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日本は科学の辺境、再認識して世界に学ぶ シン明治維新

2024-01-14 06:35:08 | 日本・天皇・神道・文化・思想・地理・歴史・伝承


       量子コンピューターの研究をてがける中村泰信氏

 

現代の科学技術を支える多くの源は欧州や米国で育まれた。その知識や情報に乗り遅れた日本は明治維新という変革期に海外に学び、主要国に仲間入りする国になれた。しかし最近の日本の科学研究を巡る状況は暗い話題が圧倒的に多い。様々な問題点を直視し、もう一度海外の優れた仕組みを謙虚に学ぶときではないだろうか。

主要国の中で日本は例外的に研究開発費がほとんど増えていない。科学研究の道に進もうとする若手は少なくなり、国際的なネットワークに加わる研究者の数もどんどん減っている。注目されて引用される論文の世界シェアは当然のように低下する。英科学誌ネイチャーが2023年10月25日付で「日本の科学はもはや世界クラスではない」とする記事を取り上げるなど、その深刻さは世界の共通認識になりつつある。

 

新型コロナウイルスの感染予防で一躍名をはせたワクチンの開発で日本は大きく出遅れ、すべて海外製品に依存した。官民あげて開発を目指した航空機も、認証が得られないという厚い壁もあって実現できずプロジェクトは中止した。

人工知能(AI)研究で注目される大規模言語モデルでは、米アルファベットマイクロソフトなどの大手企業が主役となっている。その中核技術である「ニューラルネットワーク」の原型は1980年ごろに日本で生まれたが、AI研究が冬の時代を迎えると継続できず、生成AIが大きく花開いた現在、出る幕もない。科学を基盤とする実用技術は幅広く、おろそかにはできない。

 

総崩れではない点が目を曇らせてしまう。ノーベル賞を代表に研究成果をたたえる顕彰で日本の科学者が選ばれ、もう20年も30年も前の研究であった経緯には関係なく、まだトップに立っているかのような心地に浸ってしまう。炭素繊維や半導体用絶縁フィルムなど世界の企業が太刀打ちできない最先端の材料なども日本に多くあり、危うい基盤には目を向けず「大丈夫だ」と次への備えを怠ってしまう。

量子コンピューターはどうだろうか。文部科学省の審議会で量子情報処理に関する日本の戦略が議論されていた2016年、中村泰信・東京大学教授は「辺境でもある日本は独自の視点・アイデアがあり強みだ」と持論を語った。

 

量子物理学は20世紀初頭に欧州で発展した。そのコンピューター応用で中村教授らが在籍していたNECが1999年、最初の素子開発に成功した。その後あまり進展はみられなかったが、いまは主要な国が企業と手を組んで将来の覇権をねらって研究開発が盛り上がっている。

この分野で日本は確かに人材の層が薄い。言語や地理的に欧米と距離があり弱点だが、中村教授は日本には材料や実装の技術に強みがあり若手も優秀で、量子コンピューター研究に挑む価値はあると説いた。

 

日本の科学研究力が低下し続けている課題は議論されてきた。新たな明治維新という気概で立て直さなければいけない。


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