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読書感想文【姫椿】「39プレゼント応募」

2007年03月03日 03時23分37秒 | 読書感想文
最近あまり読んでなかった浅田次郎。ブックオフで見つけて買った。
心温まるというか、やや押さえ気味の浅田節が効いてる8つの短編集。

『姫椿』
作者:浅田次郎



ストーリー:

独身OLの鈴子は飼い猫のリンを亡くしたその日、見知らぬペットショップで獬という動物をただでもらう。伝説の瑞獣である獬との生活は少しずつ鈴子の生活を変えていく。

姫椿
莫大な借金を背負った不動産屋の高木は自殺して自身の生命保険ですべてを贖おうと決意していた。ある日タクシーに乗って自宅に帰る途中、妻との思い出がつまった地を見納めようとして銭湯に入る。

再会
ある日銀座のクラブで高校の同級生だった九鬼修一と30年ぶりに出会った私は、後日九鬼の自宅に招かれる。そしてそこで九鬼の奇妙な体験を聞かされる。
九鬼にはかつて百合江という恋人がいたのだが・・・。

マダムの咽仏
雅美が勤めていた新宿のゲイ・バーのマダムが亡くなった。老齢だったマダムの葬儀で、パトロンだった笠置から雅美はマダムの意外な素性を知る。

トラブル・メーカー
オーストラリアへ向かう飛行機の中で、私は隣の席に座った浜中則夫から、ここに至るまでの顛末を聞く。早期退職者優遇制度で会社を辞めた浜中は会社でもほとんど肩書きだけの部署に追いやられていたのだが、そこで部下になった仙田はとんでもないトラブルメーカーだった。

オリンポスの聖女
世界中に店舗を展開する運動用具メーカーの社長・塚原一郎はいまだに学生時代に同姓していた恋人の典子のことが忘れられない。真摯に演劇に取り組んでいた典子との思い出に浸りながらオリンピック開催中のシドニーを練り歩く塚原だったが・・・。

零下の災厄
作家の私は、これまで担当の編集者だった柴長一郎から、彼が経験したとても奇妙な話を聞く。柴が夜中に自宅に戻るとマンションの前に女が酔いつぶれていた。仕方なく自宅に運んだ女の正体とは。

永遠の緑
カブラヤオーのレースと共に交際した妻を失った大学助教授の牧野博士はいまでも毎週末は必ず競馬場に足を運ぶ。そこで出会った解体屋の若者と意気投合し、レース後に飲みに行く。一方、娘の真由美は叔母からお見合いの話が持ちかけられていた。


感想:
どの話も腹八分目な感じ(どんな感じだ)で感動するにもちょっと物足りないボリュームなのだが、どれも話はうまいなぁと感心してしまう。
ただし、どれも感動系の話というわけではない。「獬」は壬生義士伝を思い出してしまう感じで結構よかった。その中でも「オリンポスの聖女」はとても切ない話で、これだけで中編小説にしてもよかったのにと思う出来。
逆にあまり共感できなかったのは「マダムの咽仏」。「永遠の緑」はラストの親子の会話がすごい良いのだが、最後に馬を選ぶところはどうかなぁと感じた。
「トラブル・メーカー」はブラックジョーク系の話なのだがボリュームがちょっと物足りない。
「零下の災厄」は意外なオチで驚いた。
表題作の「姫椿」は残念ながら展開が読めてしまった。