
猛暑続きの今夏、ノウゼンカズラを這わした窓辺が、癒しの空間になっている。目に涼しいだけではなく、実際にみどリの葉が、暑さよけになっている。この場所が私の一番のお気に入りの場所だ。
ノウゼンカズラの左手に真っ赤な薔薇が咲いている。これは17年前に亡くなった主人の母が、横浜の家から移植したものだ。
何の手入れもしないのだが、四季咲きで、春一番から真夏まで順番に咲き続け、冬にも蕾をつける。1~2月には流石に蕾のまま凍った状態で冬眠しているが。
17年前に義母は80歳で亡くなっているのだが、この窓辺を明るく飾り、華やかにしてくれている。
芯のしっかりした所謂、外柔内剛の人だった。決して人を責めず嫌なことは自分の腹に収めて、いつもにこにこしていた。
乳癌がもとで亡くなったのだが、入院中も決して苦しいとか、要求がましいことは一切言わず、自分の運命を受容していた。
逆に私は実家の母に甘えるよりも、姑に甘えていた。子供の面倒から料理、洗濯まで家事一切を委ねていたのだから。
そんな嫁である私の悪口を、聞いたことが無い。
本当に包容力のある、忍耐強い明治の女性だった。
義母が亡くなって明日で18年目になる。亡くなった年も暑い夏だった。
油蝉がジージーと五月蝿いくらいに鳴いていたっけ。
命日を前に窓辺でそんな感傷に耽っている。