今回は、マクロ大賞受賞作品の独創的なアイデアと時間対効果が
すばらいという所をご紹介させていただきましたが、
特に、この「時間対効果」の話で言いますと、例えば、
毎年、年度末に1回だけやる2時間程度の集計作業があったとして
これをマクロを組んで自動化するために2週間程度
(1日3時間づつ×14日=42時間)
が掛かったとします。
そうすると、掛かった時間の元を取るには実に21年間
(42÷2時間=21)も掛かってしまう計算になりますので、
これでは笑い話にしかなりません。
その逆に、毎月、月末に2日掛かり(計16時間)
掛けてやっている定型業務の処理をマクロで組むのに、
同様に42時間掛かったとすると、
たったの3ヵ月(42÷16時間)でおつりが出る計算
となりますので、
4ヶ月目からはまるっきりその貯金した時間の利息だけで
食べていけるみたいな、実においしい話となるわけです。
なのでまずは、
その辺の「費用対効果」ならぬ「時間対効果」ということを
よく考えてみて(計算してみて)、より時間対効果の高い業務
に絞ってマクロ化に取り組みましょう!!
で、その際に注意していただきたいのが、8:2の理論です。
営業や販売のお仕事に携わっている方ならよくご存知かと
思いますが、
マーケティングの「80対20の法則」という理論
(上位2割の顧客が8割の売上をもたらす)に代表される
まさにそれです。
面倒な手作業の80%は20%の労力で作れるマクロで
解決することができます。
が、
残り20%の部分はマクロを作ってやろうとすると
80%の労力を要するほど時間がかかり難しいものです。
システム開発の現場でも、フル仕様で作るには予算不足があると
いった場合には、この理論で作業のボトルネック(一番時間の掛か
っている作業)を抑えた上で、全体の8割のシステム化を提案する
といったことがよくあります。
私の長年のSE経験から言っても、20%の労力で(開発費で)
80%の作業の効率化が達成できるという場合が殆どなわけです。
残りの20%というのは、手作業でもほんの5分でできるもので
あったり、年に1度有るか無いか程度に発生するイレギュラーな
特殊データに対処する為のエラー処理であったりしますが、
当然、そうしたものまで対応した100%の自動化を求めれば、
100%の費用が掛かることになるわけです。
面倒な手作業の80%は20%の労力を掛ければ作れるマクロで
十分に処理ができますので、残り20%の部分は可能な限りは
手作業で対処する。それでも、年に1、2回あるかないかだったり、
手でも5分程度で終わる作業だったりするのであれば、業務現場の
担当者からも特に問題視されるということはありません。
皆さんが自分でマクロを作る場合でも、このことは当てはまります。
100%自動化しようとすると、とうしてもその中で難しい部分に
多くの時間が掛かってしまい、完成に至らない可能性も高くなるわけ
なんですが、
80%の自動化でよいという考えでやるのなら、短時間で完成できる
可能性はより高くなります。
100%のマクロ化で全自動処理が実現できることに越したことは
ないわけですが、それはやはり「時間対効果」をよく考えてみるべき
です。
100%マクロ化 → 処理時間30秒、マクロ作成時間 → 無限大
80%のマクロ化 → 処理時間30秒+手作業5分、マクロ作成 → 数時間
どちらを選ぶべきなのかは、明白ですね。(勿論、後者です。)
手作業でやったとしてもそんなに手間なく時間も掛からないという
部分で、且つ、マクロを組むには少々難易度高く難しそうだな、と
思われる部分の残り20%の部分については、
あえてマクロ化せずに、当面は手作業で片付る。という道を選択
することで、より短時間でプログラムが作成でき、「時間対効果」上
断然有利となるわけです。
このように、マクロ作りは「時間対効果」を考えて、
8:2(自動化したい作業の8割を、2割の労力で作る)
というのが、業務効率化には特に重要な考え方になります。
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