その1からの続きです。
● 風の谷の湯
ぐっすり寝て、朝は自然に目覚めました。
夜の間もずっと雪は降り続けていたようで、昨日よりも外は白くなっていました。
朝食前に朝風呂に入りに行きます。
まだ入っていない「風の谷の湯」が空いているので、喜んで向かいました。
ところがそこは、半露天風呂になっており、かなり寒そう。
堅実なルナちゃんは、ここは避けて女子風呂へと行きましたが、私は一人残り、入ってみることに。
お風呂には、脱衣所から階段を下りていくことになります。
わー、外から冷たい風が吹き込んでくる~!
風だけでなく、雪も一緒に舞い込んできます。
たしかに「風の谷」という名前の通りだなあと、お湯につかりながら納得。
雰囲気はすごくいいのですが、外は雪景色。
うーん、寒々しいわ。
お湯はやっぱり少しぬるめです。
雪見風呂は雰囲気たっぷりですが、冬の期間は旅館内で営業を停止している露天風呂がいくつもあります。
その閉ざされた感覚が、またいいのかもしれませんが。
一人きりのお湯に贅沢につかりましたが、長湯ができないぬるさなので、少ししかいられません。
急いでルナちゃんのいる女子風呂へと移動しました。
ああ、やっぱり内風呂は暖かいわ。
● 湯上がり朝ごはん
ぽかぽかになって、朝食の席へ。
また部屋の名前を言うことになるので、「なんだっけ、アララギ?」と思い返す横で、
「ルームキーを見せればいいじゃない」とルナちゃんは鍵を提示し、無事に席に案内してもらいました。
朝食もボリューミー。
半分眠いような、半分のぼせているような、ふわふわとした感覚で食事を終えました。
食後に部屋に戻り、お茶を飲んで、ゆっくりおなかを休めます。
食事でおなかいっぱいになり、持ってきたお菓子には全然手が伸びません。
窓際スペースの広縁は、夜が明けてもやっぱり寒くて、相変わらず近寄れないまま。
ときどき開けてみては、雪の様子を確かめます。
昨日の主役、男子フィギュアスケートのメダリスト2名が、朝からTV出演しています。
2人とも眠れていない様子で、銀メダルの宇野選手は、今にも瞼が閉じてしまいそう。
それを見ている私たちも、つられて眠ってしまいそう。
満腹になってますます眠気に誘われ、うつらうつらしています。
● おひなさま
のんびりと部屋で過ごしてチェックアウトをした後は、バスの時間までフロント階を散策しました。
大ざっぱな私ですが、エレベーターに乗るたびに、ピンクの表示の微妙な斜め具合ばかり見ていました。
横にまっすぐの線があるのに、曲がっているのはなぜなのか、気になる~!
館内には、赤いもうせんのお雛様が飾られていました。
外が冬景色なのでピンときませんが、桃の節句はもうすぐ。
春はすぐそこまで来ているんですね。
● メロスと山椒魚
お雛様のそばには、かつてこの宿に逗留したという太宰治や井伏鱒二の写真が飾られていました。
明治の文学者が逗留したということで、この宿に来たかったというのもあります。
2人一緒に温泉に浸かっている写真もありました。
太宰治と井伏鱒二は、年の差11歳。
太宰は井伏の自宅で結婚式を挙げたそうです。
太宰は38歳、井伏は95歳と、人生の長さはずいぶん違いましたが、それでも二人は仲が良かったんですね。
囲炉裏がある、広々とした本を読む部屋がありました。
広々とした読書スペース。さすが作家が泊まっただけあります。
● 熊に注意
「熊に注意!」の貼り紙がありました。
注意書きを読むと、熊に死んだふりをして見せても、助からないんだそうです。
熊に噛まれたりひっかかれたりして傷だらけになり、本当に死んでしまうかもしれないから。
遭遇しないようにしなくては。
でも今は熊は冬眠中だから、ひとまず安全です。
「距離は互いの興奮をしずめる効果があるようだ」とも書かれています。
それは、人間同士でも同じだわ。
● 館の外へ
バスの時間が近づいてきたので、宿の人に見送られて、外に出ました。
一面の雪景色で、辺りはまぶしく光っています。
一晩しんしんと降り続けた雪が積もり、昨日来た時よりも辺りはぐんと雪の中。
でも、さっきまで降っていた雪は、止んでいました。
ラッキーなことに、私たちが宿にいる間だけ深々と降り続けていたようです。
宿の入り口では、ユーモラスな木の人形が、英語の宿の案内を持っていました。
顔はめパネルがあったので、太宰治ごっこ。
