3日目からの続きです。
● ふたたび滋賀へ
最終日のこの日は、宇治から京都を経由して、2日目と同じ琵琶湖線に乗りました。
前回の近江八幡ほど遠くまで行かず、石山駅で降ります。
この日、まず向かうのは、西国第12番札所の岩間寺。
このお寺にたどり着くには山を1時間登らなくては行けません。
えっ、またもや?
いえ、ここには毎月17日だけ、お寺直行のシャトルバスが4往復します。
これに乗らない手はありません!
ただ、チャンスは月に一度きり。
17日が入る三連休ということで、今回の旅程が決定しました。
今年は6月、7月、9月、12月が該当しますが、雨がちの6月と寒い12月はパス。
7月の方が9月よりも暑くなさそうだと思って決めましたが、連日30度越えの猛暑が続いて、当てが外れたようです。
この日も朝から暑い一日が始まっています。
目下放送中のKBS京都テレビ「西国三十三所 観音巡礼 祈りの旅」の番組で、ちょうど岩間寺が紹介されたばかり。
(17日のことを知った人たちで、もしかするとバスが混んでしまうかも)と思い、一番最初の便で行くことにしました。
● 待てども来ぬバス
バスの時間20分前に駅に着き、駅員さんに岩間寺行きのバスの発着場を聞きました。
教えてもらった場所に行きますが、待てど暮らせどバスはやってきません。
ほかに乗客らしき人の姿も見かけないので、なんだかおかしいなと思います。
近くに停まっているホテルシャトルバスのドライバーに聞いてみると「ここでは見たことない」とのこと。
再び駅舎に入って、駅員さんに確認しましたが、「そちらの口としか聞いていません」とのこと。
うーん?
もう発車時間まで5分を切ったので、やはり最初の場所で待ってみましたが、時間になってもバスはやってこず、何の変化もありませんでした。
日にちを間違えたわけでもないし、やっぱり様子が変です。
念のために、反対側の口に行ってみると、「岩間寺行きシャトルバスはここではありません」という立て看板があります。
(そうでしょう)と思いましたが、その下にあった地図は、私が待っていた所とは全然違う場所でした。
うそー、なんてことでしょう。
● 長い待ち時間
発車時間から遅れること10分。地図の示す場所に着いた時には、8:30発の最初の便はもう出発していました。
バスは待っていましたが、それは10:05発の次の便。
発車時間までの1時間半近く、バスの中でじっと待つことになりました。
こうならずに済まなかったものかと、あれこれ反省しますが、こうなった以上はもう仕方がありません。
人生、あきらめも肝心です。
まあでも、いいこともあります。前の便が行ったばかりなので、席はガラ空きで、好きな場所に座れました。
炎天下ではなく、冷房の入ったバスの中で待てるだけマシです。
早起きしたので、じきに眠ってしまい、時計をにらみながらじりじりと待つこともありませんでした。
ふと目覚めると、いつの間にかバスは満席になっており、立ち客でぎゅうぎゅうになっていました。
乗れない人は、次の便に。思った通り、乗客が多くて激混みです。
最初の便に乗れたとしても、押すな押すなのバスの中で立つことになり、周りに足を踏まれながら不快な思いをしたかもしれません。
ようやく時間になり、バスが動き出しました。
バスに揺られながらうつらうつらしているうちに、お寺に着いていました。
前日から、移動中寝ていて記憶がないというパターンが続いています。
● 西国第12番 岩間寺
前の方の座席だったので、早めにバスから降りました。
参道には仏像やお堂が立ち並び、みんながそこここに立ち寄る中、私は寄り道をせずにまっすぐ本堂を目指していきます。
参拝をして、御朱印をお願いしました。
満員のバスに乗ってきた乗客のほとんどが御朱印をいただくだろうと考えて、迅速行動をとってみたところ、予想が当たって、みるみるうちに後ろに御朱印待ちの長蛇の列ができました。
17日が法要日なので、本堂内ではお坊さんが朗々と読経しています。
お堂の中に上がって、般若心経を一緒に読み上げました。
その後、周囲の不動堂などを巡ります。
