あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: この夏最後のシーカヤック教室、呉ビール&忠海の石風呂

2015年08月30日 | 旅するシーカヤック
2015年8月29日(土) 今日の午後は、この夏最後のシーカヤック教室。
11時半に施設に到着し、子供達と一緒にお昼ご飯をいただくと、カヤックを運んでシーカヤック教室の準備を開始。
するとちょうどその頃、雨が落ち始めた。
『雨、降り出しちゃいましたけど、どうしますか?』と俺。 『こちらとしては、できればやりたいんですが』と職員さん。
『今日初めて漕ぐ子が二人居るんですよ。 それと、受験勉強で精神的にイライラしている子も居て、その子にもできればちょっとだけでも漕がせて気分転換させてやれないかと。。。』 『ええ、もちろん! 風もないし、これくらいの雨ならなんの問題もないですよ』

***

挨拶を交わし、準備運動をすると、船割りを決めて漕ぎだす。

今日は嬉しい事に、Yさんもサポートしていただけるとの事。
『みんな、今日が最後の練習だから、ツーリングに向けてしっかり漕ごうな!』

まずは、細長い港内をグルリと一周。
出発地点に戻ると、受験勉強中で体験参加する子がやってきていた。
『じゃあ、船を乗り換えようか』
先ほどの一周漕ぎをしているときに疲れた様子の子はタンデム艇に乗り換えたり、休憩したいという子は職員さんと一緒に岸に残ってもらう事にして、新たな組み合わせで漕ぎだす。
受験勉強で大変だという子は、タンデム艇で俺の前に。
『今まで漕いだ事は?』 『一度あります』 まだ表情は硬い。
『じゃあ、大丈夫だね。 短い時間だけど、楽しもう!』

漕ぎだすと、確かに漕いだ事があるようで、しっかりとパドリングできているが、緊張しているのか動きも堅い。
『おー、しっかり漕げるなあ。 大丈夫大丈夫』

俺もしっかりパドリングしてみる。 『どう? 結構スピードも出るやろう。 やっぱり海の上は楽しいなあ』
すると彼が、『ええ、楽しいですねえ』と嬉しい反応。

港の一番奥まで行き、『じゃあUターンして、出発地点に戻りましょうか』

『しっかり漕げるじゃん。 じゃあ、ゴールまでは任せるよ。 頼んだぞ』 『はい』
彼は一生懸命漕ぐ。 でも若干右に曲がり気味。
でもちゃーんと左にブレーキを入れ、方向修正して再び漕ぐ。 『おー、いいじゃないか。 ちゃんとブレーキで修正できてるよ』
横に職員さんの乗ったタンデム艇がやってきた。
『あまり手元を見ないで、行きたい方向をしっかり見て行こう』
『人生と同じや! 実際には難しいけれど、足下ばかり見てるんじゃなくて、しっかりと前を向いて漕いでいくんだー!』
職員さんは苦笑い。

ゴールに到着し、みんなで一旦休憩。
前に乗っていた彼は、これから再び試験勉強だとの事。 『えー、今から勉強かあ。 大変だけど頑張れよ! シーカヤックは楽しかったかい?』
今日最初にであった時は硬い表情であったが、今は人が変わったような満面の笑みで『はい!』

ボランティアのシーカヤック教室をやっていて、これほど嬉しい事はない。
時に厳しいが素晴らしい『海』には、そしてその海を自分の力で自由に漕ぎ進む事ができる『シーカヤック』には、人を変える素晴らしいポテンシャルがある事が良く分かる。

そう、俺自身、『人生で大切な事は全て海で学んだ』のである。

***

しばし休憩すると、『じゃあ、今年最後の漕ぎに行こうか』
『先生は、俺のシングル艇に乗って』
『え、良いんですか?』 『もちろん。 この夏ずっと、タンデム艇の後ろでシーカヤック部のために頑張ってきてくれたんだから、最後くらいシングル艇で自分の好きなように漕ぎたまえ』