昭和15年に滞在した彼。
30歳くらい、走れメロスを出版した頃だったようです。
宿の前にバス停があるので、便利です。
もう一組の宿泊客と一緒にバスを待つ間、雪の中から顔を出すマンホールを撮影しました。
大型車のやってくる音がしたので「あ、バスが来た」と思ったら、除雪車でした。
大きなタイヤにチェーンをまいて、ガシャガシャと音を立てて通っていきます。
この時期は、雪道になるので、ただでさえ運転に自信のない私には車を動かすのはとても無理。
雪の上を静かにやってきたバスに乗りこみました。
● 帰りのバス
帰りもバスは満員。あいている席を見つけて、通路を挟んで座ります。四万温泉って人気なんですね。
ルナちゃんのお隣さんは一人旅、私のお隣さんは3人グループのようです。
寒い外から暖房の効いた車内に入ると、すぐにぽかぽかに。
四万温泉郷のゲートを越えたあたりで眠気が押し寄せ、あとは眠って過ごしました。
途中のSAで休憩になります。
寝ぼけてコートも持たずに外に出たら、あまりの寒さに目が覚めたものの、車内に入ると再び眠くなって、またもや夢の中に。
高崎SAだったと思ったら、高坂SAでした。
つまり、もう群馬を抜けて埼玉まで来ていたことになります。
都内まで1時間ほどで、気づいた時にはもう終点の東京駅前でした。
東京は、空気は冷たいものの、日差しが暖かいです。
雪の中の群馬の寒さとは、全然違います。
雪のない日常に帰り、東京駅でルナちゃんとお別れしました。
「また行こうね!」
● 新宿へ移動
一人になり、中央線で新宿へ向かいました。
この日は京王プラザホテルで開催の、根室の観光イベントにご招待を受けていたのです。
さっきまで雪の中にいたので、あまり違和感はありません。
でも北海道ですから、今頃は完全に雪と氷の世界になっていて、海には流氷が流れてきているのでしょうか。
● 根室の食イベント
根室はロシアに近い辺り。広い会場で、ロシア語通訳のユミーチカに会いました。
地元の食材を使った料理のレシピを教えてもらい、実際にいろいろな食材を頂いてきました。
牛乳とチーズ工房チカプの手作りチーズ盛り合わせとブイヤベース
チーズも牛乳も濃厚。チカプとはアイヌ語で「鳥」という意味だそう。
短角和牛シチューと鮭の切り身
お肉がゴロゴロのビーフシチューは、舌の上でとろける柔らかさでした。
イクラ丼
花咲ガニのむき身
おなかいっぱいになったので、デザートの生チーズタルトはお持ち帰りしました。
さすがは食の北海道、どれもおいしかったです。
● ロシアとフランスの話
久しぶりに会ったユミーチカと、イベント後にお茶をしました。
彼女から、最近のロシアニュースをいろいろと聞きました。
来月、ロシア大統領選挙が行われるそうです。
ロシア人にもプーチン派とアンチプーチン派がおり、会話をすると全く違う主張を聞くことになるそうな。
ロシア政治情勢を教えてもらったのに、なんちゃってフランス担当の私は、たいした情報は持っていません。
「八戸が、ブイヤベースの町としてフランス公認になったらしいよ」というような、ゆるい話しかできませんでした。
(でもそれ大事!マルセイユ認可かしら)
ロシアの選挙の行方を、気にしておくわ。
● epilogue
四万温泉滞在中は、ずっと雪が降っていて気温が低かったため、外を散策することなく、ずっと宿の中にこもって過ごしました。
まったく冒険はしませんでしたが、それでも飽きることなく、お湯と食事とお喋りを楽しみました。
冬の温泉宿でのおこもりは、秘密めいていて楽しかったし、身体はリラックスできて頭はスッキリ。
湯治効果で、とてもいいリフレッシュができました。
友と腰を据えてじっくりと話ができた、いい時間。
またすぐにでも出かけたい温泉旅となりました。
● 風の谷の湯
ぐっすり寝て、朝は自然に目覚めました。
夜の間もずっと雪は降り続けていたようで、昨日よりも外は白くなっていました。
朝食前に朝風呂に入りに行きます。
まだ入っていない「風の谷の湯」が空いているので、喜んで向かいました。
ところがそこは、半露天風呂になっており、かなり寒そう。
堅実なルナちゃんは、ここは避けて女子風呂へと行きましたが、私は一人残り、入ってみることに。
お風呂には、脱衣所から階段を下りていくことになります。
わー、外から冷たい風が吹き込んでくる~!
