雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

二枚重ね

2006-07-06 | 思い出
 女子高生と付き合っていたときの話。といっても自分も16歳で同い年だったので現在のように女子高生に対して異常な執着心は持っていなかった頃。むしろ、年上のオネーサンに憧れを抱く、ごくごくフツウの健全な男子だった。
 とっても健全なので、その性欲はもはや溢れ出さんばかりだった。
 そんなこんなで付き合い始めて二、三ヶ月くらいだったかな、さて、そろそろセックスしようじゃないか!という段になり、いざ!という時に
「ニンシンが怖いから、ゴムを二枚重ねで着けてくれ」
 と、彼女にお願いされた。
 ・・・・。
 なんだか、そこまでしてセックスするのもアホらしくなり、止めた。(今なら三枚でも四枚でも着けるから、お願いだからやらせて!と懇願する、土下座も、する)
 しかし、ハチ切れんばかりの性欲はおさまることなどはなく、とりあえずその場はシャブってもらい、事なきを得た。
 その後、何度かチャンスはあったのだが、やはり『二枚重ね』だ。その都度、フェラか手コキだった。
 結局、その彼女とはセックスしないまま別れた。一年ちょっとの付き合いだった。

 それから十年後、僕の勤めるコンビニに偶然、彼女がやってきた。
 彼女はすでに二十六。あの当時、僕が憧れていた年上のオネーサンになっていた。しかし、僕も二十六。最初に口火を切ったのは彼女だった。彼女は昔と違い、セックスの喜びを身体中に刻みつけた模様で、こう云った。
「どうせならアンタとヤリまくればよかった」
 レジを挟んで屈託のない笑顔でそう云った彼女に、僕はこの十年で身につけた卑屈な作り笑いを浮かべるだけであった。
コメント (6)
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