長崎県茂木港で、私は海を眺めていました。
潮の香りに包まれながら、これから熊本県へ向かう事に胸を躍らせていました。
この港から、熊本県の富岡港へ向かい、
その後、天草のSNS友達のお店を目指します。
天草へは、JR熊本駅まで電車で向かい、そこからバスを利用して行く手段もあったのですが、
時間的なものと経済的なものを考慮すると、
長崎で一泊したのち、この港から船で向かう方が、私にとって最良の手段だったのです。
8時10分発の高速船に乗船するため、フェリーターミナルで待機していたのですが、
私の他に乗船客らしい人が見当たらない・・・。
切符売場の窓口が開いてから、切符を購入したのは私だけ・・・。
ひょっとして、乗船客は私ひとりでは無いのか?(^_^;)
出港時刻の10分前になった時、
係の人が「船が到着したので乗船出来ますよ」と声をかけて下さいました。
フェリーターミナルから2分弱歩いた場所に私の乗る船が停泊していました。
船に乗り込むと、案の定、私の他に乗船客はいません。
そして定刻通りに出港。
誰もいない船室を見て、これは貸切だ!と喜んでいたのですが、
写真を撮りに行こうと船尾へ向かうと、女性の方がひとり座っていました・・・。
いつ乗船されたのかなぁ?
それでも結局、乗船客は、その女性と私のふたりだけでした。
長崎県茂木港をあとにして40分を過ぎた頃、船窓から富岡城が見えて来ました。
そして熊本県の富岡港に到着。
熊本県を訪ねるのは高校の修学旅行以来で36年ぶりになると思います。
富岡港に到着してすぐに、私は8時1分発の本渡バスセンター行きのバスに乗車しました。
このバスに乗り遅れると、次のバスまで1時間待つ事になるのです。(^_^;)
バスは港を離れ、田園風景の中を走り抜けて行きます。
牧歌的な風景と、のんびりした時間に心が休まり、つい居眠りしていまいます。
港を離れてから45分ほどして、目的の停留所に到着しました。
ここは一の瀬停留所です。
さあ!ここから目的のお店まではあと少し!
徒歩で15分弱です。
どこかしら、懐かしい雰囲気の町並みを歩いて行きます。
その町並みを抜けると、目の前に緑が広がります。
こういう景色の中を歩ける喜び・・・嬉しくて嬉しくて・・・。
この時の私の顔は、不気味なぐらいにニヤニヤしていたと思います。(^.^)
停留所から10分ほど歩いたところで、目的のお店の案内板を発見しました。
今回訪ねようとしているのは、うどん屋さんではありません。
「松村さん家のパン 松村さん家の隠れ家」というお店です。
天草の大自然に囲まれて、お店を営んでいらっしゃいます。
さあ、いよいよ到着だ!
人見知りの私の心臓がバックンバックンと・・・(^_^;)
やがて、お店が見えて来ました。
店主の姿も見えました。
店主が私に向かって手を挙げているのが見えたので、
私も手を挙げ、それに応えました。
挨拶もそこそこに「遠いところからわざわざ有難うございます。どうぞこちらへ」
そう言って、店主は冷房の効いた部屋へ案内して下さいました。
そこで正式に挨拶をして、私はテーブル席に着きました。
自然に囲まれたこちらのお店、
優しい笑顔と、やわらかい言葉使いで話される店主に、
私もいつしか友達の家を訪ねたような感覚になってしまいました。
しばらくして、店主がアイスコーヒーを出して下さったので、
私は朝から何も口に入れていなかった事もあり、
カウンターにあったパンをふたつ取って、コーヒーと一緒に頂く事にしました。
さあ食べようと思った時、店主の奥様がお見えになったので挨拶を。
店主の奥様が「うちはメロンパンが美味しいですよ。食べてみて下さい。」
