古伊万里のコレクターの中には特定の文様の品をコレクションする方もいるようですが、ワタシの場合はできるだけ種類を集めたいクチで
同じ種類の文様の品はできるだけ避けて来たように思いますが、それでも同じような文様の品を購入してしまうのは、やはり好みの問題ではありましょうか。
今回の品はウチに2枚だけある扇文の品のうちの一枚です。
「雲間に扇文六寸皿」
回想の古伊万里111で、「花唐草に扇文六寸皿」を紹介しましたが、あちらは盛期に近い伊万里だったのに対し、この品は中期末に近い宝暦~天明あたりの品です。
開かれた扇が二つ描かれているという点では同じですが、絵付けは簡略化されており、盛期の品のような繊細な美しさなありません。
一応染付の濃淡で表現していますが、盛期の品とは随分と違っています
ちなみに↓が「花唐草に扇文六寸皿」の扇の部分です。
時代にして70~80年程度の違いなんですが、この違いが盛期と中期末の品の違いと言えますし、今回の品は随分と厚手に成形されています。
この品は今から20年ほど前、私が伊万里を集め始めた最初の頃に購入した品で、この品を扱っていた関西のベテラン業者さんは
「雲間としているけど、波間だと思えば源平合戦の那須与一(扇の的)をモチーフにしたものでは」と言っておりました。
この業者さんは商売上手だったのは確かですね。
それに対して、この皿では、閉じた扇も躍っています。
雲間を浮遊するというより、波間にもまれるという感じです。
那須の与一と思いたい(^.^)
閉じた扇も踊っていますね(^_^)
これは、那須与一に射貫かれた扇が波間に落ちて行く一瞬と、それに合わせ、女官達が喝采し、自分たちの持っていた扇を波間に投げ入れた一瞬を描いたのでしょう(^-^*)
強く、そう思いたい画面ですね。
そう思うと、ロマンを感じます(^-^*)
このあたりの時代になると、伊万里が徐々に大衆化していった頃ですので
盛期の様式化されたものとは違うものが好まれたんでありましょうか。
この皿の図柄から那須与一を連想した骨董屋さんは、なかなかのセンスなのは確かのようです。
骨董好きにとっては、そういった妄想もまた大きな魅力なんですよね
買ってからあまり出したことのないお皿でしたが
魅力を再発見したような思いです。