20151205今日の一手
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/28/d3b4e9bfe7b8c5e5f11e01a606e12e9c.png)
10月10日の名南将棋大会からYさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
昨日の一手の回答
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/63/71b7213796b3948886659e5ddd28d7fe.png)
☆ 形勢判断をします。
先手の2歩損ですが、持ち歩があるので損得なしとします。
玉の堅さは同程度。上ずっているとはいえ後手玉は金銀3枚ですから少し堅いのかもしれません。
先手の攻め駒は58飛と持ち駒銀で2枚。68角や35金はまだ後手陣には届いていません。
後手の攻め駒は持ち駒銀1枚。
総合すれば互角です。
大局観として
3筋から5筋で小競り合いがあり、銀交換ですが先手の2歩損です。歩損はいいのですが、持ち歩が1枚なので攻めを継続するのは大変です。歩を補充できるところがありません。
後手は銀矢倉を目指し、銀の交換は互いの攻めの銀の交換だったのでイーブンです。先手は攻め駒が足りないので右の金を繰り出しました。後手は金銀の厚みで抑え込みたかったのですが、46金が存在するので3筋4筋に位を取って、という構想が実現できません。そこまで考えれば先手を持ちたい局面です。
先手はどう攻めるか、という前に必ず指したい手があります。
× 実戦は35歩でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/3f/58eacb8243aa8512f5a953740cfa1db4.png)
最後の1歩です。これを使うと歩切れになるので、先手の駒損ということになります。35金とぶつける筋もあったのです。68角の利きに歩を打つのは筋がよいとは言えません。(筋が悪い好手というのもあります。)
44金寄に45銀とかぶせましたが32玉
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/66/eae0c81d5c49f04a98e3b937f94bbe12.png)
勢いに任せて攻めたのですが、後手の金銀の厚みが生きます。
34歩42銀44銀同金35金
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/b6/6b9df853a33956063d294629536206cd.png)
35同金同角47銀
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/a3/f3021d560e6bf30af151c44ddacc4bf4.png)
後手のカウンターが決まりました。53角成は飛車を取られて王手ですし、53飛成も取って59飛で馬を抜かれます。飛車を逃げては苦しいです。
この局面になれば、玉を囲っておくのだったと反省するのですが、それはいつでしょうか。問題図です。
○ 最善手は79玉です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/53/57819ea49eebcf59ebba7febea4dcf07.png)
一回別の攻めの準備の手を指したとしても、そのあとには必ず79玉です。乱戦でも局面が少し落ち着いたら、新たな戦いが始まる前に玉を移動しておくのです。
後手から攻めの手がありませんね。できれば88まで囲っておきたいのですが、69銀があるのでまずは79玉までです。
79玉には後手も32玉ですね。後手だって金銀のそばに玉を移動するのが正しい手です。そこからの攻め手を考えましょう。
37桂が自然な手です。攻め駒を増やしていきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/b5/739134f32b1cc30c761621b1a10ab539.png)
ただしこれは36歩の対策が必要です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/e5/238301049d58c2c0f3bbb4277d175450.png)
取れば47銀ですね。45桂44銀は桂取りでこれも忙しいので、35歩44金寄45桂と工夫します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/54/29d64c0a0f7ed21609e947b1a747333f.png)
42銀に34銀と絡んでいきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/92/69d284f3fe09c2cdecc03a7e9bda200a.png)
37歩成43銀成同金34金47銀
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/4d/dff388c45a3c30ee65aabca56b94b9ba.png)
これは難しい戦いです。持ち歩があれば43金同玉44歩で簡単なのですが。
あるいは88玉と入っているとか、56飛と浮いているとか、なにか少し違えば先手が優勢になりそうです。
× 38飛は45歩36金47銀
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/12/40b4c5e7025baba29413fb5a79af4450.png)
金を消去して位を取られたら先手が不利です。
○ 有力なのは48飛です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/d5/e2a346d18068635a4a9d815c688003ed.png)
銀を打たれる傷が減っています。後手は44歩や35歩とできない(歩を渡す)ので困ります。
また、のんびりしていると88玉を許すので、74歩37桂に84角とするくらいですが、35銀と打ちます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/4c/c4bdab3381b9d70fd43c4e6b0723d217.png)
歩の代わりに銀をかぶせます。35同金では先手の攻め駒が増えるだけなので、攻め合いの65歩に34銀同銀45金
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/cc/d916d04a89b02a73045d4633ad1dd085.png)
金をぶつける代わりに35歩なら銀が取れますが、66歩が厳しくなります。なので金をぶつけてさばきます。
これに47歩(同飛なら56銀)には58飛が幸便、45銀に44歩
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/42/3a3ab8f1befeea8ce23b01876741dae8.png)
これは技ありです。44同金に45桂で受けが難しいです。
戻って45同銀同桂44歩が難しそうですが
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/43/2100664cae0238eaa2ec25c57f04bee6.png)
33歩同桂53桂成同金34歩
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/9b/134b09ab668446b7f5bff8f15ab9748e.png)
ちょっとひねった桂馬の取り方ですが、これで24歩同歩同角と歩を補充しながら攻めることができれば先手が有利になります。
△ 他には28飛ですが
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/a5/a5a97f12bd30c1f5c7493b7e37784137.png)
45歩36金47銀ともたれられます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/77/97b18d0d863af78dc9caafcbe971d496.png)
飛車を移動するなら48がよい、というのがわかります。
☆ まとめ
