夕焼け空 ? 見渡す限りの雲が紅蓮の炎をあげて燃え上がっているような・・・。何か不吉なことが起こりそうな・・・。私は辺りを見回しました。すると、地の底から人影が浮かび上がってきました。よくよく見ると、女の後姿。長い髪が雲の色に染まっていました。
「お前は誰だ」
私は恐る恐る訪ねました。しかし、含み笑いのように声が響きわたるだけで、返事はありません。
「六地像さん、六地像さん、助けてください !!」
私は思わず叫びました。しかし、何にも応えてくれません。その代わり、その女の声が私に絡みつくように響いてきました。
「忘れてはいないはず。・・・お前に殺された冴子です」
「えっ、冴子。ど、どうしてここへ・・・」
「言い残していたことがあります」
「な、なんのことだ !!」
「私と一緒に家を出た花りんは、病気で死んだのではない。私と同じように殺された。ははっ、私の目の前で・・・」
「だれが殺した !!」
「京子、そう、貴方の妻」
「えっ、京子が・・・、そんな・・・」
「嘘だ、嘘だ !! 京子は病院にいた !!」
「ははっ、ところが、いつの間にか私の家の中に忍び込んで・・・」
「やめろ !!」
「はははっ、子どもが出来ないからと言って、・・・あまりにもひどいことを・・・。ははっ、もしかして、お前が殺させたのでは・・・」
「なに !! そ、そんなことはない !!」
「私は、花りんの望みを叶えてやりたいと一心に努力した」
「努力 ?」
「そうだ。学費を、生活費を・・・」
「恩着せがましい。あんなちっぽけなお金は何にもなりゃしない」
「なに !!」
「京子は、私が呪い殺した」
「冴子 !! お前を私は殺してはいない !!」
私は必死に叫びました。叫べば叫ぶほど、その黒い影はますます大きくなり、消えようとしません。六地像さん !! 六地像さん !! 私は声の限りに叫びました。
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