まずはじめに、
今回の記事にうどんの話は出て来ません。
また、文章よりも画像が多い記事となりますのでご了承ください。
「男はつらいよ」という映画を好きになったのは小学校6年生の頃です。
寅さん(渥美清)の語りやその行動に、時には笑い、時には切なさを感じました。
つい先日も「男はつらいよ」の全作品を鑑賞したところです。
私は、寅さんが愛してやまない葛飾柴又へ訪ねてみたくなり、
今回の上京で、柴又へ訪ねることにしました。
作品の中で、幾度と見た京成電鉄の柴又駅、私が訪ねた時は、小雨が降っていました。
日曜日の午前8時ということもあり、私の他に人影はありません・・・。
そしてこの駅前で、念願の寅さんと会う事が出来ました。
1999年(平成11年)に建てられたフーテンの寅像です。
これから旅に出ようとする寅さんが、妹のさくら(倍賞千恵子)に呼び止められて振り返っています。
寅さんの目線の先に、兄の辛さや悲しみを共有しているさくらの姿があります。
さくらの像が建てられたのは2017年(平成32年)です。
寅さんは18年もの間、さくらに呼び止められるのを待っていたのですね。
思えば、作品の中で寅さんが旅立つ時は、大抵悲しみや寂しさを背負った時です。
寅さんが喜んで旅立ったというのは、数少なかったように思えます。
生き方が不器用な寅さんは、家族とよく揉め事をして、勢いで旅立ってしまいます。
妹のさくらは、そんな兄の気持ちをよく理解して、寅さんが旅立つのを見送ります。
「お兄ちゃんかわいそう・・・」と、涙するさくらの姿を見る度に、私はせつない気持ちになりました。
「この家で揉め事のある時は、いつも悪いのは俺だよ。
でもなぁ、さくら、俺はいつもこう思って帰ってくるんだ。
今度帰ったら、きっと、みんなと仲良く暮らそうって・・・、
あんちゃんいつもそう思って・・・。」(寅さん)
柴又駅を離れ、帝釈天に向かって歩きました。
途中、「男はつらいよ」のロケに使われたお店を発見。
その名も「とらや」です。
こちらのお店、もちろん現役で営業されています。
こうして映画のロケ現場が残っているのは、ファンとしては嬉しい限りです。
「とらや」さんから帝釈天は近い。
この門のところで、寺男であり寅さんの舎弟でもある源公(佐藤蛾次郎)がよく掃除していましたね。
映画の中で度々聴いた帝釈天題径寺の鐘の音、
確か下の画像のようなアングルで、鐘を鳴らすシーンが撮影されていたと思います。
帝釈天題径寺の境内に入りました。
境内に立つと、寅さんと御前様(笠智衆)の会話するシーンが思い出されます。
帝釈天をあとにして江戸川へ向かいました。
「男はつらいよ」のオープニングシーンで、よく登場したロケ地です。
主題歌「男はつらいよ」が流れる中、寅さんをきっかけに色々と騒動が起こるオープニングシーン、
よく笑わせてもらいました。
このロケ地には矢切の渡しがある事でも有名ですね。
この江戸川ロケで、印象に残るシーンが第9作「男はつらいよ 柴又慕情」でのワンシーン。
失恋して旅に出ようとする寅さんが土手に寝ころんでいます。
その傍らにはさくらがいて、失恋して傷心しているのに、それを認めようとしない寅さんに、
さくらが言います「じゃあどうして旅に出ていっちゃうの?」
すると寅さんは空に人差し指を向けて「ほら見な、あんな雲になりてぇんだよ。」と返します。
風の吹くまま、気の向くまま、それはまるで風に流される雲のように・・・。
そんな旅の中で、寅さんは幾たびも気持ちをリセットしていたのでしょう。
それでも尚、癒えない寂しさや悲しみを、笑顔でごまかしていたのでしょう。
「寂しさなんてのはなぁ、歩いているうちに風が吹き飛ばしてくれらぁ」(寅さん)
江戸川をあとにして「寅さん記念館・山田洋二ミュージアム」を訪ねました。
なんと、一番客ということで、記念のボールペンをいただきました。
さっそく館内へ。
館内撮影はOKです。
こちらのくるまやのセットは、実際に撮影で使われたものです。
↑↑こちらの部屋では数多くの名シーンが誕生していますね。
寅さんの妄想話に、家族が一喜一憂する姿が愉快でした。