風だけでなく、雪も一緒に舞い込んできます。
たしかに「風の谷」という名前の通りだなあと、お湯につかりながら納得。
雰囲気はすごくいいのですが、外は雪景色。
うーん、寒々しいわ。
お湯はやっぱり少しぬるめです。
雪見風呂は雰囲気たっぷりですが、冬の期間は旅館内で営業を停止している露天風呂がいくつもあります。
その閉ざされた感覚が、またいいのかもしれませんが。
一人きりのお湯に贅沢につかりましたが、長湯ができないぬるさなので、少ししかいられません。
急いでルナちゃんのいる女子風呂へと移動しました。
ああ、やっぱり内風呂は暖かいわ。
● 湯上がり朝ごはん
ぽかぽかになって、朝食の席へ。
また部屋の名前を言うことになるので、「なんだっけ、アララギ?」と思い返す横で、
「ルームキーを見せればいいじゃない」とルナちゃんは鍵を提示し、無事に席に案内してもらいました。
朝食もボリューミー。
半分眠いような、半分のぼせているような、ふわふわとした感覚で食事を終えました。
食後に部屋に戻り、お茶を飲んで、ゆっくりおなかを休めます。
食事でおなかいっぱいになり、持ってきたお菓子には全然手が伸びません。
窓際スペースの広縁は、夜が明けてもやっぱり寒くて、相変わらず近寄れないまま。
ときどき開けてみては、雪の様子を確かめます。
昨日の主役、男子フィギュアスケートのメダリスト2名が、朝からTV出演しています。
2人とも眠れていない様子で、銀メダルの宇野選手は、今にも瞼が閉じてしまいそう。
それを見ている私たちも、つられて眠ってしまいそう。
満腹になってますます眠気に誘われ、うつらうつらしています。
● おひなさま
のんびりと部屋で過ごしてチェックアウトをした後は、バスの時間までフロント階を散策しました。
大ざっぱな私ですが、エレベーターに乗るたびに、ピンクの表示の微妙な斜め具合ばかり見ていました。
横にまっすぐの線があるのに、曲がっているのはなぜなのか、気になる~!
館内には、赤いもうせんのお雛様が飾られていました。
外が冬景色なのでピンときませんが、桃の節句はもうすぐ。
春はすぐそこまで来ているんですね。
● メロスと山椒魚
お雛様のそばには、かつてこの宿に逗留したという太宰治や井伏鱒二の写真が飾られていました。
明治の文学者が逗留したということで、この宿に来たかったというのもあります。
2人一緒に温泉に浸かっている写真もありました。
太宰治と井伏鱒二は、年の差11歳。
太宰は井伏の自宅で結婚式を挙げたそうです。
太宰は38歳、井伏は95歳と、人生の長さはずいぶん違いましたが、それでも二人は仲が良かったんですね。
囲炉裏がある、広々とした本を読む部屋がありました。
広々とした読書スペース。さすが作家が泊まっただけあります。
● 熊に注意
「熊に注意!」の貼り紙がありました。
注意書きを読むと、熊に死んだふりをして見せても、助からないんだそうです。
熊に噛まれたりひっかかれたりして傷だらけになり、本当に死んでしまうかもしれないから。
遭遇しないようにしなくては。
でも今は熊は冬眠中だから、ひとまず安全です。
「距離は互いの興奮をしずめる効果があるようだ」とも書かれています。
それは、人間同士でも同じだわ。
● 館の外へ
バスの時間が近づいてきたので、宿の人に見送られて、外に出ました。
一面の雪景色で、辺りはまぶしく光っています。
一晩しんしんと降り続けた雪が積もり、昨日来た時よりも辺りはぐんと雪の中。
でも、さっきまで降っていた雪は、止んでいました。
ラッキーなことに、私たちが宿にいる間だけ深々と降り続けていたようです。
宿の入り口では、ユーモラスな木の人形が、英語の宿の案内を持っていました。
顔はめパネルがあったので、太宰治ごっこ。
昭和15年に滞在した彼。
30歳くらい、走れメロスを出版した頃だったようです。
