小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

政府答弁の欺瞞性を暴いた――内閣法制局の憲法15条解釈はデタラメだ。

2020-11-14 04:15:44 | Weblog
日本学術会議会員の任命問題について、首相官邸に一国民として質問状を出したが、回答期限の20日はまだ来ていない。
が、この記事で学術会議会員の任命権論争は、論理的には完全に終止符を打つことになる。いかなる法学者といえど、この記事で展開した私の論理は絶対に覆すことができない。そのことをいのちをかけて断言する。論理は知識より強し。
政府は、日本学術会議法7条2項の規定に基づいて日本学術会議が推薦した「会員候補」(条文にはこの言辞はない)の任命義務の有無について、「必ず任命しなければならないわけではない」と国会で答弁した。その法的根拠について政府は「憲法15条の規定に基づき内閣総理大臣に任命権があることを、内閣法制局が確認した」と答弁している。
法律解釈、憲法解釈がかなり交錯してきて、法曹家も大混乱をきたしているようだ。こういう時は専門家が専門知識を振りかざして「ああだ、こうだ」とやり合うより、私のようなど素人が中学生並みの単純な思考法で、論点を単純素朴に整理したほうがいい、と私は考えている。
野党国会議員とかメディアのジャーナリストといった「高級人種」は知識に頼りがちなので(というより思考力に欠けているため)、「内閣法制局」などという権威を持ち出されると、たちまち思考停止に陥ってしまうようだ。
そこで、総理に任命権があるか否かについて「憲法15条を適用できるか否か、またどう解釈したら総理の任命権の法的合理性が得られるのか」、私は内閣法制局に直接電話で問いただした(1時間弱。電話代もバカにならないぞ)。国会議員もメディアのジャーナリストも、最初から恐れ入ってしまって、肝心の内閣法制局がどういう憲法解釈をして政府に「お墨付き」を与えたのかの取材すらしていないようだった。
まず、日本学術会議法17条の規定を見ておこう。

日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。

この条文には「日本学術会議は……会員の候補を選考し」と明確に記載されている。「総理の任命権」の有無は一応置いておいて、「会員の候補者」の選考権が日本学術会議にあることは明確である。ただし、日本学術会議の選考権は「会員」ではなく「会員の候補者」である。ただ、「会員資格がある」と日本学術会議が選考した推薦者が会員の定数を絶対越えなければならないとの解釈も無理だ。また推薦に値する学者が定員に満たなくても「絶対に定員を満たさなければならない」と解釈するのも無理だ。「定員」はあくまで会員数の上限を意味し、「105名の定員に対して、今回は推薦できる学者は100名しかいなかった」として日本学術会議が定員割れの推薦をすることも十分可能だ。
次に憲法15条を見てみる。憲法15条は1項しかなく、条文中に「公務員」という言葉が3か所出てくる。私は内閣法制局の職員に対して、ちょっと意地悪な質問をぶつけてみた。案の定、職員の答えは大混乱した。当たり前である。取り合えず、憲法15条の条文はこうだ。

公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
公務員の選挙については、成人者による普通選挙を保障する。
すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

私はまず、【この条文には「公務員」という記載が3か所ある。憲法に限らず、法律でも条文に使用されている「公務員」という言葉の解釈がばらばらということはありえませんね】と内閣法制局職員にあらかじめ念を押しておいた。はっきり言えば、罠を仕掛けたのである。そういうやり方は「アンフェアだ」と思う人は勝手にそう思えばいい。
憲法15条の適用について日本学術会議に属する憲法学者会員が直ちに反論を開始した。まず早稲田大学教授の長谷部恭男氏は「一般的、抽象的な理念を言葉にしており、実質的な権利を定めているわけではない。それぞれの公務員に即した個別の制度を見ないと、任命権の行使の在り方についてきちんとした結論が出てくるわけではない」として、機械的に当てはめることは許されないと断罪した。
次に東大教授の石川健治氏は「日本学術会議法という個別の法律に会員の任命に関する規定があるにもかかわらず、内部文書が憲法の条文を持ち出して説明するのは遺憾」「特別法が一般法に優位する原則を掲げて任命拒否するのは、法秩序の統一性、連続性を破壊する行為で、極めて危険」と指摘した。(※長谷川氏と石川氏のコメントは報道に基づく)

