決選投票で自民党の新総裁に選出され、拍手に応える石破茂氏(27日、党本部)
自民党は27日投開票の総裁選で石破茂氏を第28代総裁に選んだ。
1回目の投票で過半数を得られず、上位2人による決選投票で215票を得て高市早苗氏に勝利した。
10月1日召集の臨時国会で岸田文雄首相の後継として第102代首相に指名される見通しだ。
(号外)自民党総裁に石破茂氏
新しい自民党総裁に就いた石破氏は決選投票後の両院議員総会で「笑顔で暮らせる安全安心な国にするために全身全霊を尽くす」と述べた。
石破氏は党役員や閣僚の人事に着手する。週明けに新しい党執行部を始動させ、臨時国会初日の10月1日の首相指名選挙を経て、新内閣を発足させる見通しだ。
総裁選には過去最多の9人が立候補した。1回目の投票は国会議員票368票と同数の党員・党友票の計736票で争った。議員票と党員票のトップはそれぞれ小泉進次郎氏と高市氏だった。
高市氏は議員から72票、党員から109票の計181票を得た。石破氏はそれぞれ46票、108票の計154票で2位。小泉氏は75票と61票の計136票を獲得した。
決選投票は議員票368票と都道府県連の47票の計415票で競った。石破氏の215票に対し高市氏は194票だった。
自民党内で衆院選に関し、最短で10月15日公示ー27日投開票の日程が取り沙汰されている。新政権の発足に伴い、おおむね20%台に低迷してきた自民党支持率がどれほど上がるかが解散のタイミングに影響する公算が大きい。
石破氏は衆院選の前に有権者に判断材料を提供すべきだと提起してきた。衆参両院本会議での所信表明演説、代表質問に加え予算委員会で与野党論戦する考えを示す。解散前の党首討論の可能性にも言及したこともある。
当面は党派閥の政治資金問題を受けて広がった政治不信の払拭が課題になる。
石破氏は初代の地方創生相を務め、地方経済の再生を主張する。東京一極集中の是正のため地方への企業進出を促す制度を唱える。災害に対応する「防災庁」を26年度中に設け、将来的に「防災省」に格上げする方針だ。
首相就任後の3年間でデフレ完全脱却の達成を訴える。最低賃金を2020年代に全国平均で1500円に引き上げることを目標とする。
25日の記者会見では「岸田政権の取り組みを引き継ぐ」と表明し、物価高を上回る賃上げの実現といった経済政策を踏襲する意向だ。
一部企業への法人増税や金融所得課税の強化に意欲を示す。新NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を対象とすることは否定した。
外交分野ではアジア版の北大西洋条約機構(NATO)をつくる構想を披露した。
新総裁の任期は2027年9月までの3年間となる。党則は1期3年、連続3期9年までと定める。
日経記事2024.09.27より引用