神の生誕

「真珠の女」ジャン=バティスト・カミーユ・コロー (1796年-1875年 フランス 自然主義、バルビゾン派)
天気 西脇順三郎
(覆された宝石)のやうな朝
何人か戸口にて誰かとさゝやく
それは神の生誕の日。
この世に生きる人間は、心のうちに神を潜めて生きている。
私も神を密かに信じている。仏神水波という言葉の通り、それは仏かも知れない、女神かも知れない。確かに私はそれに向かい毎日祈っている。私の場合、そのお方は現身の女神である。奇跡の人である。フェニックスである。
コローのこの絵の人物は近所のある商家の女性である。化けている、確かに化けている、いや、いい意味で。もう立派な女神である。「神の生誕」である。京子さんを描いた佐山さんも確かに神を生み出した。
長柄さんから久しぶりに連絡がありました。
いろいろとありがとうございました。京子も佐山さんも順調に滑り出しました。それに・・・。
ああ、お母さんですか。
ええ、これは意外でした。・・・帰ってくるなんて。
私もそう思ったんですが、良かったと思います。・・・ただ、お父さんたちがどう思われるかと・・・。
そこなんです。家を出たものが元の家に居座ったんですから。
・・・私は・・・どう言っていいか・・・。
京子に考えがあるみたいですから、何とか収めてくれるとは思いますが。
そうですねえ、そうだといいのですが・・・。
私はそれ以上言えませんでした。その後で古賀画伯からも電話がありました。
古泉堂さんから大変な連絡を受けたので、実は長洲画伯にお会いして相談したんです。
独立展のことですね。
ええ、そうです。長洲さんは京子さんの絵を高く評価しておられました。
京子さんは神になったんです。
神!
ええ、女神です。
貴方は面白いことを仰いますね。
そうですかね。
まあ、それはそれとして、京子さんがですね・・・。
京子さんがどうかしたんですか。
出品はしたくないと仰るんです。
えっ、そりゃどうしてですか。
まだそういうレベルではないと・・・。
えっ、大家が認めているのに・・・。
それが京子さんのいいところだと思います。しかし全く惜しいです。
で、どうしようと・・・。
二人展を開きたいと・・・、これから二人で描きためると仰っていました。
二人展ですか。
私はがっかりしながらも二人展という企画が却ってこれからの二人にとっていいのでは、と思いました。
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「真珠の女」ジャン=バティスト・カミーユ・コロー (1796年-1875年 フランス 自然主義、バルビゾン派)
天気 西脇順三郎
(覆された宝石)のやうな朝
何人か戸口にて誰かとさゝやく
それは神の生誕の日。
この世に生きる人間は、心のうちに神を潜めて生きている。
私も神を密かに信じている。仏神水波という言葉の通り、それは仏かも知れない、女神かも知れない。確かに私はそれに向かい毎日祈っている。私の場合、そのお方は現身の女神である。奇跡の人である。フェニックスである。
コローのこの絵の人物は近所のある商家の女性である。化けている、確かに化けている、いや、いい意味で。もう立派な女神である。「神の生誕」である。京子さんを描いた佐山さんも確かに神を生み出した。
長柄さんから久しぶりに連絡がありました。
いろいろとありがとうございました。京子も佐山さんも順調に滑り出しました。それに・・・。
ああ、お母さんですか。
ええ、これは意外でした。・・・帰ってくるなんて。
私もそう思ったんですが、良かったと思います。・・・ただ、お父さんたちがどう思われるかと・・・。
そこなんです。家を出たものが元の家に居座ったんですから。
・・・私は・・・どう言っていいか・・・。
京子に考えがあるみたいですから、何とか収めてくれるとは思いますが。
そうですねえ、そうだといいのですが・・・。
私はそれ以上言えませんでした。その後で古賀画伯からも電話がありました。
古泉堂さんから大変な連絡を受けたので、実は長洲画伯にお会いして相談したんです。
独立展のことですね。
ええ、そうです。長洲さんは京子さんの絵を高く評価しておられました。
京子さんは神になったんです。
神!
ええ、女神です。
貴方は面白いことを仰いますね。
そうですかね。
まあ、それはそれとして、京子さんがですね・・・。
京子さんがどうかしたんですか。
出品はしたくないと仰るんです。
えっ、そりゃどうしてですか。
まだそういうレベルではないと・・・。
えっ、大家が認めているのに・・・。
それが京子さんのいいところだと思います。しかし全く惜しいです。
で、どうしようと・・・。
二人展を開きたいと・・・、これから二人で描きためると仰っていました。
二人展ですか。
私はがっかりしながらも二人展という企画が却ってこれからの二人にとっていいのでは、と思いました。
