定跡本として、加藤一二三先生の「プロの中飛車破り」を使います。古い本 (昭和57年出版) なのですが、加藤先生がこの袖飛車について書いてある本を、他には知らないです。
昨日みた袖飛車と違うのは、47金と上がらないことです。
すると金銀4枚の舟囲いは、片美濃よりも堅いのです。あとは攻撃力があれば優秀だとなります。ここで31金と引くのが大山流ですが、指されたのは少し違う形だったと思います。35歩同歩同飛32飛
後手は22角から飛交換をねらいます。36飛には45歩33角成同飛35歩
先手が飛交換はしにくく、ちょっとひるんだ感じです。46歩同銀28角37桂
ここで分岐です。19角成45桂32飛53桂成41香
43成桂同香45歩18馬47銀
36馬同銀と進んだ局面を、加藤先生は先手十分だというのですが。飛桂香と角銀の交換は駒損、先手玉は堅いです。攻め駒は2対4でちょっと苦しいか。先手は3,4筋を押さえこめるかどうかなのですが、評価値は+20、互角です。
戻って
後手は44歩と受けることもできます。34歩と突きだしてまた分岐です。
34同銀には15角
32歩35歩43銀33角成同歩29飛
これは角が死んでいますね。評価値は+686の先手有利。
ちょっと戻って
34同飛は同飛同銀53角41飛
この自陣飛車は米長先生が指した手です。「米長の将棋」にも載っています。加藤先生は互角だとしています。AIに聞くと、31角成同飛29金が正しく (実戦は35歩43銀31角成同飛42金33飛41飛32銀・・・)
先手良しだと。45歩28金46歩22角41飛48歩
駒の損得はほとんどないのですが、後手陣に角や飛を打ち込めます。
また戻って
本には書いていないのですが、AIの最善手は32飛です。33角の勝負手に35歩の返し。
35同銀は33桂、35同飛は34銀同飛33飛、なので26飛19角成11角成34飛と進むのですが、
この図の評価値は-90、後手ペースとして良いでしょう。
2通りの変化を調べましたが、先手はどうにか互角というくらいです。