東京エレクトロンは生成AI向けの装置販売が好調
東京エレクトロンが6日発表した2024年4〜12月期の連結決算は、純利益が前年同期比68%増の4011億円だった。この期間として最高益を更新し、事前の市場予想(QUICKコンセンサス、3799億円)を上回った。
生成AI(人工知能)関連の旺盛な需要を背景に、先端ロジックやメモリー向けなどで半導体製造装置の販売が伸びた。
売上高は38%増の1兆7761億円、営業利益は65%増の5135億円だった。営業利益率は28.9%と前年同期(24.2%)から4ポイント以上上昇した。新規装置の売上高は約1兆3570億円と4割増えた。
このうちDRAM(メモリーの一種)向け装置は6割増の約3990億円、ロジック向けなどは4割増の約8960億円だった。
AIの開発・運用に使うサーバーの投資が活況で増益をけん引した。川本弘常務執行役員は同日の決算説明会で「非常に強いAI向け半導体の需要は引き続き拡大している。
ロジックや広帯域メモリー(HBM)向けの投資が強い」と強調した。
ウエハーに回路を造る「前工程」向け装置の市場は24年に1100億ドル程度(16兆8000億円)で着地したとみる。中国の前倒し投資があり、従来想定を100億ドル上回った。
25年も1100億ドル程度で、中国やパワー半導体への投資が一服するものの、AI向けの成長で補う見通しだ。アセットマネジメントOneの前川文彦氏は「複数の懸念がある中でも24年比横ばいの予想で、安心感のある内容だ」と指摘する。
1月には中国発のAI企業であるDeepSeek(ディープシーク)を巡って、米AI産業の優位が揺らぐとの懸念から半導体関連株が一斉に売られる場面があった。
東エレクの川本氏は「中身は精査中」としつつも、「仮にコストが下がって(AI関連の)市場が広がれば、その面ではポジティブ」と話す。
25年3月期の業績予想は据え置いた。売上高は前期比31%増の2兆4000億円、純利益は45%増の5260億円を見込む。最高益を更新する。