あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: しまなみ連泊ツーリング&『たこもみじ』

2008年04月30日 | 旅するシーカヤック
生名島の『おせったい』を体験した後は、妻と二人でフェリーに乗り込み、因島へと渡る。

因島の小さな町を自転車で巡り、いつもお世話になる銭湯へ。
昭和の匂いのする銭湯で、ゆったりまったりとした時間を楽しみ、潮と汗を流してスッキリ。 『じゃあ、晩ご飯の買い出しに行くか!』

先ほど自転車で町を巡っている時に見つけた、店の前にちょっとした生簀のある、小さいけれど雰囲気の良い、いかにも漁師町の魚屋さんという風情のお店へと向かう。
その小さな魚屋さんは、お客さんがひっきりなしに訪れ、注文に応じて生きた魚を捌いている。 忙しそうだ。

『あのー、刺身は造っていただけるんでしょうか?』 『何が要る?』 『イカを2杯』『うん、今は忙しいけえ、他の魚はだめじゃけど、イカだけなら造ってあげるよ。 ちょっと待ってくれる?』 『ええ、待ちます、待ちます』
『じゃあ、これが終わったらやっとくけん』 『お願いします』

待つ間にスーパーに行き、翌朝の朝食や酒類を仕入れる。

魚屋さんに帰ると、ちょっと落ち着いた様子で、他のお客さんは居なかった。 『戻りました。 どうですかねえ?』
見ると、俎の上には、捌く寸前の烏賊が載せられていた。 そして、『今ならねえ、他の刺身も作ったげるよ』 『じゃあ、お願いします』
***
『ハゲはねえ、メスがほとんど出てしもうたんよ。 お客さんに出すんならメスじゃけど、自分で食べるんならオスでもええよ』 『え、そうなんですか! 何が違うんですか?』 『オスはねえ、お腹の所の赤い身が多いけえ、見た目がようないよねえ。 じゃけえ、お客さんには出さんのよ。 まあ、味は変わらんけどね』
知らなかった。 ハゲの刺身は、お客さん用にはメスなんだ! いやあ、これはいい話を聞いた。

『ああ、メスが居ったわ。 じゃあ、これとこれね』 『それで幾ら位ですか?』と、半分ビビりながら聞くと、『うん。 イカ2杯とハゲ2匹で、1800円かねえ』 『じゃあ、それでお願いします!』
寸前まで生きていたイカとハゲでこの値段、これは安いなあ。

そして、因島でも行われた今日の『お接待の話』などを伺いながら、刺身が出来上がるのを待つ。
『はい、これ』 『ありがとうございました』
***
再び港に戻り、フェリーで生名島へ。

夕食は、先ほど買い込んで来た新鮮な刺身と、差し入れとして頂いたおいしいおでん。

美しいしまなみの景色を眺めながらおいしい夕食を食べ、酒を飲みながら、妻と過ごす静かな時間。
『どう、生名島は?』 『いいねえ』 『俺がここに通う訳が分かるやろ?』 『うん』

シーカヤックを漕ぎ、自転車を漕ぎ、『おせったい』を体験し、地元の銭湯に入り、おいしい魚屋さんを発見し、静かなキャンプ場で二人過ごす時間。 これ以上、何が要る?
『20周年で高級旅館には連れて行かれんかったが、生名島のキャンプツーリングも、これはこれでワシらしゅうてええもんじゃろ?』 『うん。 そうじゃねえ』 
先週、結婚20周年を記念して妻と二人で懐石料理を食べに行ったが、この生名島を訪れる旅も、20周年を記念する最高の想い出になった。
***
翌朝。 今日は、お散歩ツーリングの予定。
キャンプ場の目の前の浜からシーカヤックを出し、鶴島、亀島を巡るショートツーリングへ。

鶴島を回り、以前見つけた『投錨神社』へ。 ちょうど干潮の時間。 海から神社につながる階段の横に、小さな小さな浜ができていた。
『ちょっと、ここで待っていてくれる? 前からここが気になっていたんだ』

フネを降り、階段を上がり、『投錨神社』へ。 へー、こんな風になっていたんだ!
***
再び出発し、『龍神様』で安全祈願。

今日も南西の風が吹いており、生口島と岩城島との間、岩城島と生名島との間の海峡は、ザワザワとしている。
遠出はあきらめ、その後は亀島を回り、平内島へ。
***
キャンプ場に戻り、シーカヤックを片付け、着替える。
その後は、昼の高速船で一足先に帰る妻のために、お昼ご飯のうどんを作る。

妻を港まで送り、三原までの高速船を待つ。 このフネは、気になっていたんだよなあ。 『この船さあ、本当は俺が乗りたい位だよ』

一足先に帰るだけなのだが、それでも港を出て行く船を見送ると、なんだか寂しい感じがするものである。
***
それでも、三原港まで行く船に乗る妻には、大切なミッションを与えていた。
『前にさあ、ラジオで言っていた、『たこもみじ(蛸入りのもみじ饅頭)』を探して来てよ!

夕方、妻から『無事到着』とのメールが来た。 聞いてみると、三原で『たこもみじ』も手に入れたとの事! これは楽しみだ。

じゃあ、Sさんを迎えに行く事にするか。

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