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上場企業、25年3月期は4%減益予想 中国・欧州減速警戒

2024-05-15 18:13:50 | 日本経済・金融・給料・年金制度


2025年3月期について、企業の業績見通しは慎重だ(決算発表がピークを迎えた東証)

 

上場企業が業績の先行きに慎重姿勢を強めている。2025年3月期の純利益は前期比4%減と5年ぶりの減益を予想する。

製造業を中心に中国や欧州の需要が鈍り、販売が伸び悩む。相場の動向が見通しにくく、想定為替レートを実勢より円高にすることも要因だ。

 

成長分野への先行投資や、製品やサービスの価値向上による値上げが進められるかが課題となる。



 

上場する3月期企業の決算が15日に出そろった。日本経済新聞が東証プライム上場企業(親子上場の子会社など除く)のうち、前期と比較可能な約1070社を集計した。

24年3月期の純利益合計は前の期比18%増の45兆3000億円と3年連続で過去最高となった。製造業が22%増、非製造業が14%増だった。自動車を中心とした生産回復や為替の円安が利益を押し上げた。

 

25年3月期は製造業、非製造業ともに4%減益となる。全体の増収率は2%と前期より4ポイント低下し、うち製造業は4ポイント減の3%にとどまりそうだ。

企業が減益を見込む要因は3つある。1つは中国や欧州を中心とした海外の景気減速だ。日本製鉄の今期の純利益は3000億円と45%減を見込む。

 

大きな要因は中国で、不動産不況を受け鋼材の需要が振るわない。余った中国産の鋼材が低価格でアジアに流出し、利益率が低下する。今井正社長は「世界の鉄鋼市場に影響する中国で需給が緩和し、未曽有の厳しさが継続する」と警戒する。

ファナックはロボット部門の受注が落ち込み、19%減益を想定する。中国で政府の補助金が終了し、電気自動車(EV)関連の投資が鈍るためだ。

 

欧州は金融引き締めが景気に影を落とす。コマツは油圧ショベルなど主要建機について、欧州向けの需要が前期に比べ5〜10%減る見通しだ。純利益は3470億円と12%減を見込む。

 

 

 

 

2つめの要因は、外需型企業を中心に利益を押し上げた円安効果の剝落だ。

4月以降は1ドル=150円を超えて推移するが、今期は1ドル=140〜145円を想定する企業が多い。米国の利下げ観測や政府・日銀の市場介入への警戒感を背景に、4〜5月にかけ円は対ドルで乱高下する場面もあった。一段の円安を前提にした事業計画は立てにくい環境にある。

 

ホンダは今期の前提を1ドル=140円とする。藤村英司最高財務責任者(CFO)は「少し保守的だが上期は145円、金利環境から下期に向け135円くらいになるのでは」と話す。

EVとの価格競争による中国の持ち分法適用会社の業績悪化も考慮し、今期は10%減益を見込む。

 

ソニーグループも為替レートを前期並みとし、前期に営業利益で1000億円以上あった増益効果を見込まない。

 


ホンダは25年3月期の想定為替レートを1ドル=140円に設定した(4月、北京市)

 

成長持続へ、先行してコストを増やす企業も少なくない。これが3つめの要因だ。

人手不足への対応や、人工知能(AI)関連をはじめとする新たな収益源の深掘りへ、人件費や研究開発の費用を上積みする動きが出ている。

 

今期28%の最終減益を見込むトヨタ自動車は、仕入れ先の賃上げ分の一部肩代わりを含めた人件費の増加が営業利益を3800億円押し下げる。

EVやソフトウエアへの投資も3200億円の営業減益要因となる。佐藤恒治社長は「(将来の成長に)必要なお金と時間は使う」と強調する。

 

74%の減益を見込むロームは、炭化ケイ素(SiC)製パワー半導体の増産に向けた新工場の減価償却費や研究開発費がかさむ。

増収を見込みにくく、費用が増えやすい現状では企業の競争力の差が鮮明となりそうだ。三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏は「賃上げをした分、値上げもできるといった個社の競争力や戦略がより問われる局面になる」と指摘する。

 

米国の景気が底堅さを維持するなか、トヨタ自動車は強みを持つハイブリッド車(HV)が好調で、北米市場の連結販売台数を2%伸ばす。

味の素は今期9%の最終増益を計画する。主力の調味料・食品事業は調理のしやすさや種類の多さなどを強みに高いシェアを持ち、国内外で値上げを進める。

 

価格を引き上げても販売量が伸びる調味料もある。藤江太郎社長は「高い価値を反映できる商品も開発しつつ、(容量の増加や包材の工夫で)安価な商品も展開する」と話す。

企業業績が伸びにくいとの見方から、一時4万円を超えた日経平均株価は上値が重い。市場では「会社の予想は保守的。

 

今期もまだ増益基調とみる投資家は多い」(野村証券の神谷和男氏)との声が上がる。

24年3月期も期初時点で3%だった増益率は、最終的に18%まで伸びた。今期も為替動向を含め、業績の上振れ余地は残る。

(野口和弘)

 

 

 
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