宿の前にバス停があるので、便利です。
もう一組の宿泊客と一緒にバスを待つ間、雪の中から顔を出すマンホールを撮影しました。
大型車のやってくる音がしたので「あ、バスが来た」と思ったら、除雪車でした。
大きなタイヤにチェーンをまいて、ガシャガシャと音を立てて通っていきます。
この時期は、雪道になるので、ただでさえ運転に自信のない私には車を動かすのはとても無理。
雪の上を静かにやってきたバスに乗りこみました。
● 帰りのバス
帰りもバスは満員。あいている席を見つけて、通路を挟んで座ります。四万温泉って人気なんですね。
ルナちゃんのお隣さんは一人旅、私のお隣さんは3人グループのようです。
寒い外から暖房の効いた車内に入ると、すぐにぽかぽかに。
四万温泉郷のゲートを越えたあたりで眠気が押し寄せ、あとは眠って過ごしました。
途中のSAで休憩になります。
寝ぼけてコートも持たずに外に出たら、あまりの寒さに目が覚めたものの、車内に入ると再び眠くなって、またもや夢の中に。
高崎SAだったと思ったら、高坂SAでした。
つまり、もう群馬を抜けて埼玉まで来ていたことになります。
都内まで1時間ほどで、気づいた時にはもう終点の東京駅前でした。
東京は、空気は冷たいものの、日差しが暖かいです。
雪の中の群馬の寒さとは、全然違います。
雪のない日常に帰り、東京駅でルナちゃんとお別れしました。
「また行こうね!」
● 新宿へ移動
一人になり、中央線で新宿へ向かいました。
この日は京王プラザホテルで開催の、根室の観光イベントにご招待を受けていたのです。
さっきまで雪の中にいたので、あまり違和感はありません。
でも北海道ですから、今頃は完全に雪と氷の世界になっていて、海には流氷が流れてきているのでしょうか。
● 根室の食イベント
根室はロシアに近い辺り。広い会場で、ロシア語通訳のユミーチカに会いました。
地元の食材を使った料理のレシピを教えてもらい、実際にいろいろな食材を頂いてきました。
牛乳とチーズ工房チカプの手作りチーズ盛り合わせとブイヤベース
チーズも牛乳も濃厚。チカプとはアイヌ語で「鳥」という意味だそう。
短角和牛シチューと鮭の切り身
お肉がゴロゴロのビーフシチューは、舌の上でとろける柔らかさでした。
イクラ丼
花咲ガニのむき身
おなかいっぱいになったので、デザートの生チーズタルトはお持ち帰りしました。
さすがは食の北海道、どれもおいしかったです。
● ロシアとフランスの話
久しぶりに会ったユミーチカと、イベント後にお茶をしました。
彼女から、最近のロシアニュースをいろいろと聞きました。
来月、ロシア大統領選挙が行われるそうです。
ロシア人にもプーチン派とアンチプーチン派がおり、会話をすると全く違う主張を聞くことになるそうな。
ロシア政治情勢を教えてもらったのに、なんちゃってフランス担当の私は、たいした情報は持っていません。
「八戸が、ブイヤベースの町としてフランス公認になったらしいよ」というような、ゆるい話しかできませんでした。
(でもそれ大事!マルセイユ認可かしら)
ロシアの選挙の行方を、気にしておくわ。
● epilogue
四万温泉滞在中は、ずっと雪が降っていて気温が低かったため、外を散策することなく、ずっと宿の中にこもって過ごしました。
まったく冒険はしませんでしたが、それでも飽きることなく、お湯と食事とお喋りを楽しみました。
冬の温泉宿でのおこもりは、秘密めいていて楽しかったし、身体はリラックスできて頭はスッキリ。
湯治効果で、とてもいいリフレッシュができました。
友と腰を据えてじっくりと話ができた、いい時間。
またすぐにでも出かけたい温泉旅となりました。
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