Yさんと相談の結果、最後だから港の外まで出てみる事にした。

みんなでワイワイガヤガヤ。

防波堤に付いた貝やヒトデ、海の魚などを観察しながら、のんびりまったり漕ぎ進む。

『そうそう。 シーカヤックは漕ぐだけじゃなくて、こんな風に海の生き物を観察するのも楽しいんだよ』

橋の所に到着。 最初の頃は疲れた様子を見せていた女の子も、元気になってしっかり一人で漕いで来る事ができた。
今年初めて参加した高校生の女の子も、『楽しいです』と満足してくれた様子。

『ようし。 じゃあ最後の一漕ぎだ。 港まで戻るぞー!』


***

これにてこの夏のシーカヤック教室も終了。

あとは、毎年恒例の島渡りである。

今年の予定日は、天候に恵まれると良いなあ。 楽しみだ!

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夜は、8年目となるシーカヤック教室が今年も無事に終了した打ち上げ、ではなく、就活で呉に戻って来ている次男と一緒に呉ビールへ。

店に入るとほぼ満席。 『いやあ、昨日予約しておいて良かったなあ』

今日は、ビール飲み放題込み、2時間で一人3,900円のコースを予約してある。

今日される料理を楽しみながら、様々なビールを一つずつ試してみる。

ビールの種類によって、色も味も違うのが楽しい。



様々飲み比べた結果、ここでの二人の好みは、ピルスナーとケルシュということで意見が一致。


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帰りにちょっとだけ、呉名物『森田食堂へ』

これも二次会?

次男もこのお店の雰囲気が気に入った様子。

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2015年8月30日(日) 今日の朝はゆっくりと過ごし、『じゃあちょっと石風呂に行ってくるよ』

ちょうど11時半に石風呂に到着。

まだご主人が準備をされており、しばらく待つ事に。

忙しく働いておられるご主人に、『大変ですねえ』と声を掛ける。

準備が終わった後に伺うと、
『この風呂は、昭和25年頃に俺の親父が始めたんよ。 だからここは戦後スタートやね』
『親父は船乗りじゃったんじゃが、そろそろ船を降りよう言う事で、ここを始めた。 でも始めたのが55歳じゃったから、大変じゃったと思うよ』
『その頃には、瀬戸内にこんな石風呂が70位はあったらしい』

『この場所は、戦時中に大久野島を守るための船を隠すために掘られた穴があった。 近所の人は、せっかくじゃけえ、この穴を付こうて石風呂をやったらええが、いうてずっと言いよったんじゃと』
『ここの下は、コンクリートを剥がしたら船が入れるような構造になっとるんじゃ』

『わしが高校を卒業する前には、これで息子が跡を継いでくれるけん、ようやく楽ができるいうて親父が言いよるいうて近所の人から聞きよった。 じゃけえ、職業選択の自由度なんてなかったよ』と笑う。 『でもそのおかげで、俺達がこの風呂に入れるんですから、感謝してますよ』と俺。

『昔は、周防大島の方にも石風呂があったいうて聞いてます』 『うん、あっちの方が最初じゃなかったかのう。 たぶん、周防大島の方の石風呂が、徐々にこっちに伝わってきたんじゃと思うよ』との事。
なかなか興味深いお話であった。

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今日は少し遅めの12時スタート。

今日は人が少なく、最初は東京からの出張の帰りに寄られたという女性と二人だけ。
『人が少なくて、今日はのんびりできますねえ』

途中からは常連さん達もやってこられ、次第に賑やかに。

風呂でたっぷりと汗を流すと、床に敷いたドンゴロスにゴロリと横になる。

お茶を飲んで水分を補給し、音楽を聴くでもなく、本を読むでもなく、ただひたすら眼を閉じて体を休める。

約3時間。 たっぷりと汗を出し、疲れたからだと心をしっかりとリフレッシュする事ができた。

『あー、すっきりした! この週末もええ休みやったなあ』
シーカヤック教室も無事に終わったし、ようやく俺の秋が来た。 さて、来週はどこ行こう?

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