
BGB:『陰陽師 生成り姫』(夢枕獏著、文春文庫、2003年)//あまり自覚がない人もいるかもしれないが、誰しも「外面(そとづら)」と「内面(うちづら)」をもっている。「いつもニコニコしている人」や「いつも難しい顔をしている人」なんていない。当然、「いつもニコニコしている人」も難しい顔をすれば、「いつも難しい顔をしている人」も時には笑う。私たちはその人の「内面」を知らないだけのことだ。他人の表情を四六時中観察している暇など、私たちにはない。ということは、自分の周りにいる誰かの印象というものは実は一面的であり、粗削りな思い込みである。//あるきっかけを通じて、「自分はバカだった(アホやった)」と自覚することがある。だが、その原因を探り、しっかり意識化しなければ、油のように染み付いた「思考の慣性」は一向に変わらない。「おバカな考え方をしてしまう自分」は、その後も私やあなたの中に「長期駐在」する。/ふと気づくのは簡単なこと。でも、気づいただけでは記憶から消え、いつしか有耶無耶になる。/すると、ある日また突然、「おバカな駐在員」がひょっこり現れて、自分で自分に驚くことになる。「内省」や「自律」をすることで、いくら蓋をしようとしても、忘れた頃にまた這い出てくる。「自分」とは実に厄介。