あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: しまなみ海道_雨でも快適お散歩シーカヤックツーリング

2012年01月22日 | 旅するシーカヤック
2011年1月21日(土) この週末は、今年初めての一泊二日のツーリング。 残念ながら日曜日は、仕事の関係でやらなければいけないことがあるため早めに家に戻らなければならないのだが、それでも一泊二日の泊付きツーリングは楽しみだ。

今回目指すは、お気に入りのキャンプ場がある、愛媛県上島町の生名島。

いつもの浜に到着。 シーカヤックを降ろし、準備をしていると雨が落ち始めた。 『??? 今日って、雨の予報じゃなかったよなあ』

『ま、いいか。 ドライスーツだから多少の雨は関係ないはず。 岩城島一周は諦めて、お気軽お散歩ツーリングにするとしよう』 コーカタットのゴアテックスドライスーツという最強の武器を手に入れたので、のんびりまったりお散歩ツーリングが大好きな私も、今回は冬の雨にも強気である。

日帰りクックセットを積み込み、出発!


まずは鶴島へ。

ここには、良い感じの岩が海から頭を突き出している。 勝手に、『鶴島富士』と命名。

亀島に向かう途中には、『龍神様』が。

毎年、年明けにこのエリアを漕ぐ時には、龍神様にお参りして航海の安全を祈願することにしている。
『どうか今年も一年、安全に漕げますようにお守り下さい』 頭を下げ、手を合わせる。

***

平内島に向かう前に、少し沖にある岩に寄り道。

『これは、富士というよりフジツボだなあ』 岩のてっぺん付近にへばりつくように映えている草木が凄い。
なんだか、頭のてっぺんが寂しくなった中年オヤジの哀愁も漂わせてはいるが、それにしても大した生命力、忍耐力である。


雨は少しだけ強くなりつつあるが、ちょうど良い時間になったので、平内島に上陸。 お昼ご飯の準備である。


浜に上陸して私が最初にすることは、キッチンの準備。
浜を歩いて椅子やテーブルになりそうな流木や漂流物を探すのである。 『お、この流木、椅子に良いねえ』という訳で、キッチンの位置は決定。
『さて、テーブルは。。。』 『うん、これでいいかな』

という訳で、今日の簡易キッチンは準備完了。 見た目はショボイが、この椅子とテーブルがあるかないかで、お昼ご飯の快適性は天と地である。


***

今日のお昼ご飯は、最近はまっている『少しだけ高級カップラーメン&おむすび』

『山頭火』のラーメン、おいしいな。

食後は、ドリップコーヒーを楽しみながら、瀬戸内の海の景色を堪能。

お昼ご飯を誰もいない静かな浜でゆっくりと楽しみ、少し漕いでキャンプ場の浜に戻る。

明日は早朝に引き揚げる予定なので、シーカヤックと道具の潮抜きをして片付け。 片付けの最後は、着たままのドライスーツに、簡易電動シャワーの水を首から足下まで掛けて潮抜き。

『それにしてもドライスーツっていいなあ。 冬の雨の日のツーリングでも、本当に快適快適』 

***

キャンプ場利用の手続きをし、管理人さんといつもの四方山話。 これも楽しみの一つである。
『じゃあ、お風呂に行ってきます』


以前は、フェリーで因島の銭湯に通っていたのだが、橋が架かって以降はフェスパにお世話になっている。

雨と風の天気の中、露天風呂に入って笠岡諸島を眺め、サウナで汗を流し、のんびりまったり。

何より大事な食料、ビールを買い込んでキャンプ場に戻る。

この頃には雨も上がったので、ロープを張ってスプレースカートやPFD、グローブなどなどを干させていただく。


今日の晩ご飯は『おでん』 昨夜の残り物を、タッパーに入れて持ってきたのだ。

そして、途中のスーパーで、からしを購入。 いつも家ではチューブのからしを使っているのだが、キャンプ用にと缶入りの『からし』と、今後の刺身購入なども考えて同じく缶入りの『粉わさび』を購入。

うん、俺たちが子供だった頃は、チューブのわさびやからしなんてなくて、缶入りのやつを水で練って毎回つくっていたよなあ。 『ああ、懐かしい』

『プシュッ』と缶ビールのプルタブを開け、『トクトクトクトク』とカップに注ぎ、『グビーリグビグビ、プハーッ旨い!!!』

『やっぱシーカヤックツーリングはこれこれ』 お気に入りのエリアでシーカヤックをのんびりと漕ぎ、大きなお風呂に浸かって汗を流し、いつもと違う場所でおでんをつつきながら、独り静かに飲るビール。 これぞまさに自分を開放する自由な時間、この世のパラダイス。

『これなくして、何がシーカヤックツーリング。 やっぱりシーカヤックは、泊付きツーリングに限るわい』

***

夜は、ヘッドランプで借りた本を読む。 瀬戸内寂聴(以下、引用)。

☆☆☆

わたしは定命(じょうみょう)という言葉が好きです。
人間には定命があります。
まさに良寛のいう、『死ぬときは死ぬるがよろしく候』なのです。

(いつ死んでも悔いはないように、いつもやりたいことを志を持ってやっている(つもり):筆者注)

☆☆☆

男の魂は、孤独の美と楽しみについて敏感です。
女はそれを承知して、愛する者に惜しみなく自由を与え、その間に自分自身も悠々と疲れを回復させて、いつも新鮮さを保つべきなのです。
相手の自由を認めることは、自分にも自由と孤独の時間が得られるということです。 男の好みに全てをあわせては、両方の個性が弱められてしまいます。
『あの人は、何をしていてもいいの。 たづなの端は、いつもあたしがしっかり握っているから』
こういいきれるようになった女こそ、恋の真の意味の成功者です。

(ほんま、自由に海旅に行かせてくれる妻に感謝:筆者注)

☆☆☆

あなたが平凡な家庭を守り、平凡な人生を送りたいと思っているならば、分かれ道に立った時に平穏な道を選ぶべきです。
その方が穏やかに暮らせますし、つらい思いもしないですむでしょう。
けれどももし、人よりもすばらしい世界を見よう、人の歩いたことのない道を歩いて、そこにある宝にめぐり逢おうとすれば、どうしたって危険な道、剣呑な道、こわい道を歩かねばなりません。
いつも断崖絶壁の淵に立って、こっちへ落ちれば身がこなごなになるかもしれない、あっちへ落ちれば獣に喰われるかもしれない、そういう道を求めて歩くのが才能に賭ける人の心がまえではないでしょうか。

(無頼になりきれないが、やはり座右の銘は『生涯不良』:筆者注)

<引用終り>

いやあ瀬戸内寂聴、これは凄い。 やっぱ普通の坊さん(?)じゃないね、本当に驚いた。 今回のキャンプツーリングで、最大の収穫だったかも。

他にも様々心に響く言葉が綴られている。 歳を重ねた自由奔放なソロシーカヤッカーが、独り静かにキャンプツーリングの夜に読むと、ジンワリじわじわ、心の奥底に染み込んでくる本であった。

***


日曜日の朝は、雨も上がって晴れそうな雰囲気。 残念だが、帰ってやることがあるので、今回は引き揚げるとしようか。

『どうもお世話になりました。 また遊びに来ます!』 お気に入りの生名島、次はいつ来ようか。 楽しみだ!

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