会場となるトレッサ横浜を朝日が包む。冬の日の出って何でこんなに澄んだ紺色を見せるのだろう。寒い日だからといって、その先には険しい寒さがずっと続いていく訳ではない。太陽が昇るにつれて暖かくなっていく。
11時を少し回ってステージに現れたメンバー達。ショッピングセンターの中庭にある階段にステージが設けられている。七人の顔が光に照らされている。
メンバー挨拶でタケちゃんがJリーグの全チーム名を言う試みにチャレンジしていたり、めいめいが行ってみたい駅の発表をしたり、新メンバーがのびのび振る舞っている。歌やダンスでも。
タチアガールを歌っていた時、あやちょがとても優しい笑顔を見せた。力強くも憂いも帯びた笑顔。自信を更に膨らませたような表情で踊る花音。逆に表情に余裕はないがとにかく必死さが伝わるりなぷー。踊りながら笑顔を絶やさないかななん。
なぜだかわからないけれど、タチアガールを観て、聴いていたら胸が熱くなり確実に心に涙がこぼれた。つんくPはタチアガールを明るく踏み出すための曲として作った筈。でも、明るく前向きな曲だからこそ本当の悲しみを表現出来るのではないだろうか?それは名曲の定義ではなく佳曲の定義である。
タチアガールの振り付けで二番目に好きなのは拳を突き上げながら立ち上がる部分。一番好きなのはメンバーが肩を組むシーン。少し真剣な瞳な笑顔で肩を組むあやちょの顔を私は正視出来ないでうつむいた。
ラストにプリーズミニスカポストウーマンを歌う七人。七人ではラストとなるシングル。噛み締めるように歌い踊るメンバー。ちっとも感傷的なステージングではないのに、観ているこちらはじっとステージを見入ってしまう。その先にあるのは去っていく人だけではない。去っていく人に寄り添う人達も。
そういえば先ほどタチアガールの時に去っていく人と見送るリーダーがダンスの途中に顔を見合わせて二人はニコッと笑っていた。
握手会。一番先頭にあの人は立っていた。ステージでも全力で歌い踊っていたその人は握手会でもこれ以上ない笑顔でお客さんを迎えていた。
そんな彼女に私は言った。
「いつまでも笑顔を大切に頑張ってください」
彼女の笑顔が更に優しくなり、更に力強く変わった。私もあなたの笑顔は忘れない。この日、あなたと最初で最後の握手をした私の想い。
前田憂佳さん、いつまでも笑顔を大切に頑張ってください。