http://sankei.jp.msn.com/region/news/131120/chb13112022220003-n1.htm
24日に投開票される千葉県市川市長選挙は、大型開発と行政改革を進め、「美しい景観の未来都市建設」を目指す現職の大久保博氏(64)と、大型事業を中止し、保育園の緊急増設を訴える新人の田中長義氏(63)が激しい論戦を展開している。市川市が抱える課題を探り、両候補の主張を検証した。(塩塚保)
▽都市整備の方向性
三番瀬の青い海が晩秋の陽光を浴びて美しく輝く。水鳥の群れが海面に揺れる。東京湾に面した塩浜地区には貴重な自然が残されている。
近くにはJR京葉線市川塩浜駅がある。周辺には、倉庫や会社が建ち並ぶ。また、広大な市有地は駐車場やサッカー場などとして使用されている。市川市はこの塩浜地区約12ヘクタールを区画整理して開発。海に面した親水公園や遊歩道を整備、事業者を公募して大型商業施設やホテルなどを建設する構想を進めている。
まちづくり推進課によると、市と土地所有者で区画整理事業準備会を設立して事業計画を立案。平成28年度完成を目指す。事業費は未定だが、市の負担軽減を考慮するという。大久保氏は「民間の力を生かして親水空間とにぎわいを創出したい」と意欲を示す。
また、JR武蔵野線の新駅設置と新都市整備計画も進む。新駅を誘致するのは船橋法典駅ー市川大野駅(約3キロ)の中間の柏井地区。新駅を核として周辺の丘陵地や農地、駐車場など約24ヘクタールを開発。自然エネルギー発電や高度医療施設を整え、高層マンション群などを建設する構想だ。都市計画課によると、来年度に基本計画をまとめ、新駅誘致と新都市建設を同時に進めるとしている。
これに対し、新人の田中氏は「新駅を設置するには50億円から100億円かかる。巨額の税金を投入する大型事業計画は中止する」と明言している。
▽福祉と行政改革
大久保氏は1期目、保育所の待機児童ゼロを目指した。ところが、市川市の待機児童は336人(4月1日現在)もいる。
大久保氏が無策だったわけではない。私立保育園を4園増やし、保育室を増築するなどして3年間で521人増の総定員5885人とした。来年4月にはさらに4園がオープンする。
保育計画推進課によると、保育園を増設すると、「保育園ができるのなら、こどもを預けて仕事に出たい」という母親たちの潜在需要が高まる。待機児童はなかなかゼロにならないという。
田中氏は「保育園を希望する児童は多い。市有地を活用して緊急に認可保育園を増設すべきだ」と主張している。
また、大久保氏は将来を見据え、行政改革を断行。市職員削減や民営化推進、そして公民館の使用料金などを値上げして市民に適正な受益者負担を求めるとしている。一方、田中氏は「公民館の使用料などの値上げは市民のサークル活動に支障をきたす」と反対する。市民は文教都市・市川の将来をいかに選択するのだろうか。