12月3日、J1リーグの5チームによる優勝を賭けた戦いは、勝てば自力優勝のセレッソ大阪の「まさかのロスタイム寸前の同点」によって、川崎とのアウェーの苦しい戦いを制したガンバ大阪が逆転優勝というドラマチックな幕切れになった。ガンバの皆さんおめでとうございます。
それにしても、セレッソ… あと2分守り切れば優勝だったのだけど…。五年前にも勝てば優勝の試合で、最下位だった川崎相手にまさかの延長負けくらった過去があるだけに、涙をこらえて誠実なコメントを答えていた森島キャプテンが気の毒で仕方がなかった。
J2の3位争いも、前節まで3位の仙台がアウェーで引き分け、首位京都にアウェー勝利を収めた甲府が逆転3位になり、柏とのJ1J2入れ替え戦に進出した。これまたドラマチック。
そんな緊迫した試合に背を向けて、私はJ2の「横浜FC対湘南ベルマーレ」という一般的にはシブイと思われそうなカードに出かけた。単に、川崎対G大阪が完売で買えなかったからなんだけどね(苦笑)。
私は以前は、Jリーグはベルマーレ、JFLは東京ガス(現、FC東京)のファンだったので、今日は湘南の応援だ。家から湘南のタオルマフラー持参。このマフラーが出動するのは、二年半前の「保田卒業ライブinさいたま」以来だ(爆)。なんか、昔の恋人に会うような気分のベルマーレ観戦である。
冬晴れの横浜は三ツ沢球技場。横浜FCはチケット売り場から、グッズ売店に至るまで、サポーターのボランティアによる運営なので、グッズを身につけたお姉さんやお兄さんに、チケットをもぎってもらい、福島米のパックを入口で貰う。今日は横浜FCのスポンサーのひとつ、福島農協のスポンサーデーだそうだ。って、ヲレ湘南の応援に来たのに貰っちゃっていいのかな?と思っていたら、間違えてホーム用入口から入っていたのだった。アウェー入口、一カ所しかないからわかりづらいのだもの。
バックスタンドのアウェー側に座る。結構湘南の応援多い。年齢層は幅広い。子供から老人まで、男女比は半々よりやや男性多しかな。そして皆さん、何かしらのグッズを身につけている。グッズ着用率は娘。コン並み。私の前には中年夫婦が座っていたが、二人とも湘南のマークの入ったクッションを着用し、奥さんの方はマフラーを首に巻いていた。少し遅れてやってきた奥さんの友人らしき女性は、マフラーだけでなく席に着いた途端、上着にユニフォームを羽織った。
試合は開始早々に横浜がゴールを決めたあとはマッタリとした流れで進み、湘南のミスが目立つ展開だったのだけど、老若男女問わず皆さん元気に声を出して檄を飛ばしている。それは野次の類ではなく、まるで出来の悪い息子を叱咤激励する親のような雰囲気だった。1999年末にJ2に降格して以来、イマイチな成績の続く湘南だが、時に厳しく時に温かく、アットホームな声援に支えられているようだ。
そして、そんな声援に応え、遂に同点ゴールが入った瞬間、アウェー側スタンドは祭と化し、ゴール裏のサポーターはザ・タイガースのヒット曲「シーサイド・バウンド」のメロディに乗せて「ララララ~湘南!」と歌い始めた。このコールを聴くと、ああベルマーレの試合に来たんだなと思う一曲だ。甘酸っぱい思い出も詰まっていたりする。
後半は湘南の怒濤の攻撃でゴールラッシュとなった。スタンドはますます祭状態になり、今季限りで退団する選手が出てきてゴールを決めれば、その選手の歌が高らかに響いた。
4対1で湘南の勝利で試合は終わり、退団の決まっている選手達はサポーターの元へ走り寄ってシャツを投げ、大勢のサポーター達と握手を交わしていた。ちょうどアウェーのスタンドのバックに西日が落ち始めて、感傷的なムードを高めている。
三ツ沢にこの日やってきた5,038人の観客のうちの何割かの、湘南を応援していた人達にとっては、優勝とかのドラマチックな展開の他会場に負けない祭空間だった事は間違いない。
今回のBGM シーサイド・バウンド / ザ・タイガース