日本郵船が運航していた自動車輸送船「ギャラクシー・リーダー」がフーシによって拿捕された=ロイター
日本郵船がチャーターした自動車輸送船がイエメンの武装戦力「フーシ」に紅海で拿捕(だほ)されてから19日で1年を迎えた。
拿捕された船や乗組員はいまだに拘束されたままで解放の道筋も見えない。フーシの攻撃を避けるため、アフリカ南端の喜望峰回りの航路が新たな常態となっている。
「1年たってもいまだ解放されないのが非常につらい」。日本郵船の曽我貴也社長は8日、日本経済新聞の取材にこう述べた。
2023年11月19日昼、英社から日本郵船がチャーターした自動車輸送船「ギャラクシー・リーダー」がイエメン沖の紅海を航行中にイスラム組織ハマスに連帯を示すフーシによって拿捕された。
外国人の乗組員25人と船は今も解放されていない。
曽我社長は「日本政府や多くの乗組員の出身地であるフィリピン政府、国際海事機関(IMO)を含め、解放に向けて様々な努力をしたがいまだに解決しない」と語る。
日本郵船の曽我社長
中東情勢は悪化の一途をたどる。23年10月に始まったイスラエルとハマスの武力衝突はレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラやイランまで飛び火した。
曽我社長は「客観的に見れば(人質や船の)早期解放は達成される可能性は非常に低いだろう。イスラエルとフーシが拳を下ろす状態を作り出すことは最も重要だが、相当政治的な話で我々が直接タッチすることはできない」と話す。米大統領選でトランプ前大統領が再選したことで「この状況が良くなるか悪くなるかを見定めたい」とする。
フーシの商船攻撃は今なお続き、日本郵船や商船三井、川崎汽船は24年1月から全ての船で紅海を避けてアフリカ南端の喜望峰回りルートを採る。
アジアと欧州間の輸送日数は2週間ほど増えたが安全を前に背に腹は代えられない。
川崎汽船の明珍幸一社長(日本船主協会会長)は「喜望峰経由となり自動車輸送船は6%程度、コンテナ船は9%程度供給を絞る方向に影響が出ている」と語る。
23年10月のイスラエルとハマスの武力衝突後、当初は急上昇した海上運賃は足元では落ち着きつつある。
過去1年間の上海〜欧州間の20フィートコンテナ1つあたりの運賃は7月12日の5051ドルをピークに11月15日は2512ドルまで下落した。
曽我社長は「当初はサプライチェーンの変更で混乱したが、今はその状態が普通となった。むしろ(足元の運賃下落は)荷物が減っている方の影響が強いのではないか」と語る。
イスラエル軍は2024年10月1日、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラに対し、イスラエルと国境を接するレバノン南部で「限定的」な地上攻撃を始めたと発表しました。
その後、イスラエル軍は、イランがイスラエルに向けて同日にミサイルを発射したと発表しました。最新ニュースと解説記事をまとめました。
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