジタルカメラの販売が好調だった。一方で中国での医療機器の苦戦の懸念などから、場中の決算発表を受けて株価は下落した。
売上高は8%増の2兆3275億円、営業利益は9%増の2232億円だった。部門別の営業利益では、半導体材料などの「エレクトロニクス」が77%増の590億円と伸びた。
生成人工知能(AI)の駆動に必要になる、先端半導体の製造工程で使われる材料がけん引した。
デジカメやインスタントカメラ「チェキ」などの「イメージング」も29%増の1150億円とけん引した。デジカメは中国市場の若年層向けに販売が伸びた。
一方で、内視鏡などの医療機器を含む「ヘルスケア」部門の営業利益は45%減の328億円と苦戦した。中国市場で医療機器の販売が振るわなかった。
同国政府が病院関係者の贈収賄の摘発など反腐敗キャンペーンを活発化させたことで、調査の対象になることを警戒して高額な医療機器の購入を先送りする動きが出た。
成長分野と位置づけるバイオ医薬品の開発製造受託(CDMO)事業で人員増強などの先行投資がかさんだことも部門の利益を押し下げた。
25年3月期の連結業績見通しは据え置いた。売上高は前期比6%増の3兆1500億円、純利益は3%増の2500億円を見込む。
部門別の営業利益はエレクトロニクスとイメージングで上方修正した一方、医療機器などのヘルスケアは200億円見通しを引き下げた。
同日オンラインで説明会を開いた後藤禎一社長は「(中国の医療機器市場では)中国内で生産するメーカーが推奨される動きが大きくなりつつある」と指摘した。
場中の決算発表を受けて株価は下落し、終値は前日比226円(7%安)の3216円まで下落した。