「今夜はこの辺でお開きってことにするか。」
そう言って階段を上がって行く寅さんの姿が印象的でした。
階段の先には寅さんの部屋があります。
その寅さんの部屋が大爆発したシーンを、今でも鮮明に覚えています(笑)
第20作「男はつらいよ寅次郎頑張れ!」を是非ご覧になってください。
結局のところ↓↓この六畳一間の部屋で繰り広げられたものは、家族の愛情劇なんですよね。
「甥っ子がバカにされて黙ってられるか!」とおいちゃん(森川信・松村達雄・下條正巳)。
「寅ちゃんが何をしたって言うんだい!」とおばちゃん(三崎千恵子)。
いつもそう言って寅さんを庇います。
おいちゃんとおばちゃんの、寅さんに対する愛情を感じます。
ただ、その愛情を見事に裏切るのが寅さんだったりしますけど・・・(笑)
くるまやの裏には、タコ社長(太宰久雄)が経営する朝日印刷所があります。
さくらの夫、博さん(前田吟)がこの印刷所に勤めています。
この印刷所で印象に残っているのが、寅さんの「貧しい労働者諸君。」と言うセリフと、
初期の作品で、印刷所の工員がよく歌っていた「スイカの名産地」です(笑)
↓↓その他の展示物
穴を覗くと昭和の街並みが。
昭和30年代の帝釈天参道の街並みです。
↓↓「思い出に残るなつかしの駅舎」
駅員が切符を切っていた時代の駅舎を再現したそうです。
↓↓この駅の伝言板に書かれている内容が面白い。
↓↓帝釈人車鉄道
人力の鉄道車両が展示されていました。
車内に入ることも可能。
↓↓「寅さんが愛した鈍行列車の旅」
車窓には「男はつらいよ」の旅の名場面が映し出されていました。
次に、寅さんの衣装、トランクなどが展示されているコーナーへ。
寅さんって、春夏秋冬、ずーっと↑↑このスタイルを通していましたね。
作品内で使われた、履歴書やパスポートなども展示されていました。
実は「男はつらいよ」、海外ロケもされています。
映画では謎のままだったトランクの中身が展示されていました。
最後はエンディングコーナー
壁面がスクリーンになっていて、「男はつらいよ」の歴代ポスターが映し出されていました。
傍らに歴代マドンナの写真があり、それを見ていてふと気づきました。
下の画像、右下に何やらサインのようなものがある・・・。
よく見ると、何と!浅丘ルリ子さんのサインです。
しかも、今年の四月に書かれたものです。
「男はつらいよ」の歴代マドンナの中で、寅さんが最も愛したマドンナ、リリー・・・。
そのリリーの役をされていたのが浅丘ルリ子さんです。
とても素晴らしいものを見た気がしました。
今年の年末に公開される第50作「男はつらいよ お帰り 寅さん」にも、
浅丘ルリ子さんはリリー役で出演されます。
新作の主演はもちろん寅さんです。
ただ、さくらの息子、満男(吉岡秀隆)を中心に、ストーリーが展開されるようですね。
どのような作品になるのか?楽しみにしています。
↓↓山田洋次ミュージアム
記念館をあとにして、駅に向かって歩いていると↓↓このような看板を目にしました。
寅さんのセリフが書かれていました。
このような看板が、柴又には随所にあるようです。
帝釈天参道へ戻った時、参道のお店が開店して、燈が灯り、賑わい始めていました。
もちろん、草団子もしっかりと食べました。
美味しかったですよ。
そして柴又駅。
「満男、困ったことがあったらな、風に向かって俺の名前を呼べ、
伯父さんどっからでも飛んで来てやるから。」(寅さん)
♫ あてもないのにあるよな素振り、それじゃあ行くぜと風の中 ♫
♫ 止めに来るかとあと振り返りゃ、誰も来ないで汽車が来る ♫
♫ 男の人生ひとり旅、泣くな嘆くな ♫
♫ 泣くな嘆くな影法師、影法師 ♫
♫ 男とゆうものつらいもの、顔で笑って ♫
♫ 顔で笑って腹で泣く、腹で泣く ♫
(「男はつらいよ」主題歌より)
新作映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』特報
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