あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 秋のお月見キャンプツーリング(2)

2009年10月04日 | 旅するシーカヤック
2009年10月4日(日) 朝、5時過ぎに目が覚めた。 外はまだ暗い。 シュラフに包まったままiPodのスイッチを入れ、目覚めの落語を聞く。

6時過ぎ、テントを這い出す。 外は寒く、長袖の上着を羽織る。 昼間は暑いし、夕方になるとまだ蚊が飛んではいるが、なんだかんだ言ってもやっぱりもう秋なんだなあ。 確実に季節は移り変わっているのである。

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トランギアのストームクッカーにアルコール燃料を注ぎ、火を入れる。 お湯が沸いたらチャイをいれ、明るくなりつつある東の空を眺めつつ、チャイをすする。 温かい飲み物が胃に入ると、少しずつ体の芯から暖まって来る。
 
再びお湯を沸かし、うどんをつくる。 昨日の残りの野菜を入れ、体を暖めるため少し多めに一味唐辛子を投入。
日が昇る直前の空の感じが好もしい。 キャンプツーリングの朝、この時間帯が一番好きである。
 
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簡単な朝食を終えると、天気予報をチェックし、顔を洗ってドリップコーヒーをいれる。
日が昇るとシュラフを干し、テントを乾かし、その間に道具を片付ける。 キャンプの朝のルーチンワーク。

空は快晴。 雲一つない、まさに日本晴れ。 最高のキャンプ日和である。

荷物を浜に運び、カヤックにパッキングして出発だ。 今日はせっかくだから、生野島を一周して帰ろうか。
まだ上げ潮で、逆潮の中を大崎上島の北岸との間の瀬戸を漕ぎ進む。 瀬戸内の軍艦島、東邦亜鉛の工場のある契島の周りは潮が早く複雑なエリア。 大潮の今日は、北東の風の影響もあり、いつもより潮目がザワついている。
波が高く、時折白波が横から押して来るが、キャンプ道具を積んでしっかりと沈んだニヤックはどっしりと安定しており、安心して漕ぎ進む事ができる。
 
荒れた海でのこの安心感、信頼感が、ニヤックを選んだ最大の理由。 大荒れのケラマツアーで、ニヤックのその実力は何度も確認済みだ。

北東の少し強い向かい風も吹き出したが、アークティックウインドで水をしっかりと確実にキャッチして、一漕ぎ一漕ぎ、グイグイと進んでいく。
出発してから約10km。 1時間半ほどで、出発した浜に無事戻ってきた。
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秋のお月見キャンプツーリング。 天気にも恵まれ、ゆったりまったりとした時間の流れを堪能でき、最高の週末となった。
やっぱりシーカヤックの醍醐味はキャンプツーリングだなあ!

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瀬戸内シーカヤック日記: 秋のお月見キャンプツーリング(1)

2009年10月04日 | 旅するシーカヤック
2009年10月3日 今日は、中秋の名月。 ということで、もちろんテーマは『秋のお月見キャンプツーリング』

11時前、竹原の的場海水浴場から出艇。 晴れで、風もそよそよ程度。 波もなく、秋らしい絶好のツーリング日和りである。 穏やかな瀬戸内の海を、手に馴染んだ名パドル、アークティックウインドでゆったりと漕ぎ進む。
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私にとってシーカヤックは、海を旅する道具であり、また、海からの視点で『あるくみるきく』を実践するための大切な道具でもある。

カヤックと出会ってから17年。 家族と川下りやシーカヤックツーリングを楽しんだ時代、毎年沖縄のケラマに通っていた時代、横浜単身赴任で三浦半島や伊豆、外房など日本のカヤックのメッカを経験した時代。
横浜から広島に戻り、フェザークラフトK-1で、瀬戸内海を『尺取り虫方式』で兵庫県の家島から山口県の関門海峡まで漕いだことで、瀬戸内の良さを再認識した。 更には友人の誘いがきっかけで、思いもかけず『あるくみるきく_旅するシーカヤック』の原点となった、下関から島根半島までつないだ『古代人ツアー』

第1次瀬戸内カヤック横断隊との衝撃の出会い。 豊島の家船に関する『あるくみるきく』 ホクレア号船長ナイノア氏との出合い。 シーカヤックで訪れた島々での様々な人との出合い。 島の子供たちとの楽しい夏のシーカヤック教室。 祝島、そして大崎上島の櫂伝馬との出会いと、新たな目標となった『旅する櫂伝馬プロジェクト』