そう言ってメロンパンを差し出して下さったので、私はメロンパンを受取り、
早速いただきました。
すると不思議なことに、なぜか涙がこみあがってきたのです。
私は涙をこらえるのに暫く必死でした。
このお店へ無事に訪ねる事の出来た安堵感と、
店主と奥様の優しさに触れ、そのような感情になったと思います。
心を込めて作られたメロンパンは、ずっしりしていて、クッキー地のサクサク感と甘さがほどよく、
中はもっちりとした食感で、旨味と味に奥行きのあるメロンパンでした。
とても美味しかった!!(^^♪
その後、店主と奥様から、「うちのパンは2、3日持つので奥様にどうぞ。」と、
いくつかパンを袋に入れて下さり、私に持たせて下さいました。
お心遣いに感謝です。m(__)m
時間があれば、もっともっとゆっくりしたかったなぁ~・・・。
お店は手作り感があって、人の温かみを感じます。
空気が美味しくて、店内に漂う木の香りが癒しを与えてくれます。
こちらのお店は焼きたてパンの他に、ランチメニューなどもあります。
このようなロケーションで、しかも、美味しい空気の中で食べるランチは格別だと思います。
詳細は↓↓こちらのサイトを覗いてみて下さい。
「天草グルメうまかもん」http://gourmet.kataranna.com/e8949.html
下の画像ですが、奥の部分、私が訪ねた時はリフォームの最中でした。
夏場、陽射しの強い場所を、涼しくする為のリフォームだそうです。
メロンパンとコーヒーをいただいている時、
店主と奥様から、お店周辺の観光スポットを教えていただきました。
「よかったら案内しますので、行きましょう。そのあと本渡バスセンターまで送ります。」と店主がそう言って下さったので、
私はその言葉に甘えることにしました。
出かける前に記念撮影という事で写真をパチリ。
可愛いバスと、専用のバス停の前で撮りました。(^.^)
写真を撮り終え、いよいよお店を離れる時が来ました。
青空と太陽がとてもよく似合うお店でした。
またいつの日か訪ねたい。
店主の車に乗り、お店をあとにしました。
お店をあとにして訪ねたのがこちら↓↓です。
こちらのお寺は「東向寺」です。
天草島原の乱後、民衆の心を落ち着かせる為、当時、天草の代官だった鈴木重成公が建立したお寺です。
その建立には、重成の実兄である鈴木正三和尚も係わり、仏教再建にも力を入れたそうです。
歴史的背景のある立派なお寺なんです。
ちなみに↓↓こちらは聖徳太子の象です。
私が知る聖徳太子のイメージとは違っていたので驚きでした。
聖徳太子と言えば、やはり旧一万円札のイメージが強いです。
その他、境内には「天中民吉邂逅の図碑」という陶磁器の碑があります。
この図に描かれているのは、東向寺の15代目住職である天中和尚と加藤民吉という人物です。
この加藤民吉という人物ですが、実は瀬戸焼の磁祖なのです。
簡単に話しますと、衰退しはじめた瀬戸焼の再興をかけ、瀬戸からこの地を訪れた加藤民吉に、
天中和尚は修業先の仲介をされたのです。
このご縁により、瀬戸焼は見事、盛り返す事が出来たのです。
私もこの地に訪れて初めて知ったのですが、
天草では上質な陶石が採れ、天草陶磁器というものがあります。
国指定の伝統工芸品にもなっているそうです。
特筆すべきは、天草陶磁器は販売目的ではなく、島民が生活の為に作っていたという事です。
今思えば、松村さんのお店でも、陶磁器があったような・・・。
あれは間違いなく天草陶磁器でしょう。
その他、境内には天を指さす仏像もあり、かなり印象的だったのですが、
なぜ、天に向けて指をさしているのか?