乱戦で始まると、アドレナリンが放出されるのか、攻めることばかり考えてしまいますが、有段者になれば自玉の堅さに注目しているものです。自玉が堅ければ少し無理にみえる形でも攻めが続きます。戦いながらも落ち着いて来たら玉を囲います。あるいは相手の攻め駒に当てながらの受けを織り交ぜたりして、少しでも相手玉よりも堅くなるように苦心するのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/28/d3b4e9bfe7b8c5e5f11e01a606e12e9c.png)
10月10日の名南将棋大会からYさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
昨日の一手の回答
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/63/71b7213796b3948886659e5ddd28d7fe.png)
☆ 形勢判断をします。
先手の2歩損ですが、持ち歩があるので損得なしとします。
玉の堅さは同程度。上ずっているとはいえ後手玉は金銀3枚ですから少し堅いのかもしれません。
先手の攻め駒は58飛と持ち駒銀で2枚。68角や35金はまだ後手陣には届いていません。
後手の攻め駒は持ち駒銀1枚。
総合すれば互角です。
大局観として
3筋から5筋で小競り合いがあり、銀交換ですが先手の2歩損です。歩損はいいのですが、持ち歩が1枚なので攻めを継続するのは大変です。歩を補充できるところがありません。
後手は銀矢倉を目指し、銀の交換は互いの攻めの銀の交換だったのでイーブンです。先手は攻め駒が足りないので右の金を繰り出しました。後手は金銀の厚みで抑え込みたかったのですが、46金が存在するので3筋4筋に位を取って、という構想が実現できません。そこまで考えれば先手を持ちたい局面です。
先手はどう攻めるか、という前に必ず指したい手があります。
× 実戦は35歩でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/3f/58eacb8243aa8512f5a953740cfa1db4.png)
最後の1歩です。これを使うと歩切れになるので、先手の駒損ということになります。35金とぶつける筋もあったのです。68角の利きに歩を打つのは筋がよいとは言えません。(筋が悪い好手というのもあります。)
44金寄に45銀とかぶせましたが32玉
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/66/eae0c81d5c49f04a98e3b937f94bbe12.png)
勢いに任せて攻めたのですが、後手の金銀の厚みが生きます。
34歩42銀44銀同金35金
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35同金同角47銀
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/a3/f3021d560e6bf30af151c44ddacc4bf4.png)
後手のカウンターが決まりました。53角成は飛車を取られて王手ですし、53飛成も取って59飛で馬を抜かれます。飛車を逃げては苦しいです。
この局面になれば、玉を囲っておくのだったと反省するのですが、それはいつでしょうか。問題図です。
○ 最善手は79玉です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/53/57819ea49eebcf59ebba7febea4dcf07.png)
一回別の攻めの準備の手を指したとしても、そのあとには必ず79玉です。乱戦でも局面が少し落ち着いたら、新たな戦いが始まる前に玉を移動しておくのです。
後手から攻めの手がありませんね。できれば88まで囲っておきたいのですが、69銀があるのでまずは79玉までです。
79玉には後手も32玉ですね。後手だって金銀のそばに玉を移動するのが正しい手です。そこからの攻め手を考えましょう。
37桂が自然な手です。攻め駒を増やしていきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/b5/739134f32b1cc30c761621b1a10ab539.png)
ただしこれは36歩の対策が必要です。
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取れば47銀ですね。45桂44銀は桂取りでこれも忙しいので、35歩44金寄45桂と工夫します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/54/29d64c0a0f7ed21609e947b1a747333f.png)
42銀に34銀と絡んでいきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/92/69d284f3fe09c2cdecc03a7e9bda200a.png)
37歩成43銀成同金34金47銀
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これは難しい戦いです。持ち歩があれば43金同玉44歩で簡単なのですが。
あるいは88玉と入っているとか、56飛と浮いているとか、なにか少し違えば先手が優勢になりそうです。
× 38飛は45歩36金47銀
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/12/40b4c5e7025baba29413fb5a79af4450.png)
金を消去して位を取られたら先手が不利です。
○ 有力なのは48飛です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/d5/e2a346d18068635a4a9d815c688003ed.png)
銀を打たれる傷が減っています。後手は44歩や35歩とできない(歩を渡す)ので困ります。
また、のんびりしていると88玉を許すので、74歩37桂に84角とするくらいですが、35銀と打ちます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/4c/c4bdab3381b9d70fd43c4e6b0723d217.png)
歩の代わりに銀をかぶせます。35同金では先手の攻め駒が増えるだけなので、攻め合いの65歩に34銀同銀45金
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/cc/d916d04a89b02a73045d4633ad1dd085.png)
金をぶつける代わりに35歩なら銀が取れますが、66歩が厳しくなります。なので金をぶつけてさばきます。
これに47歩(同飛なら56銀)には58飛が幸便、45銀に44歩
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/42/3a3ab8f1befeea8ce23b01876741dae8.png)
これは技ありです。44同金に45桂で受けが難しいです。
戻って45同銀同桂44歩が難しそうですが
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/43/2100664cae0238eaa2ec25c57f04bee6.png)
33歩同桂53桂成同金34歩
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ちょっとひねった桂馬の取り方ですが、これで24歩同歩同角と歩を補充しながら攻めることができれば先手が有利になります。
△ 他には28飛ですが
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/a5/a5a97f12bd30c1f5c7493b7e37784137.png)
45歩36金47銀ともたれられます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/77/97b18d0d863af78dc9caafcbe971d496.png)
飛車を移動するなら48がよい、というのがわかります。
☆ まとめ
乱戦で始まると、アドレナリンが放出されるのか、攻めることばかり考えてしまいますが、有段者になれば自玉の堅さに注目しているものです。自玉が堅ければ少し無理にみえる形でも攻めが続きます。戦いながらも落ち着いて来たら玉を囲います。あるいは相手の攻め駒に当てながらの受けを織り交ぜたりして、少しでも相手玉よりも堅くなるように苦心するのです。
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