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去年の夏のできごとだった。
街中からウチに向かうバスは三路線ある。
そのうちの一路線は地元某大企業A社駐車場を始発とし、関連会社が多くある工場地帯をくねくねと走り、帰宅する乗客を集めていく。
外出先の場所によっては、そのバスをしばしば利用している。
その日、サングラスをかけ、胸の谷間がよく見えるブラウスを着た運転手の女性に乗車するなり言われた。
「このバスはA社社員の専用です。社員証を持っていますか?」
何度もこの路線を利用しているが、そんな話を聴いたのは初めてだ。
「いいえ、持っていません」と答えて、私は堂々と席に着いた。
しばらくすると、彼女はまた私に言った。
「社員で無い人が乗るのは違反です。本当なら乗客が誰もいないのだから、私はいまここで仕事が終わっているはずです」
この言い分にはおかしいところだらけだ。確かに、乗客は私一人だけだった。
彼女によると、A社とその関連企業勤務者でない私を乗せているのは余計な仕事をしていて不快らしい。
いつもは黙ってやり過ごす私だが、このときは自己主張をしなければならない、と義務感が沸いた。また、この運転手のドイツ語がここで育ったものでなく、外国語として習得したものであることも対等に言い合える自信を与えた。
「私は頻繁にこの路線を利用しています。このバスは誰でも利用できるものです。嘘だと思ったら、バス会社に訪ねてみてください」と言った。
もちろん、この論理的な(!?)私の発言にすぐに納得するような人物ではないのは明らかだ。
私は同じ内容を何度か、怒鳴った。
運転手も負けずに運転しながら、自分の意見を繰り返していたが「いいわ、今回はあなたを目的地まで連れて行きます」としぶしぶ認めた。
こんな風に、自分の思うことをとことん主張しなければならない外国生活だ。
以前、夫が鉄道駅の職員の態度に腹を立てて怒鳴っていたことを思い出した。
何が起こったか、そのときは知ることができなかったけれど、今回の私の経験のようなものだったのだろうと懐かしく思い出している。
その後、何度か彼女の運転するバスに乗っている。
私を嫌っている様子もないし、私も彼女を疎んでいるわけではない。あの時はお互いの考えをぶつけただけなんだ。
日本の公共交通機関の運転手とこんな経験をすることは無いだろう、ときれいなバスの車体を観察しながら思った。
去年の夏のできごとだった。
街中からウチに向かうバスは三路線ある。
そのうちの一路線は地元某大企業A社駐車場を始発とし、関連会社が多くある工場地帯をくねくねと走り、帰宅する乗客を集めていく。
外出先の場所によっては、そのバスをしばしば利用している。
その日、サングラスをかけ、胸の谷間がよく見えるブラウスを着た運転手の女性に乗車するなり言われた。
「このバスはA社社員の専用です。社員証を持っていますか?」
何度もこの路線を利用しているが、そんな話を聴いたのは初めてだ。
「いいえ、持っていません」と答えて、私は堂々と席に着いた。
しばらくすると、彼女はまた私に言った。
「社員で無い人が乗るのは違反です。本当なら乗客が誰もいないのだから、私はいまここで仕事が終わっているはずです」
この言い分にはおかしいところだらけだ。確かに、乗客は私一人だけだった。
彼女によると、A社とその関連企業勤務者でない私を乗せているのは余計な仕事をしていて不快らしい。
いつもは黙ってやり過ごす私だが、このときは自己主張をしなければならない、と義務感が沸いた。また、この運転手のドイツ語がここで育ったものでなく、外国語として習得したものであることも対等に言い合える自信を与えた。
「私は頻繁にこの路線を利用しています。このバスは誰でも利用できるものです。嘘だと思ったら、バス会社に訪ねてみてください」と言った。
もちろん、この論理的な(!?)私の発言にすぐに納得するような人物ではないのは明らかだ。
私は同じ内容を何度か、怒鳴った。
運転手も負けずに運転しながら、自分の意見を繰り返していたが「いいわ、今回はあなたを目的地まで連れて行きます」としぶしぶ認めた。
こんな風に、自分の思うことをとことん主張しなければならない外国生活だ。
以前、夫が鉄道駅の職員の態度に腹を立てて怒鳴っていたことを思い出した。
何が起こったか、そのときは知ることができなかったけれど、今回の私の経験のようなものだったのだろうと懐かしく思い出している。
その後、何度か彼女の運転するバスに乗っている。
私を嫌っている様子もないし、私も彼女を疎んでいるわけではない。あの時はお互いの考えをぶつけただけなんだ。
日本の公共交通機関の運転手とこんな経験をすることは無いだろう、ときれいなバスの車体を観察しながら思った。