● あの古池がここに
ここは、松尾芭蕉の“古池や蛙飛び込む水の音”の俳句で読まれた古池なんだそう。
あの古池のモデルになった池があったなんて。
池はもっと小さく丸くて、小さな音が「ぱちゃん」と聞こえたのだろうと想像していましたが。
ということは、俳句のカエルはアオガエルじゃなくてガマガエルとか?(どうでもいいか)
● ぼけ封じ観音
岩間寺は、ぼけ封じ近畿十楽観音の一つ。
優美な姿のぼけ封じ観音像がありました。
ぼけませんようにと、熱心に拝みます。
誰にとっても切実な願いらしく、ぼけ封じ観音の周りは人だかり。
ほかの人にも大人気でした。
観音像の足元に、足の形が描かれた佛足石がありました。
佛足石の下に、ぼけ封じ近畿十楽観音の10のお寺の砂が埋められているとのこと。
佛足石を踏むことで、十寺のお砂を踏むこととなり、全てのお寺に参拝したのと同じ功徳があるようです。
どこかで佛足石を見かけても、いつも「は~」と眺めるだけで、自分が踏んでいいものとは思っていなかったので、ちょっとためらいます。
バチが当たらないのかな?
それでも「どうぞ」と書かれているので、「しからば」と足を載せました。
こちらも、参拝者たちに大人気でした。
ほかにも「長寿水」や「厄除水」と言われる霊水が湧いていたり、「白姫龍神」を祀った磐座があったりと、なかなか見どころの多い境内。
先ほどは、本堂まっしぐらだったので、帰りの道すがら、あちこちに足を停めて見学しました。
そうしてお寺の駐車場に戻り、停まっているバスのところに戻りました。
スタートが早かった分、行きのバスで一緒だったほかの人々よりも戻りが早く、当初乗る予定だった始発のバスの復路便に乗れました。
これで長尻をつけられたわ。ギリギリに乗り込んだので、今度は混んでいる車内で揺られながら立っていきます。
● 西国第13番 石山寺
石山駅に戻る途中、石山寺大門前でバスを降りると、ほかにもけっこう大勢の人たちが降りました。
ぞろぞろと大人数で、堂々とした立派な仁王門をくぐります。
緑もみじの参道を通ると、そよ風が吹き抜けるようで、清々しい気持ちになります。
石山寺は、女性らしい瀟洒なお寺。
この旅で初めて、特に苦労することなくたどり着けたわー!
でも安心していたら、境内に入ってから心臓破りの急な石段が67段のありました。
みんな手すりにつかまって、一生懸命登っています。
やっぱり気が抜けません。
● 三十八代の天皇
苔が美しい三十八所権現社。
日本古来の神々と、神武天皇から天智天皇までの38代の天皇を祀っているところからだそうです。
三十八はどこから来たんだろうと思ったら、歴代天皇の数だったんですね。
苔むした大岩に囲まれたお社にはとてもたどり着けなさそうに思えますが、横から見たらちゃんと道がありました。
境内にはごつごつした大きな岩が数多くあります。
これは硅灰岩(けいかいいわ)という、天然記念物に指定されている石。
元は石灰岩で、硅灰石に変質すること自体珍しく、これほど大きなものがゴロゴロと集まっているのは貴重なんだそうです。
● 紫式部とMURASAKI
本堂は国宝で県内最古の木造建築物。
外は一面の緑で、森の中に立つお寺という感じです。
紫式部がこのお寺に参篭した折に『源氏物語』の構想を得たとされています。
本堂には「紫式部の間」があり、源氏物語を執筆中の等身大の紫式部の御所人形がいました。
人形は有職御人形司 十世 伊東久重の作。
そのそばにはロビィ君の女の子版のロボット。
MURASAKIという名で、作者は高橋智隆。
源氏物語の導入部を語るそうです。
古風な注意書きの下には、英語表記のポスター。
海外にはレディ・ムラサキとして知られているんですね。
その他にも、『蜻蛉日記』『更級日記』『枕草子』といった著名な文学作品に登場しているというこのお寺。昔から有名で人気があったんですね。
境内を散策すると、木々を抜ける爽やかな風が吹いてきて気持ちいいです。
建物の下には、安産石がありました。
座ってきましたよ、いろいろな産みの苦しみが軽くなるように!
