古伊万里の文様の中でも、「鷺」、「鮎」、「鶉」、「鹿」、「虎」等に代表される動物文様はかなり人気が高いように思います。
「龍」も人気が高いですが、ワタシとしては「唐獅子」の方が好きだったりします。
今回の品は中期(元禄~享保)あたりと思われる唐獅子文の小皿です
「染付唐獅子文八角小皿」
八角形に整形された13cmほどの小皿で、見込みには唐獅子、そして縁の部分には草花文が絵付けされています
筆致はそれなりに細かく、白く良い土を使っていますので、扱っていた業者さんは、「元禄藍柿」と称して売っておりました。
裏面を見ると、「宣嘉年製」の落款、そして十六個の七宝文が描かれています
これだけ見ると、中期の上手の小皿という評価は出来なくもありませんが、主文様である唐獅子文を拡大したのが下の画像です。
中期の品らしいユーモラスな唐獅子がバランス良く描かれており、皿のサイズを考えると上手い絵付けではあるんですが
そこは古美術の世界でありまして、上には上が存在します。
下の画像は以前に紹介した「花唐草に唐獅子文皿」の唐獅子のアップです。
唐獅子そのものの実際のサイズは、今回の品の2/3程度であることを考えると、当時の職人さんの圧倒的な技量が判ります。
この二つの唐獅子は時代的には30年程度の違いなのかも知れませんが、盛期伊万里の魅力と凄さの一端を感じさせてくれるように思います。
成形もしっかりしていて、高台処理も丁寧ですね(^_^)
江戸後期の大量生産の物とは違いますよね(^_^)
獅子も、愛嬌があって可愛らしいですね(^-^*)
こういうタイプの獅子が、いつごろから登場したのか、その理由も含めて知りたいところです。
「宣嘉年製」銘、初めて見ました。伊万里の造語でしょうか。大胆で面白いです。
このあたりが最大の魅力かも知れません。
こういった品を見ると、盛期に近い伊万里のクオリティの高さを再認識します。
さらに、こういったユーモラスな姿になるのは延宝期ということのようです。
「宣嘉年製」、中期の伊万里で見られる落款のようでうすが、ウチにもこれ一品しかありませんので
思っているよりは少ないのかも知れませんね。