雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

青空チェリー/豊島 ミホ

2008-12-24 | 小説
≪女による女のためのR-18文学賞≫で圧倒的支持の読者賞を受賞した豊島ミホ処女作『青空チェリー』。

 とびっきりの青春小説なんだろうなー、なんたって「青空」だし、「チェリー」だし。とまったく疑うこともなく読んでみれば、予備校に通う女の子がその予備校の屋上から隣のラブホで繰り広げられる他人の情事を覗き見してたら、ふと同予備校生の男の子も屋上にやってきて、それじゃあ「お互い、オナニーしましょう」と青空の下、男女二人がオナニーに耽る・・・といったお話でした。たしかにこりゃあ「R-18」だわ(笑

 いやでも、もちろん単なるエロ小説ではなくて、青空の下、そこはかとなく青春を感じられるんですが、なんかね、この前に豊島さんのエッセイなど読んで、ちょっと「作者に近付いた」感があっただけに、ヘンに興奮してしまいました(照

 ともあれ、豊島ミホの処女作をようやく読めてよかったのです。

 同時収録にパラレルな時代の戦時下での揺れる乙女心を描いた『ハニィ、空が灼けているよ。』と、中学時代の恋愛感情を引きずっている大学生の切ない気持ちを描いた『誓いじゃないけど僕は思った』二編です。

 豊島ミホ、最初の単行本(私が手に取ったのは文庫版ですが)はまだまだ模索途上の瑞々しい作者に出会えました。
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底辺女子高生/豊島 ミホ

2008-12-24 | 小説
≪「本当の私」なんて探してもいません。みっともなくもがいてる日々こそが、振り返れば青春なんです―。「底辺」な生活から脱出するため家出した高校二年の春。盛り下がりまくりの地味な学祭。「下宿内恋愛禁止」の厳粛なる掟。保健室の常連たち。出席時数が足りなくて、皆から遅れた一人きりの卒業式。最注目の作家によるホロ苦青春エッセイ。≫

 エッセイが好きだ。それが、好きな作家さんのエッセイなら尚更だ。そんなわけで現在お気に入りの豊島ミホさんのエッセイを読んだ。
 さすが青春モノを多く手がける作家さんだけあって、このエッセイも高校時代のもの。というか、どうやらこれは『檸檬のころ』を刊行する際に持ちかけられたお仕事で、なら『檸檬のころ』で書けなかった高校生活の「負」の部分を書いてやろう、と思ったらしく、なにくれとなく沈み込んでる内容です。が、しかし、決して暗い雰囲気はなく、むしろオモロ可笑しい。一発目の「一人称問題」から大爆笑してしまう。
 その後もすこぶる妄想気質な作者に哀れみよりも愛おしさを覚えてしまう。本人にとっては切実な話(主に被害妄想だと思うが・・・)なのだが、申し訳ないが、笑える。

 しかし中にはやはり、本当に切実な想いだとか、身を切られるような話もあり、非常に内容の濃い一冊である。最後の「卒業式は二回」などは涙が浮かぶ。

 エッセイというのは、作家さんの性格や人柄がダイレクトに伝わるのでとても貴重だ。小説とはまた違った一面なども垣間見れて、ますます好きになってしまう。

 できれば次は、「作家、豊島ミホ」となった現在のエッセイなども読んでみたいものだ。まぁそれは豊島さんのブログ(告知板としま)などでちゃっかりチェックしてたりしているのだがね☆
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