すこし落ち着いた時間が流れた3月のある日、
「ワカメとりに行こう」とNちゃんがいった。
さっそく潮見表でその日の干潮時刻をチェック。
夕方4時半すぎ、総勢4名でいそいそと磯へ。
2名はワカメ、2名はアワビとサザエ狙い。
鏡のような凪の海面。
透明な海水が海中にたゆたう海藻のすがたを映す。
さながら森のよう。
岩にびっしりとアオサも生えていた。
味噌汁の具にしても美味しいし、
ここ祝島では粕仕立てのアオサ汁にしていただく。
これも実に美味。
ときどき船小屋でおやつにいただく
鷹の爪、別名「亀の手」もしくは「セイ」の姿もみられた。
とれるかな? と鎌を片手に試みたけれど
まるで歯がたたない。
セイ採りは、素人にとってかなり難しいことを知った。
今年はワカメが少ないらしく、初心者には
なかなかハードルの高いワカメとり。
時の経つのも忘れ、つい黙々とワカメ探し。
帰ってさっそく茹でてみた。
碧色がうつくしい。
この日は、新鮮なとりたてワカメを酢醤油でいただく。
サザエとあわびと片貝(かたがい)は酒蒸しにしてみる。
当然といえば当然だけれど、格別の美味しさ。
いまの日本に、この味わいを知る人は、どれほどいるだろう。
そんなことまで思ってしまう「本物の味」だった。
これが、四半世紀以上ものあいだ
祝島の人たちが身体をはって維持してきたもののひとつなのだろう。
何もしなかったなら
きっと遠の昔に失われていただろうもののひとつ、でもある。
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