● 最古の多宝塔
現存する日本最古の多宝塔。国宝です。
桧皮葺の屋根が美しく、立派。多宝塔の中でも最も美しいと言われているとのこと。
内部には快慶作の大日如来像が安置されているそう。
こちらも桧皮葺の屋根の鐘楼。
青もみじの中で、絵になりますね~。秋の紅葉もきれいでしょう。
朱塗りの心経堂は、花山法皇が西国三十三所霊場巡礼を世に広めてから千年経った記念に建てられたもの。
花山法皇ご自身が納経した般若心経写経が納められているそうです。
経蔵の脇には紫式部の供養塔と芭蕉の句碑が並んでありました。
供養塔と句碑が一緒に並んでいるというのがちょっと不思議。
紫式部と小野篁の供養塔が並んである京都のお寺で、「紫式部が物語を作って世の人々を迷わせた罪で地獄に落ちないように、小野篁と一緒に祀っている」と聞いているため、ここでは芭蕉とペアになったのかしら?と思います。
でもここは単に、どちらも文学者というくくりなんでしょう。
● 石山の秋月
お寺は高台になっており、琵琶湖から流れる瀬田川がすぐ近くに見えます。
月見亭という建物から望む眺めは「石山の秋月」として、近江八景の一つとされています。
休憩所でちょっとひと休み。
自動販売機には、やっぱり紫式部が描かれていました。
お寺からの帰り道、参道の灯篭に刻まれていた花山法王の名前に目が留まりました。
法王が西国観音霊場を中興した1000年記念に、お寺の一番偉い僧侶が寄進したそう。
きっと、心経堂の建立に合わせてのことでしょう。
● 大津市のマンホール
わーキレイ、わーステキと、久しぶりに観光気分でお参りできたお寺。
参拝を終えて、仁王門を出て歩き出しました。
石山寺を出たところで見つけた、大津市のマンホール。
なんだかとっても楽しそう。
描かれているのは、大津市の景観をモチーフにした、琵琶湖、琵琶湖大橋、ミシガン船、ヨット、観覧車、 ユリカモメ(市の鳥)、エイザンスミレ(市の花)、ヤマザクラ(市の木)、 花火大会、レガッタ、びわ湖花噴水、犬などに、市章に下水の「下」を組み合わせたマークだそうです。
詰め込んでますね~!
描かれている白い犬は、市制100周年記念イベントキャラクターのもも(百)ちゃん。
そして片手が赤いのは、「ワン・ハンド・レッド」の洒落なんですって!!大津スゴイ!
7月にして、もう桔梗が咲いていることにびっくり。
アジサイがまだところどころで咲き残っているので、遅い夏と早い秋の花を一度に楽しめます。
● 京阪・地下鉄・また京阪
川沿いの道をてくてく歩いて、10分ほどで京阪石山寺駅へ到着。
次に向かうのは、京都の醍醐寺です。
JRの石山駅まで戻ろうと思いつつ、京都駅に出るとお寺のある醍醐駅までのアクセスが難しいので、どうしようかと考えていました。
路線図を見てみると、ここから石山坂本線に乗り、京阪京津線に乗り換えると地下鉄に接続することが判明。
それならスムーズに行けそうです。
丸みを帯びたレトロな車内。
乗客も少なく、落ち着きます。
2両のかわいい京阪電車に乗れて、ごきげん。
初めての路線なので、なじみのない駅を通っていき、どの辺りを走っているのか、あまり把握できていません。
路線図を見ると、京阪が通らない区間があり、途中から地下鉄に変わって、再び京阪本線に戻っています。
交通ICカードが普及する前は、精算が大変だったでしょうね。
この旅で残すところ、あと一つ。京都の醍醐寺へ。
その2に続きます。
● ふたたび滋賀へ
最終日のこの日は、宇治から京都を経由して、2日目と同じ琵琶湖線に乗りました。
前回の近江八幡ほど遠くまで行かず、石山駅で降ります。
この日、まず向かうのは、西国第12番札所の岩間寺。
このお寺にたどり着くには山を1時間登らなくては行けません。
えっ、またもや?
