Negicco 2010/07/09#5【圧倒的なスタイル】
Theポッシボーというアイドルグループがある。ハロプロエッグからデビューを勝ち取り、つんくPの事務所に所属して活動をしてきた。しかし、売上は伸び悩んでいるままメンバーはアイドルとして年齢を重ねてしまった。アイドルとしての正攻法で売るには旬を越えてしまった感は否めない。
しかし、今はアイドルの年齢という物に対する購買者の感じる引っ掛かりは、作り手が気にしているほど無いのかもしれない。AKBの人気上位メンバーの多くは二十代である。
今週、Negiccoというアイドルグループがベスト盤を発売した。そのアルバムのタイトルにあるように彼女達は2003年から今年に至るまで長きに渡りアイドルしてきた。女性アイドルとしてはベテランの領域だ。
単に長く活動をしてきたというだけなら、ハロプロにも五年以上活動をしてきたグループはあるし、AKBも五年以上活動をしてきている。しかし、Negiccoが特筆されるべき点は、大手事務所の後ろ楯もなく、活動拠点も地方(新潟県)であった事である。新潟で活動をしてきたからこそ「細く長く」続けて来られたとも言えるかもしれないが、陽の当たらない場所での長きに渡る活動によくぞメンバーの心が折れなかったものだと思う。
Negiccoは昨今のアイドルグループムーブメントには巧く乗れていたとは言い難く、そのムーブメントへの参加パスポートみたいなTIFにも未参加である。これまであまりアイドルヲタの間でも大きな話題にはなってきていない印象がある。しかし、昨年にタワーレコードが主宰するアイドル専門レーベルからCD全国販売を開始すると、少しずつ流れを作り始めている雰囲気になってきた。
9年間という月日が表すように、結成当初は今ならスマイレージやももいろクローバーZのライバルになれそうなカテゴリーだった彼女達も、年月を重ねて同一カテゴリーのアイドルグループがすぐに思い浮かばないポジションにやってきた。それでも彼女達はまだアイドルである事にこだわり、決して汚れを演じる事なく真っ向勝負なアイドル音楽をプレイし続けている。
アイドルとアイドルヲタとの距離感が「ステージと観客」から「観客がステージに立ちアイドルと接触する」距離感へと変化した現在に於いて、アイドルの年齢というプロフィールはアイドルを売っていくためには重要なキーワードとなっている。変な言い回しになるが、「接触したくなるアイドル」としてヲタが求める部分、つまりニーズにアイドルの年齢は無視出来ないのだ。
しかし、これだけアイドルグループが多様化してくると、接触という「ブーム」には興味を示さない層も存在していて、そういった層を受け止めるアイドルグループも必要になってくる。
年齢はミドルティーンでも、ましてやローティーンでもないけれど、そこに価値観のあるアイドルグループがようやく腰を据えて活動が出来るカテゴリーが確立されつつある。それはアイドル界の保守本流ではないけれど、確実に作られつつあるのだ。
Negiccoを始め、冒頭に書いたTheポッシボー、そしてバニラビーンズやTomato'n Pine。あるいはLinQのように大人組と中高生組と区分けをしているグループもある。大人なアイドルグループ達は当然楽曲面でもティーンアイドルとは違った方向性を見せている。じっくりとアイドルが奏でる音楽に浸りたいアイドルヲタにとって、落ち着けるカテゴリーがついに確立されてきたのかもしれない。Negiccoは9年をかけて、居場所に辿り着いたのかもしれないのである。
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