店主にお訊ねしたのですが、店主もその訳を知らないとの事。
ネットでも調べてみたのですが、今に至るまで理由は不明です。
どなたかご存知の方がいらっしゃれば、ご教示願います。m(__)m
少し余韻を残して東向寺をあとにしました。
東向寺をあとにして、次に訪ねたのは鈴木神社です。
この神社には鈴木三公が祀られています。
鈴木三公とは、天草代官の鈴木重成公、その重成の実兄である鈴木正三和尚、
正三の息子で重成の養子になった鈴木重辰公(重成没後に天草代官を任命される)の三名の人物です。
私は恥ずかしながら、ここへ訪ねるまで鈴木三公の事は全く知りませんでした。
私が知っている天草の知識と言えば、天草島原の乱と、天草四郎だけです。
でも、天草の島民にとって本当に大変だったのは、
天草島原の乱後だったという事を今回初めて知りました。
天草島原の乱後、土地は荒廃し、島民も疲れ果てていました・・・、
そんな中でも年貢の取り立てはかなり厳しいものだったそうです。
乱後、天草代官に任命された鈴木重成公は、農民達の現状を目の当たりにして、
幕府に年貢米の減免を訴えたのですが、その訴えはなかなか聞き入れてくれず、
最後の手段として、訴状を残し、自宅で切腹されたという説があります。
本来、幕府に抗議などもってのほかで、お家が取り潰しになってもおかしくないのですが、
天草の復興には鈴木家を頼るしかないと判断した幕府は、減免を実施し、
鈴木重成公に代わって、重成の養子である重辰に天草代官を任命しました。
鈴木重成公の実兄である鈴木正三和尚は「破切支丹」を執筆し、
当時のキリシタンの誤った思想に異論を唱え、
仏教の思想というものを論理的に記され、仏教の再建に尽くされました。
天草島原の乱後、鈴木三公の尽力により天草は復興したのです。
鈴木三公は、島民に鈴木三神と祀られ、現在でも「鈴木さま」と呼ばれています。
私の知らなかった歴史がここにありました。
本当に天草へ来て良かった。
鈴木神社は地元のパワースポットとしても有名だそうです。
鈴木神社のあと、本渡バスターミナルまで送って下さいました。
これが大いに助かりました。
本来、松村さん家のパン屋さんをあとにして、来た道と同じ、一の瀬バス停留所に戻り、
そこからバスで本渡バスターミナルへ向かう予定だったのです。
だから本当に助かりました。
そうそう、本渡バスターミナルへ向かう途中、鈴木三公の象を見学しました。
鈴木重成公像の背面に↓↓このような事が記されていました。
武士が農民の為に命を捨てるなんて、当時では考えられない事です。
天草の人達は、その恩を今も忘れてはいないのです。
苦しむ人がいたら助けになろうという気持ちも、きっと根付いていると思うのです。
忘れもしない今年4月14日に発生した熊本大地震・・・。
松村さん家のパン屋さんでは、15日の午前5時からパンを焼き、周囲から救援物資を募り、
パンと救援物資を車に積んで熊本市へ走ったそうです。
天草は幸いにも地震の被害は少なかったそうですが、熊本市は大変だったと話されていました。
苦しむ人がいたら助けになろう・・・その気持ちを持っているであろう、天草の人達・・・、
熊本地震の被害状況を知って、同じように悲しみ、同じように苦しんだと思います。
松村店主も、そういう気持ちを持たれていました。
その松村店主と別れの時が来ました・・・。
短い時間でしたが、本当に有意義な時を過ごせました。
「出会い」の大切さを、あらためて再認識できました。
少しの時間でしたが、私の人生にとって大きな時間になりました。
松村店主、そして奥様、
ご親切にしていただき本当にありがとうございました。
天草の歴史を知るきっかけを作って下さり、本当にありがとうございました。
優しさをありがとうございました。
バスに乗り、私は天草から旅立ちました・・・。
読者のみなさま、この夏はぜひ熊本県へ行ってみませんか?
天草をあとにした私は、熊本市内に入りました。
被災された家屋が目に飛び込んで来ました・・・。
痛ましい光景も目にしました。
それでも・・・それでもそこには日常がありました・・・。
私の目で見た熊本は、人々の日常的な姿でした。
その日常を取り戻すのに、歯を食いしばり、努力をされたと思います。
よく頑張られたと、私は頭が下がる思いでした。
ただ、私が見たそういう光景は、ほんの一握りの光景で、
まだまだ日常を取り戻せていないところが沢山あると思います。
だから読者のみなさまに、熊本県へ旅していただきたいのです。
震災前、当たり前のように町を歩いていた観光客の姿も、熊本では日常の風景だったと思います。
その風景を、日常を、取り戻すお手伝いが、私たち地方の人間には出来るのです。
なので読者の皆様、この夏はぜひ熊本県へ旅して下さい。
そして、天草へも足を運んで下さい。
松村さん家のパン屋さんでは、店主と奥様が素敵な笑顔で、みなさまの事を歓迎して下さいますから。
歴史と自然と優しさに触れる事が、きっと出来ますから。
※熊本市および長崎での旅の記事は、後日アップさせていただきます。
住所 熊本県天草市本町新休18-1
電話番号 0969-22-1235
【放浪うどん人は応援しています!】
2016年 関西うどんグランプリ ~ひやかけ編~
https://www.facebook.com/kansaihiyakakeouza/
映画『あのひと』予告編 川嶋杏奈さんが出演されています。
川嶋杏奈オフィシャルブログ
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TV&映画「太秦ライムライト」公式サイト
http://www.uzumasa-limelight.net/index.html
香西志帆監督
映画「恋とオンチの方程式」公式サイト
http://noranekofilm.com/koitoonchi/
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