いえ、ここには毎月17日だけ、お寺直行のシャトルバスが4往復します。
これに乗らない手はありません!
ただ、チャンスは月に一度きり。
17日が入る三連休ということで、今回の旅程が決定しました。
今年は6月、7月、9月、12月が該当しますが、雨がちの6月と寒い12月はパス。
7月の方が9月よりも暑くなさそうだと思って決めましたが、連日30度越えの猛暑が続いて、当てが外れたようです。
この日も朝から暑い一日が始まっています。
目下放送中のKBS京都テレビ「西国三十三所 観音巡礼 祈りの旅」の番組で、ちょうど岩間寺が紹介されたばかり。
(17日のことを知った人たちで、もしかするとバスが混んでしまうかも)と思い、一番最初の便で行くことにしました。
● 待てども来ぬバス
バスの時間20分前に駅に着き、駅員さんに岩間寺行きのバスの発着場を聞きました。
教えてもらった場所に行きますが、待てど暮らせどバスはやってきません。
ほかに乗客らしき人の姿も見かけないので、なんだかおかしいなと思います。
近くに停まっているホテルシャトルバスのドライバーに聞いてみると「ここでは見たことない」とのこと。
再び駅舎に入って、駅員さんに確認しましたが、「そちらの口としか聞いていません」とのこと。
うーん?
もう発車時間まで5分を切ったので、やはり最初の場所で待ってみましたが、時間になってもバスはやってこず、何の変化もありませんでした。
日にちを間違えたわけでもないし、やっぱり様子が変です。
念のために、反対側の口に行ってみると、「岩間寺行きシャトルバスはここではありません」という立て看板があります。
(そうでしょう)と思いましたが、その下にあった地図は、私が待っていた所とは全然違う場所でした。
うそー、なんてことでしょう。
● 長い待ち時間
発車時間から遅れること10分。地図の示す場所に着いた時には、8:30発の最初の便はもう出発していました。
バスは待っていましたが、それは10:05発の次の便。
発車時間までの1時間半近く、バスの中でじっと待つことになりました。
こうならずに済まなかったものかと、あれこれ反省しますが、こうなった以上はもう仕方がありません。
人生、あきらめも肝心です。
まあでも、いいこともあります。前の便が行ったばかりなので、席はガラ空きで、好きな場所に座れました。
炎天下ではなく、冷房の入ったバスの中で待てるだけマシです。
早起きしたので、じきに眠ってしまい、時計をにらみながらじりじりと待つこともありませんでした。
ふと目覚めると、いつの間にかバスは満席になっており、立ち客でぎゅうぎゅうになっていました。
乗れない人は、次の便に。思った通り、乗客が多くて激混みです。
最初の便に乗れたとしても、押すな押すなのバスの中で立つことになり、周りに足を踏まれながら不快な思いをしたかもしれません。
ようやく時間になり、バスが動き出しました。
バスに揺られながらうつらうつらしているうちに、お寺に着いていました。
前日から、移動中寝ていて記憶がないというパターンが続いています。
● 西国第12番 岩間寺
前の方の座席だったので、早めにバスから降りました。
参道には仏像やお堂が立ち並び、みんながそこここに立ち寄る中、私は寄り道をせずにまっすぐ本堂を目指していきます。
参拝をして、御朱印をお願いしました。
満員のバスに乗ってきた乗客のほとんどが御朱印をいただくだろうと考えて、迅速行動をとってみたところ、予想が当たって、みるみるうちに後ろに御朱印待ちの長蛇の列ができました。
17日が法要日なので、本堂内ではお坊さんが朗々と読経しています。
お堂の中に上がって、般若心経を一緒に読み上げました。
その後、周囲の不動堂などを巡ります。
● あの古池がここに
ここは、松尾芭蕉の“古池や蛙飛び込む水の音”の俳句で読まれた古池なんだそう。
あの古池のモデルになった池があったなんて。
