Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

縁文様の世界 ①

2022-08-05 18:53:21 | 古伊万里
すでに一度掲載している古伊万里をテーマごとに取り上げるという、なんとも貧乏くさいシリーズですが
場合によっては新しい視点で見ることができるようで、ちょっとだけ続けようと思います。

さて、「縁文様」ですが、見込みに描かれた主文様(白抜き、あるいは五弁花だけという作例も多いですが)に対して
皿縁を飾る装飾文様という定義だと思われますが、これが無数にバリエーションがあるように感じます。
ウチにある古伊万里なんぞ知れたものですが、その中から縁文様のある品をいくちか取り上げたいと思います。

① 縁文様が蛸唐草や花唐草はそこそこの数ありますが、これはちょっと珍しい白抜き蛸唐草(通称逆蛸)

享保~宝暦期と思われる隅切り皿ですが、主文様は面白みのない松竹梅だったりします

➁ 初期伊万里でよく見られる文様ですね(地紋も)

正保期の典型的な変形皿でしょうか

③ 墨弾きが特徴的な文様です

主文様、デザインともに寛文期を代表する様式でしょうか

④  伊万里では良く見かける文様である雪輪文を縁文様にしています

元禄~享保期と思われる品ですが、主文様はパッとしませんね

⑤ 墨弾きの技法で朝顔と思われる文様を描いています

中期末~後期の色絵小皿ですが、意外に手が掛かっているように感じます

とりあえずもう一回あるつもりでシリーズ①としていますが、ウチにある限られた古伊万里で二回目が書けるかは判りません。

花唐草と何かの文様

2022-08-03 21:08:09 | 古伊万里
最近は新しく古伊万里を入手できていませんので、過去に紹介した品を別の視点で分類して再掲することにしました。(今更ながら・・・)
今回はウチにある品の中から、花唐草と別の文様を組み合わせた品を紹介したいと思います。

① 花唐草の周囲に蓮弁文を描いたけの総花唐草に近い中期の小鉢です

花唐草の描き方はそこそこ細かいので、元禄あたりの品でしょうか

➁ デザイン化された花唐草と鳳凰という組合せ
あまり見かけない組合せでしょうか

③ 比較的に類品の多い唐獅子との組合せ

延宝~元禄あたり、いわゆる盛期伊万里で、唐獅子の絵付けも見事です


④ 図録(伊万里百趣)では「花と花唐草」として紹介されている品

花唐草文はやや雑になっており、恐らくは享保あたりの品と想像されますが、曲線で区割りしたデザインが秀逸な品です

⑤ 扇文という和風な絵柄と組み合わせた雅な印象の品

こちらも元禄~享保期あたりの品でしょうか

➅ 最後に登場するのは、いわゆる珍品の類で、なんと軍配文と組み合わせています

花唐草文はかなり雑で、宝暦以降の品と思われますが、この大胆なデザインはなかなかのものだと思います。

こうして見ていくと、盛期伊万里の職人さんの技量の高さに驚かされます。


鹿紅葉文

2022-08-01 23:34:00 | 古伊万里
私にとって古伊万里の師匠であるDr.kさんのブログで、疑問の残る鹿紅葉文のお皿を紹介しておりました
数ある古伊万里の文様の中でも鹿紅葉文はとても人気のある文様で、色絵柿右衛門の名品などは有名であるように思います。
当ブログでは既発表ですので今更なんですが、ウチに二つだけある鹿紅葉文の伊万里の鹿部分の拡大してみました。

その①
鹿紅葉文四寸小鉢

見るから中期といった品ですが、鹿の部分はこんな感じです

特に筆致が細かいということはありませんし、鹿もけっして上手ではありませんが、拡大しなければ業者さんにとっては「藍柿」なんでしょうか

➁ 型紙摺りと手描きを組み合わせた中期の六寸皿です

同じタイプの品で、鹿が三頭描かれている品もあるようです
手描きになっている鹿文様の拡大画像です

そこそこ細かい描写になっており、躍動感もあるように感じます
思えば古伊万里の収集を始めた頃は、「鹿」や「兎」、「鶉」といった文様の描かれた品は憧れの逸品だと思っていました。