公開審査会
三木翠山作「狐と美人図」(仮題)
これだから絵は怖い。いや、この絵柄が怖いというのではない。画題が無限大に広がるからである。表現活動はすべてそうなのだが、視覚に訴える絵画は直截的だから印象が直ちにビリリッと全身に広がる。女は怖いと思う。いや、こう言っては失礼である。鬼気迫るものが感じられるからである。よく分からないが、葛の葉物語を描いているのであろう。これは私の推測である。「恋しくばたずね来てみよ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」。(「義経千本桜」の「狐忠信」であるというご指摘を頂きました。ありがとうございました。さすると、「静御前」が描かれている ? ということですか。)
いつもの居酒屋で今度は古賀さんに呼び出されて、一緒に飲む機会がありました。郁子さんが大きなハードルをクリアしたと仰るので、私は事の訳を仔細に尋ねました。
何があったんですか。
公開審査会と言って、劇団関係者と贔屓の招待客が新人の芸を吟味する会があったんです。
どこでですか。
玉造温泉のある老舗旅館の大広間でありました。私もご縁市場を代表して招待されました。いや、いや、すごい緊迫感がビンビン感じられて、正直疲れました。劇団側からは、ああ、事務局長の三朗君も来てました。勿論、オーナー、喜多川さん、仙女さん、翠園さん、それに主だった役者も来ていました。それから贔屓のお客さんが数十名いました。・・・それで、麗華さんと郁子さんがステージで踊ったんですね。あくまで麗華さんは相方です。審査されるのは郁子さんです。あっ、囃子は笙子さん夫婦が中心で、他に数名両劇団から来ていました。
へえー、ものものしいですね。
で、どうやって審査するのですか。
先ず、劇団側が投票します。合格は赤いカード、不合格は白いカードを投票箱に入れます。開票係りが票の読み上げをして審査員の満票をもって合格とするんですね。それから、審査員の質問があり、それにも答えなくてはいけない。それが済むと、会場の招待客が賛成、反対の意思表示を挙手でします。課題の踊りは浦安の舞でした。
じゃ、郁子さんより笙子さんが得意かもしれませんね。笙子さん、複雑の気持ちで演奏していたんじゃないかと・・・。
そうかも知れません。
それで、審査員から一人だけ白票が出ました。ところが、後の質問に見事答えましたので、その方は赤票に変更しました。会場の審査はすべて合格でした。私も合格に手を挙げました。
すると、きわどい場面もあったんですね。
ほんとです。私もひやっとしました。
そんな大規模な審査をするとは知りませんでした。費用莫大かかるでしょうね。
いや、そこは旨くいくようになってて、贔屓筋は祝儀を包んでくる礼儀なので、余りが出てきますよ。
そうですか。それから、どうして出雲で・・・。
いや、それはよく分かりせんが、仙女さんの希望が通ったとか聞いています。・・・すべてめでたし、めでたしでした。・・・その後で芸名が披露されて、なんだったっけ、ああ、中村華龍、なかむらかりょうです。正式な襲名披露は京都の歌舞伎座で行われるそうです。
華龍ですか。いさましい名前ですね。ああ。それから、ご主人の鈴木琢磨君は昇格ではないんですか。
琢磨君は鼓笛の主要メンバーですから、残ることになると思います。
それから、笙子さんはそういう審査はいつ受けるのですか。
鼓笛で実績を作ってからです。麗華さんがその点みっちり指導すると思います。
妹がお姉さんをですか。
ああ、そういうことになりますね。
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三木翠山作「狐と美人図」(仮題)
これだから絵は怖い。いや、この絵柄が怖いというのではない。画題が無限大に広がるからである。表現活動はすべてそうなのだが、視覚に訴える絵画は直截的だから印象が直ちにビリリッと全身に広がる。女は怖いと思う。いや、こう言っては失礼である。鬼気迫るものが感じられるからである。よく分からないが、葛の葉物語を描いているのであろう。これは私の推測である。「恋しくばたずね来てみよ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」。(「義経千本桜」の「狐忠信」であるというご指摘を頂きました。ありがとうございました。さすると、「静御前」が描かれている ? ということですか。)
いつもの居酒屋で今度は古賀さんに呼び出されて、一緒に飲む機会がありました。郁子さんが大きなハードルをクリアしたと仰るので、私は事の訳を仔細に尋ねました。
何があったんですか。
公開審査会と言って、劇団関係者と贔屓の招待客が新人の芸を吟味する会があったんです。
どこでですか。
玉造温泉のある老舗旅館の大広間でありました。私もご縁市場を代表して招待されました。いや、いや、すごい緊迫感がビンビン感じられて、正直疲れました。劇団側からは、ああ、事務局長の三朗君も来てました。勿論、オーナー、喜多川さん、仙女さん、翠園さん、それに主だった役者も来ていました。それから贔屓のお客さんが数十名いました。・・・それで、麗華さんと郁子さんがステージで踊ったんですね。あくまで麗華さんは相方です。審査されるのは郁子さんです。あっ、囃子は笙子さん夫婦が中心で、他に数名両劇団から来ていました。
へえー、ものものしいですね。
で、どうやって審査するのですか。
先ず、劇団側が投票します。合格は赤いカード、不合格は白いカードを投票箱に入れます。開票係りが票の読み上げをして審査員の満票をもって合格とするんですね。それから、審査員の質問があり、それにも答えなくてはいけない。それが済むと、会場の招待客が賛成、反対の意思表示を挙手でします。課題の踊りは浦安の舞でした。
じゃ、郁子さんより笙子さんが得意かもしれませんね。笙子さん、複雑の気持ちで演奏していたんじゃないかと・・・。
そうかも知れません。
それで、審査員から一人だけ白票が出ました。ところが、後の質問に見事答えましたので、その方は赤票に変更しました。会場の審査はすべて合格でした。私も合格に手を挙げました。
すると、きわどい場面もあったんですね。
ほんとです。私もひやっとしました。
そんな大規模な審査をするとは知りませんでした。費用莫大かかるでしょうね。
いや、そこは旨くいくようになってて、贔屓筋は祝儀を包んでくる礼儀なので、余りが出てきますよ。
そうですか。それから、どうして出雲で・・・。
いや、それはよく分かりせんが、仙女さんの希望が通ったとか聞いています。・・・すべてめでたし、めでたしでした。・・・その後で芸名が披露されて、なんだったっけ、ああ、中村華龍、なかむらかりょうです。正式な襲名披露は京都の歌舞伎座で行われるそうです。
華龍ですか。いさましい名前ですね。ああ。それから、ご主人の鈴木琢磨君は昇格ではないんですか。
琢磨君は鼓笛の主要メンバーですから、残ることになると思います。
それから、笙子さんはそういう審査はいつ受けるのですか。
鼓笛で実績を作ってからです。麗華さんがその点みっちり指導すると思います。
妹がお姉さんをですか。
ああ、そういうことになりますね。
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