池はもっと小さく丸くて、小さな音が「ぱちゃん」と聞こえたのだろうと想像していましたが。
ということは、俳句のカエルはアオガエルじゃなくてガマガエルとか?(どうでもいいか)
● ぼけ封じ観音
岩間寺は、ぼけ封じ近畿十楽観音の一つ。
優美な姿のぼけ封じ観音像がありました。
ぼけませんようにと、熱心に拝みます。
誰にとっても切実な願いらしく、ぼけ封じ観音の周りは人だかり。
ほかの人にも大人気でした。
観音像の足元に、足の形が描かれた佛足石がありました。
佛足石の下に、ぼけ封じ近畿十楽観音の10のお寺の砂が埋められているとのこと。
佛足石を踏むことで、十寺のお砂を踏むこととなり、全てのお寺に参拝したのと同じ功徳があるようです。
どこかで佛足石を見かけても、いつも「は~」と眺めるだけで、自分が踏んでいいものとは思っていなかったので、ちょっとためらいます。
バチが当たらないのかな?
それでも「どうぞ」と書かれているので、「しからば」と足を載せました。
こちらも、参拝者たちに大人気でした。
ほかにも「長寿水」や「厄除水」と言われる霊水が湧いていたり、「白姫龍神」を祀った磐座があったりと、なかなか見どころの多い境内。
先ほどは、本堂まっしぐらだったので、帰りの道すがら、あちこちに足を停めて見学しました。
そうしてお寺の駐車場に戻り、停まっているバスのところに戻りました。
スタートが早かった分、行きのバスで一緒だったほかの人々よりも戻りが早く、当初乗る予定だった始発のバスの復路便に乗れました。
これで長尻をつけられたわ。ギリギリに乗り込んだので、今度は混んでいる車内で揺られながら立っていきます。
● 西国第13番 石山寺
石山駅に戻る途中、石山寺大門前でバスを降りると、ほかにもけっこう大勢の人たちが降りました。
ぞろぞろと大人数で、堂々とした立派な仁王門をくぐります。
緑もみじの参道を通ると、そよ風が吹き抜けるようで、清々しい気持ちになります。
石山寺は、女性らしい瀟洒なお寺。
この旅で初めて、特に苦労することなくたどり着けたわー!
でも安心していたら、境内に入ってから心臓破りの急な石段が67段のありました。
みんな手すりにつかまって、一生懸命登っています。
やっぱり気が抜けません。
● 三十八代の天皇
苔が美しい三十八所権現社。
日本古来の神々と、神武天皇から天智天皇までの38代の天皇を祀っているところからだそうです。
三十八はどこから来たんだろうと思ったら、歴代天皇の数だったんですね。
苔むした大岩に囲まれたお社にはとてもたどり着けなさそうに思えますが、横から見たらちゃんと道がありました。
境内にはごつごつした大きな岩が数多くあります。
これは硅灰岩(けいかいいわ)という、天然記念物に指定されている石。
元は石灰岩で、硅灰石に変質すること自体珍しく、これほど大きなものがゴロゴロと集まっているのは貴重なんだそうです。
● 紫式部とMURASAKI
本堂は国宝で県内最古の木造建築物。
外は一面の緑で、森の中に立つお寺という感じです。
紫式部がこのお寺に参篭した折に『源氏物語』の構想を得たとされています。
本堂には「紫式部の間」があり、源氏物語を執筆中の等身大の紫式部の御所人形がいました。
人形は有職御人形司 十世 伊東久重の作。
そのそばにはロビィ君の女の子版のロボット。
MURASAKIという名で、作者は高橋智隆。
源氏物語の導入部を語るそうです。
古風な注意書きの下には、英語表記のポスター。
海外にはレディ・ムラサキとして知られているんですね。
その他にも、『蜻蛉日記』『更級日記』『枕草子』といった著名な文学作品に登場しているというこのお寺。昔から有名で人気があったんですね。
境内を散策すると、木々を抜ける爽やかな風が吹いてきて気持ちいいです。
建物の下には、安産石がありました。
座ってきましたよ、いろいろな産みの苦しみが軽くなるように!
