マンハッタン中心部ブライアント公園に集まったデモ隊(26日、ニューヨーク)
国連総会の一般討論演説などのため、イスラエルのネタニヤフ首相やパレスチナのアッバス議長が相次ぎ米ニューヨーク市を訪問している。
26日にイスラエルに抗議する大規模な反戦デモが開かれ、一部参加者が排除される事態も発生した。警察が大幅に警備を強化し、市内は厳戒態勢に包まれている。
アッバス議長は26日午前、国連で演説した。ネタニヤフ首相も27日の演説に備えて26日、ニューヨーク入りした。
24日からの首脳演説期間中、ウクライナのゼレンスキー大統領を含め戦時下にある各国の首脳が同市を訪れている。
中東首脳らの来訪に合わせて、市内ではイスラエルを批判する大規模なデモが発生した。
マンハッタン中心部のビジネス街にあるブライアント公園で午後3時に始まった集会には、千人以上とみられる市民が殺到した。公園外の歩道にも参加者があふれ、ヘルメットをかぶった警官が監視にあたった。
反戦デモに集まった参加者が周辺道路まであふれ出た(26日、ニューヨーク)
2023年10月にガザ地区での戦闘が始まると、イスラエルによる攻撃で市民の間に多数の犠牲者が発生したことに抗議する反戦デモが全米各地で発生した。
ニューヨークでは今年4月、コロンビア大の構内を学生らが占拠する事件も起き、近年になく抗議活動が活発化している。
26日のデモに参加した30代の米国人女性は「武器などを供給してイスラエルを支持する米国に失望している」と憤りをあらわにした。
ユダヤ系だという別の女性(72)も「ネタニヤフ氏はパレスチナの人々を破滅させることに専念している」と語った。
国連本部の近くでも抗議が見られた。両親がパレスチナ出身だという米国人女性は「いまもパレスチナに家族や親戚がいる中でイスラエルによって占拠され続けているのは心が痛む。
パレスチナが解放されるまで抗議し続ける」と話した。
同日午前には、パレスチナ側を支持する団体がネタニヤフ首相の市内入りを阻もうと幹線道路を占拠。
警官隊が参加者を拘束し、強制排除する場面もあった。
グランドセントラル駅の前では道を挟んで親パレスチナ派と親イスラエル派が対峙した。
不動産業を営むユダヤ系の男性は「この戦争を始めたのはハマスとヒズボラであって我々ではない。イスラエルは彼らが降伏するまで戦闘を続けるべきだと思う」と話した。
首脳演説の期間中は国連本部周辺は市警が道路を封鎖した(25日、ニューヨーク)
ニューヨーク市警は市内各所の警備を大幅に強化した。
国連本部周辺やイスラエル総領事館周辺では道路を封鎖し、国連関係以外の車両の通行を制限する措置をとった。
鉄道ターミナルなど公共施設にも警官の配置を増やしている。騎馬警官らが終日市内をパトロールする姿もみられる。
アッバス議長は26日の演説で「ガザで起きているジェノサイド(大量虐殺)に世界中で抗議し、パレスチナ人の権利を支持している人に感謝している。デモに参加している米国民もいることを認識し、感謝している」と述べた。
(ニューヨーク=弓真名、吉田圭織、佐藤璃子、三島大地)
パレスチナのイスラム組織ハマスが2023年10月7日、ロケット弾や戦闘員の侵入によってイスラエルへの大規模な攻撃を仕掛け、イスラエルが報復を開始しました。最新ニュースと解説記事をまとめました。
日経記事2024.09.27より引用