カヤックに初めて乗ったのは、1992年にボーナスで中古のファルトボートを買った後(それまで乗った事もなかったのに、妻に了解を得て、ボーナスの残り10万円をはたいて購入)。
妻とまだ幼稚園だった長男を連れてショップに行き、購入したファルトを組み立て、ショップの近くの河口で漕ぎ方を教えてもらった。
初めてカヤックに乗り込み、水に浮かんだ時に、『これこれ、この感じや。 思うた通り!』と、イメージ通りの動きとなんとも言えない開放感、自由な感じがうれしくて興奮した事を今でもはっきりと覚えている。

シーカヤックに出会ったことで、私のライフスタイルや考え方は大きく変わった。 本当に運命的な出合いであったと感じている。
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穏やかな海を漕ぎ進み、寄り道をしながら40分程で生野島に到着。 浜を眺めるが、誰も上陸していないようだ。 ホッと一安心。 沖縄のシーカヤックツアーでは常識だが、他のシーカヤックグループが上陸している浜に後から上がってキャンプすることは避けるのが暗黙の約束。

何度も往復して荷物を運び、片づいたらお昼ご飯。 お気に入りの東屋の下に陣取り、瀬戸内らしいお気に入りの景色を眺めながらビールをグビリと飲り、お弁当を食べる。 あー、最高やなあ!
 
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ここ一ヶ月ほどは、休日出勤や妻との旅行、旅する櫂伝馬プロジェクト、宮本常一写真講座などなどで、シーカヤックツーリングにでていなかった。 合間を縫って日帰りツーリングに出かけるチャンスは何度かあったのだが、私の場合はキャンプツーリングを基本としているので、あえてシーカヤックを海に浮かべることはしなかった。

予定の入っていないこの週末は、幸運にも最高のツーリング日和りとなる予報! 盆連休以降多忙な日々が続いており、バランスを取るためにも、自然の中で、何も考えず、自分と向き合う独りきりの時間が必要なのだ。
 
この生野島は、もう約10年前になるが、フェザークラフトのK-1を使った尺取り虫方式での瀬戸内横断を始めた最初の2泊3日の旅の初日、地元呉の海水浴場から出発し、最初の夜に泊まった想い出の島。 初めてのソロキャンプツーリングで初めて泊まった島だから、それは特別な思いがある。
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お気に入りのテラスでプライベートバーを店開きし、最高の景色の中、ビールを片手に本を開く静かで贅沢な時間。 今日のお供は、『海流のなかの島々(ヘミングウェイ)』

海辺で過ごす休暇のお供としては、ヘミングウェイはピタリとはまる。 『老人と海』に代表される彼の海に関する小説は、リアルな海での生活を知っており、海を、そして海に関わる人々を愛している人のみが書ける本物だ。
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本を閉じると浜を散策し、カメラでお気に入りの景色を切り取る。 東屋に戻るとiPodで音楽を聴きながら、pomeraでメモをとる。
 
最新のiPodは、あの小さなボディできれいな動画が撮れるようになり、驚きのAppleワールドが確実に進化している。
また、つい昨日手に入れたpomeraは今日が初デビュー。 これまで使っていた旅先でのフィールドノートの替わりとして、これからどんな実力を発揮してくれるのか楽しみだ。
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日が傾くと夕食の準備。 今日も簡単なソロツーリングメニュー。 鯖の味噌煮缶を使った一人鍋。 鯖の味噌煮缶を開けて、トランギアのストームクッカーに入れ、豆腐、白ネギ、春菊、しめじを投入。
 
もう一品は、『マルシンハンバーグ』 今朝立ち寄ったスーパーで見つけて、『おー、懐かしい!』と購入したもの。 ストームクッカーのフライパンで焼くと、これが、なんとも懐かしくておいしい味である。

今日はお月見ツーリング。 もちろん『月見だんご』も買ってきた。
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食事を終え、ふと海をみると満月が!
 
月が昇るとともに雲と絡み合って様々な表情を見せてくれる。 月が海に金色の道を架ける。 素晴らしい夜景。
独り静かに酒を飲み、月を眺める。 これぞ、キャンプツーリングの醍醐味だ。
 
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シーカヤックで島に渡っても、釣りをする訳でもなく、友人と騒ぐ訳でもない。 独り静かに海を眺め、カメラでお気に入りの風景を切り取り、酒を飲み、月を眺め、そして静かにもの想う。
ただそれだけ。 ああ、なんという最高の週末よ!

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