● 最古の多宝塔
現存する日本最古の多宝塔。国宝です。
桧皮葺の屋根が美しく、立派。多宝塔の中でも最も美しいと言われているとのこと。
内部には快慶作の大日如来像が安置されているそう。
こちらも桧皮葺の屋根の鐘楼。
青もみじの中で、絵になりますね~。秋の紅葉もきれいでしょう。
朱塗りの心経堂は、花山法皇が西国三十三所霊場巡礼を世に広めてから千年経った記念に建てられたもの。
花山法皇ご自身が納経した般若心経写経が納められているそうです。
経蔵の脇には紫式部の供養塔と芭蕉の句碑が並んでありました。
供養塔と句碑が一緒に並んでいるというのがちょっと不思議。
紫式部と小野篁の供養塔が並んである京都のお寺で、「紫式部が物語を作って世の人々を迷わせた罪で地獄に落ちないように、小野篁と一緒に祀っている」と聞いているため、ここでは芭蕉とペアになったのかしら?と思います。
でもここは単に、どちらも文学者というくくりなんでしょう。
● 石山の秋月
お寺は高台になっており、琵琶湖から流れる瀬田川がすぐ近くに見えます。
月見亭という建物から望む眺めは「石山の秋月」として、近江八景の一つとされています。
休憩所でちょっとひと休み。
自動販売機には、やっぱり紫式部が描かれていました。
お寺からの帰り道、参道の灯篭に刻まれていた花山法王の名前に目が留まりました。
法王が西国観音霊場を中興した1000年記念に、お寺の一番偉い僧侶が寄進したそう。
きっと、心経堂の建立に合わせてのことでしょう。
● 大津市のマンホール
わーキレイ、わーステキと、久しぶりに観光気分でお参りできたお寺。
参拝を終えて、仁王門を出て歩き出しました。
石山寺を出たところで見つけた、大津市のマンホール。
なんだかとっても楽しそう。
描かれているのは、大津市の景観をモチーフにした、琵琶湖、琵琶湖大橋、ミシガン船、ヨット、観覧車、 ユリカモメ(市の鳥)、エイザンスミレ(市の花)、ヤマザクラ(市の木)、 花火大会、レガッタ、びわ湖花噴水、犬などに、市章に下水の「下」を組み合わせたマークだそうです。
詰め込んでますね~!
描かれている白い犬は、市制100周年記念イベントキャラクターのもも(百)ちゃん。
そして片手が赤いのは、「ワン・ハンド・レッド」の洒落なんですって!!大津スゴイ!
7月にして、もう桔梗が咲いていることにびっくり。
アジサイがまだところどころで咲き残っているので、遅い夏と早い秋の花を一度に楽しめます。
● 京阪・地下鉄・また京阪
川沿いの道をてくてく歩いて、10分ほどで京阪石山寺駅へ到着。
次に向かうのは、京都の醍醐寺です。
JRの石山駅まで戻ろうと思いつつ、京都駅に出るとお寺のある醍醐駅までのアクセスが難しいので、どうしようかと考えていました。
路線図を見てみると、ここから石山坂本線に乗り、京阪京津線に乗り換えると地下鉄に接続することが判明。
それならスムーズに行けそうです。
丸みを帯びたレトロな車内。
乗客も少なく、落ち着きます。
2両のかわいい京阪電車に乗れて、ごきげん。
初めての路線なので、なじみのない駅を通っていき、どの辺りを走っているのか、あまり把握できていません。
路線図を見ると、京阪が通らない区間があり、途中から地下鉄に変わって、再び京阪本線に戻っています。
交通ICカードが普及する前は、精算が大変だったでしょうね。
この旅で残すところ、あと一つ。京都の醍醐寺へ。
その2に続きます。
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