憲法学者の見解はともかくとして、私が内閣法制局に噛み付いたのは、憲法15条が想定している「公務員」とは誰を対象にしているかという一点だった。すでに述べたように、憲法15条には「公務員」という言葉が3か所出て来る。もし、3つの「公務員」の位置づけがそれぞれ違うのであれば、それぞれの「公務員」についての定義を明確にしなければ、成文憲法としては成り立たない。
で、まずそのことを内閣法制局の職員に確認した。私が仕掛けた罠に気づいていなかった職員は「その通りです」と答えた。で、私はじわじわ、可哀そうな職員の首を締めあげていった。私はもはや「いじわる爺さん」になった。
1時間弱の時間をかけて、どう首を締めあげたかは省略する。とにかく途中で言い逃れができないように、じわじわ締め上げたことだけ申し上げておく。
まず、憲法15条が想定している「公務員」とは、3番目にはっきり規定されている。
「公務員の選挙については、成人者による普通選挙を保障する」
この一文で憲法15条が対象としている「公務員」とはどういう立場にある公務員か、ということが明確にされている。具体的には、国会議員、地方自治体の首長や地方議会議員が対象である。
特別職の公務員は、有権者の選挙で選出される議員や首長以外にも、ユネスコ委員、学士院会員、学術会議会員、裁判官、検察官、防衛庁職員、国会議員の公設秘書などたくさんある。が、「成人の普通選挙」で選出される特別職の公務員は議員(国会及び地方議会)と自治体の首長だけだ。
つまり、学術会議会員という特別職の公務員の任命権が内閣総理大臣にあるとするならば、議員や首長以外の特別職公務員は憲法に違反して、その職に就いていることになる。「成人者による普通選挙」で選出されたわけではないのだから。また、特別職ゆえ、内閣総理大臣に学術会議会員の任命権があるというなら、他の特別職公務員に対しても任命権を行使しなければ、内閣総理大臣は憲法違反を犯していることになる。さらに任命権の行使は当然のことだが、任命責任を伴う。かつて証拠をねつ造して懲役刑に服した大阪地裁の主任検事がいたが、時の総理大臣は任命責任を取っただろうか。その一点だけでも、菅総理を法廷に引きずり出せることになる。
私の追及に窮した内閣法制局職員は、自信なさげに「三つ目の公務員はご指摘の通りだと思いますが、一つ目と二つ目の公務員については広く解釈したのだと思います」と、バカ丸出しの返事をした。
憲法にしろ、一般法律にしろ、その条文で使用される共通した「公務員」が、それぞれ異なる対象を、それぞれについての「定義」を抜きにして、権力者が恣意的に解釈できるように曖昧にすることが許されたら、日本はもはや法治国家ではない。「法律は国民を縛るが、憲法は権力者を縛る」のである。
念のため、憲法15条が対象とした「公務員」は、私が中学生レベルの思考力で考えた「議員及び首長以外にはあり得ない」という解釈を適用すれば、憲法15条に3か所使用されている「公務員」についての位置づけとの齟齬はまったく生じない。すべて整合性の取れた解釈ができる。
日本学術会議会員に対しては失礼だから除外するが、野党議員やジャーナリスト・評論家といった「高級人種」は、もう一度中学生からやり直せば私のような思考力が身につくと思う。
やっぱり、無理かな…。

なお、電話を切る直前に内閣法制局の職員にこう言っておいた。
「私が菅総理の立場で、どうしても任命したくない人が6人いたら、私だったら安保法制にしろ、共謀法にしろ、特定秘密保護法にしろ、政府方針に賛成した学者を一人だけでも入れておく。もちろん、その学者に対してはそれなりの処遇を約束したうえでだが」と。
そうしておけば、この問題はそれほど大騒ぎする問題にならなかった。「いじわる爺さん」は、時々指先が滑ってしまって余計なことまで書いてしまう。
最近の中学生は「悪知恵」も働くからね。
全部の中学生ではない。不良化した中学生のこと。そう断っておかないと、「女性はウソをつく」と口を滑らして顰蹙を買った女性国会議員と同類視されかねないから…。

【追記】 文部科学省「大学入学共通テスト」担当職員への提案
 来年の共通テストの小論文テストに、以下の問題を出してもらいたい。果たして受験者がどういう解答をするか。
「以下は憲法15条の全文である。

公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
公務員の選挙については、成人者による普通選挙を保障する。
すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

この憲法の条文には、公務員について三つの記述がある。政府は、それぞれの公務員について異なる解釈をしている。政府が解釈しているそれぞれの異なる公務員について政府の解釈を考え、それぞれ200字以内にまとめよ。さらに、この3種類の公務員について、内閣総理大臣が特別に任命権を有している公務員がある。その公務員はこの条文に出てくる何番目の公務員か」



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