湘南ゆるガシ日和 ・・・急がず、休まず

湘南でゆるゆら暮らしココロ赴く先へガシガシ出かけるライター山秋真が更新。updated by Shin Yamaaki

アーミッシュのブルーベリー

2009-08-27 01:35:20 | 旅:北米クリーブランド

ブルーベリーを摘みにいこうと思い、農場へ電話すると
「今週末はやってるけど、来週末はわからない」とのこと。
今年のブルーベリーシーズンはあと僅かと、土曜日は早起きで
「粒が大きくて甘い」と評判のアーミッシュの農場へ。


着いてまずびっくり、「バギー駐車場」がある。
写真右手の木の柵は、バギーをひく馬をつなぐためのもの。

バギーとは、自分たちの信仰にそぐわない近代的機器を
拒否するアーミッシュが自動車のかわりに使う、1頭だての馬車。
オハイオ州は、隣のペンシルバニア州とならんで
アーミッシュが多いといわれる。

駐車・駐馬車スペースの横はお花畑。
ここの花は売り物。花の名前と値段をかいた札が立っていた。


上の写真の右端中ほどにみえる茶色の屋根が、農場の受付。
ボネットと呼ばれる白い帽子と淡い水色のワンピースを身につけた
金髪の若い女性が受け付けてくれる。

といっても、人数を確認して課金する、というわけではない。
摘んだブルーベリーを入れる箱はいくつ要る? と客にたずね、
答えの数だけ箱を渡し、食べごろのブルーベリーの樹の場所を伝える。

箱を手に、教えてもらった方へ畑を約2~3分歩く。



散らばりながら、黙々とブルーベリーを摘む人たち。
緑に映える水色は、アーミッシュの女性の服の色だろう。

鈴なりで実がつく樹の多い畝をみつけ、わたしも摘みはじめた。



完熟したブルーベリーは、手で触ると、はらりとこぼれる。
新鮮な空気のなか、ブルーベリーの甘酸っぱさが胃に染みわたるよう。
空腹も手伝って、夢中で摘んでは口の中へ。

お腹が満たされると、あたりを眺める余裕もでてきた。
見わたせば一面の畑と草原。



道路のむこうは、とうもろこし畑のよう。
…道路を、バギーが走っている。
この道は、私も通ってきた。自動車も普通にはしるのだ。




目の前と口の中に広がる鮮烈な印象がアーミッシュへの関心を刺激する。
ここは空気がいい、景色がいい、鮮度がいい、味がいい。
この夢心地の世界は、どんなふうに可能となっているのだろう?

アーミッシュは「共同体」が強いと聞くけど、まとめ役はいるのだろうか?
やはり家父長制的な家長やリーダーが家庭や共同体をまとめるのだろうか? 

家長のどんな言動にも、従順に、したがうのだろうか?
なにしろ、アーミッシュは怒ることを禁じられているらしいから。 

ひょっとして、家長の言動に疑問をもつこともないのかな?
たとえば聖書以外の本を読むことも、教育を8年以上うけることも、
やっぱり禁止されているというから。

ただ、幼児洗礼を認めないアーミッシュでは、
洗礼をうけてアーミッシュとして共同体で生きるか、
うけずに共同体を離れるか、成人になるときに
本人が選択するという。その選択の判断力をつけるためだろう、
成人になる前の数年のあいだアーミッシュの子どもは共同体をはなれ、
現代文明生活を経験するのが決まり。

だとしたら、
「アーミッシュの暮らしは、現代文明を知ら(され)ないからこそ」
とか
「外の世界を知らないから、家長の縛りが強い(かもしれない)生活にも、
アーミッシュは疑問や不満をもたない」などと、
簡単に考えるわけにはいかない。

  ***

気がすむまでブルーベリー畑を堪能してから受付にたち寄り、
摘んだブルーベリーを計量してもらう。摘みたてのブルーベリーで
お腹を満たし、1週間たべる分も摘んで、5ドルちょいだった。

宗教上の理由から自分たちを語らない、といわれているアーミッシュ。
情報社会の総本山のようなアメリカで、情報が発信されない存在。
いやおうなく関心は深まる。…しかも、お財布にもやさしい。

来年もまた来たい。

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