先日のお経の会での法話に登場した絵本。
『泣いた赤鬼』 です。
浜田廣介氏によって書かれたこの物語は、1933年に発表されたもの。
今から79年も前のことです。
その間に、絵を替え、装丁を替えて、今なお書店に並び続けるロングセラーの絵本です。
そして、この写真の装丁バージョンの『泣いた赤鬼』は、昨年の12月に発売されました。
表紙の絵で気づかれた方もいらっしゃるかもしれません。
そう、この『泣いた赤鬼』の挿絵を描いたのは、漫画家・浦沢直樹氏です。
『YAWARA!』 『MONSTER』 『20世紀少年』 などなど、代表作が多々ありすぎる漫画家さん。
私も若住職も漫画好きなので、浦沢氏の作品はほとんど読んでいます。
この『泣いた赤鬼』という物語自体は、小学校の道徳の授業の教材になるような内容で、知っている方も多いようです。
しかし、私は全く知らず、ただこの表紙に誘われるままに買ってしまったという、ほぼ衝動買いでの出会いとなりました。
家に帰り、ビニールを外し、表紙を開くと・・・「龍くんには無理」と即座に判断してしまうような文章の密度と長さ。
そして内容の濃さと深さ。
道徳の教材になるのも頷けるお話に、考えさせられると同時に法話でお話できないかなと思ってしまったが故に、とてつもない生みの苦しみを味わうこととなりました。
それもまた良い経験であり、良きご縁となりましたけど(笑)
法話では、この絵本を読んで私が感じた、なんとも言えない居心地悪さというか、道徳の授業で重んじられているテーマへの違和感というか・・・。
そういうものを追い求めていった先に見出した、私なりの答えをお話させていただきました。
「青鬼がしたことは相手への【思いやり】なのではなくて、自分の推し量った【思い】を相手に【やった】だけなのかもしれない」
果たして、共感は得られたのでしょうか?
気になられた方は、まずはどうぞこの絵本をご一読くださいませ。