一年ほど前、私が勤務する職場の近くにイスラム寺院であるモスクが建った。寺院といってもイスラムは偶像崇拝ではないので、ただ集団で礼拝する場所があるだけである。日本人はイスラムに対して嫌悪感を抱く人が多く、特にアメリカで起きた9.11テロ以来、一段と厳しくなっている。モスク建設にあたっても、地元住人との軋轢は相当あったに違いない。イスラム教徒も、日本人に理解してもらおうと努力している。そのための交流会が開催されるというので、参加してみた。当日は、いろいろな国のイスラム教徒がいた。中国人も日本人もいた。どこの国の人であるか、どんな宗教を信じているかは、その人が信頼できる人かということとは無関係である。しかし私は、どうしてもイスラムを理解することができなかった。アラーがそのように決めたからというだけで、なぜ従うのか?女性に対する様々な制約は、女性差別ではないといいながらも、納得するわけにはいかなかった。一口に異文化交流と言っても、違う文化、宗教観を持った人たちとつきあっていくことは難しい。
上五島列島に小値賀島という島がある。佐世保から船で2,3時間程度ののどかな島である。その小値賀島のすぐそばにある島が隠れキリシタンの島、野崎島である。少し前までは住民がいたが今は無人島となった。かつての小中学校の建物を改装して宿泊施設としている。宿泊客は食材を持ち込んで自炊する。すぐそばに古い教会があり、関東方面や海外からも、ここを目指してやってくる。すばらしくきれいな海と野生の鹿がいるだけのこの島が最近TVや雑誌で紹介されたこともあって、年々訪れる人が増えたらしい。このゴールデンウィークに私たち家族はここを訪れ、自然を満喫した。想像以上に何もない島だったが、この島の自然は都会人を魅了する。どこまでも静かで風の音だけが聞こえる。野生の鹿たちがそこらじゅうで草を食んでいる。人間に気づくと様子をうかがって、じっと見つめる。その姿が可愛くておもしろい。