20180207今日の一手
10月28日の名南将棋大会から、KさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得ですが後手に持ち歩があるのでカウントせず、損得なしとします。
玉の堅さは先手玉は横からは堅く、後手玉は上部に厚いという違いです。52金が離れていると思えばやや先手のほうが堅いか。
先手の攻め駒は75角1枚。76飛も働きそうで2枚近いですが。
後手の攻め駒は26角74飛で2枚。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
75角が気になるところで、飛車の素抜きの筋がないとすれば先手の負担なのですが、76飛にひもがついているので当面はどちらが得ということでもないようです。派手な変化が潜んでいるかもしれませんが。
2筋の歩を交換されたところで、素直に27歩は気合が悪い、と思うのは棋風次第。手堅く指そうというのもあるでしょう。ただ角の位置が44からそれたので、何か手があるのではないか、と探したいです。
△ 実戦では27歩とおとなしく守って
44角47金に15歩同歩17歩
これは指し過ぎではないかと思うのです。17同香25桂16香
としておけば後手からの後続の手段が難しく、先手からは26歩同角27銀44角26歩で桂馬が取れます。
17歩には26歩というのがよくある受け方ですが
15香16歩同香27銀
銀を使って受けます。18歩成同香同香成同玉25歩同歩26歩
これは失敗。2筋を攻められてはいけません。
実戦では37桂
と端を放棄したのですが悪手でしょう。15香に14歩同銀55歩18歩成
この と金を取り切れず、17角成を許しては明らかに不利です。
△ 47金を先にしても44角
で26歩を見られるのは嫌なので、先手は27歩と守ることになりそうです。
× 27銀とすると
銀冠を作れそうでも、44角26歩25歩同歩26歩38銀25桂
2筋に嫌味が残ります。
△ 24歩と打てば
24同銀と取らせて後手の銀冠が崩れます。でも1歩損するし、この後の指し方次第。24同銀27歩でゆっくり指すだけでは得になっているかどうかわかりません。
× 53角成が成立すればよいですが
76飛26馬77飛成
ダイレクトに桂を取られるのでは悪いです。
× 65桂は64歩で
53角成の筋は不発です。
× 85桂のほうは
84歩53角成76飛26馬79飛成
これも少し悪いです。
○ 96歩は
42金右97角76飛同銀89飛24歩同銀23歩12玉
これで難しいところではありますが、飛車交換で2筋の歩交換を逆用したという主張があります。まあまあでしょう。
△ 86歩は
86同歩同角76飛同銀89飛82飛42金右64角
飛車交換で角もさばいてしまえばよい感じです。
後手は86歩を取らないで44角27歩15歩85歩16歩18歩
端を謝るべきかどうかは難しいのですが、8筋の取り込みよりは1筋の取り込みのほうが大きいので互角に近いですが後手もち。
△ 65歩は
やはり角の移動で飛交換を見ています。44角27歩73桂に66角
76飛44角同歩(74飛66角では先手よし)76銀79飛
という飛角の総交換での戦いです。
戻って66角よりは53角成
としたほうが少し得で、76飛44馬同歩76銀79飛72飛43銀73飛成77飛成
66角と53角成の違いは、後手の53歩を取っているかどうかですが、73竜の位置なので55桂が少し厳しくなって先手の得です。
もっと工夫できて27歩と謝る前に24歩を入れたらどうか。
24同銀23歩同金27歩
これで73桂に53角成以下が決まれば
先手よしでしょう。
ところが後手は73桂ではなく66歩と打つのがあって
66同銀では身動きを取りにくい(けれどそうしておくものか)ので66同角76飛44角71飛66角76歩
1歩しかないので72歩同飛73歩(同飛85桂)とできません。
ならば1歩節約して23歩を打たずに27歩で
73桂なら53角成以下この図です。
これは先手が指しやすそう。
後手は66歩以下同角76飛44角71飛66角76歩
72歩同飛73歩82飛76銀69飛
こんな調子でしょうか。互いに少しずつ妥協していてよい勝負です。
先手が妥協しないと27歩を打たずに24歩同銀23歩同金53角成
76飛44馬同歩76銀27歩
は激しいことになりますが、後手の攻めのほうがわかりやすいです。
○ 最後は55歩です。
55同銀には56歩46銀47歩
後手は銀を44に引くと27歩で角が死ぬし、64銀は同角同飛72飛成が嫌な感じ(24歩からのたたきもある)です。
46に銀が出るのは仕方ないですが、銀が死んでしまいます。
57銀成同金45桂58金引75飛
だけど飛車を切って王手飛車がありますね。75同飛64角55歩75角72飛
両取りの応酬でしたが先手の駒得で終わります。
後手は63銀と引くのが仕方ないでしょう。
派手に行くなら65歩44角64歩
64同銀同角同飛72飛成63角
となって形勢互角です。(細かいですが最初の55歩に同銀56歩64銀同角と進むと26角の形で1手違います。)
先手はその順を選ぶか、じっと56銀
としておくか。先手から45歩があるので54歩同歩26歩47金42金右
こんな感じで先は長いです。26歩は不気味だけれど、24歩がいつでも打てるし、45歩で角も追えます。
53歩成同角同角成76飛63馬77飛成
という図は26歩がかなり脅威です。
では24歩を入れて
24同銀42角成76飛53歩成42金同と
77飛成には43と、77角成には67金というのも面白そうです。
☆ まとめ
はっきり先手よしになりませんでしたが、面白く戦える順はあります。それは後手が26歩同歩同角、と動いたから。動けば動かれるというのも将棋の格言です。ちょっと違和感のある動き方をされたら、素直に応じずになにか逆用できないか?と考えてみましょう。
有力なのは75角を移動して飛車をぶつける狙いです。いきなり53角成は無理なので、96歩や65歩が選択肢。その前に55歩もかなり有力です。後手の角が26にあると27歩と打たれるのが消えているという瞬間なのです。
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