新樹さん、貴方を宇宙に招待します。
私を宇宙に・・・?
そうです。
突然どうしてですか ?
マーガレットから頼まれました。すぐ準備してください。
準備ってどうすれば・・・。
新樹から抜け出て、気持ちを落ち着けて待っていてください。
姫神様とそんな話をしながら私はこれからどうなるのだろうと思っていました。体が浮くということは快感を呼び起こす。そういう体験を再現することはどういう・・・。
「マーガレットは貴方を救いたいようです」
「救う ? ・・・ということは人間に返るという・・・」
「私はまだまだ貴方は修行の段階だと思っています」
「ということは・・・」
「体感させたいのだと思います。地上の頸木(くびき)から一時解放されるという体感です」
「体感するとどうなるのでしょう ?」
「心が軽くなり、生きる姿勢が前向きになります」
「私という樹にとってそれは必要でしょうか ?」
「必要だと思います。花りんにも、いや、広くこの森の樹々にとっても」
「マーガレットから話を聞いた時に、私は大きな真理に気づきました。この森の樹々たちを救う手立ては御霊屋での祈りの修行だけでは遠回りだと思いました。私は奇跡の体験ということも大願成就へ向かわせる力になると思います」
「で、私がその体感の第1号ということに・・・」
「表現が悪いです。一切衆生に共通する真理を体感することに順序などありません」
「そうですか。では、お願いします。姫神様が導いて下さるのであれば、何も不安はありません」
私の意思を確認すると、姫神様は目を瞑り、両手で2つの円を描きながら祈りの儀式を始めました。何度か円を描くうちに姫神様の体が上昇し始めました。10メートルくらいのところで私を手招きしました。私の体もふわっと浮きました。そして、次第に高くなり、森がすべて見下ろせる位置まで昇りました。・・・浮上するにつれて私の体を縛っていたものが解き放たれる感覚が体中に充満しました。そして、私はうっとりとした気持ちになりました。
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