ボビーはスリランカからやって来た留学生。
大阪大学工学部で学んだ後、今春から東京大学工学研究科の
博士課程に進学した。
東京の留学生会館に落ち着いたと連絡が入った。
早速家に招待して一日一緒に過ごした。
礼儀正しい青年で、敬語、丁寧語など、日本の青年がほとんど使え
なくなっている言葉をきちんと使える。
スリランカでの生活や風習等、インターネットの情報を見ながら
話を聞いた。
「インドの下の方にあるセイロン島」ぐらいの知識しかない私には
歴史、文化等の話が聞けることは楽しかった。
日本人が薄れている家族愛の深さにも感動だ。
彼は上流階級の出だが、スリランカの貨幣価値では、
両親は日本に来れない。(教員の月給が2~3万円程度)
両親を日本に招待するために、少ない奨学金から少しづつ貯金をし、
アルバイトもして、稼いだ60万円で昨年招待したそうだ。
遠く離れて暮す息子と逢えた両親は、どんなに嬉しかったか、
そして安心したか、計り知れない。
両親は彼が出かける時、何時でも子ども達の頭に手を乗せて
安全と幸せを祈ってくれる。子供はお祈りが終わるまで頭を垂れて、
両親の愛を受けるのだとか。それは今でも続いているそうだ。
日本の家庭では、金銭的には豊かでも、大事なものを見失っているような、
そんな気がしてならない。
「あなたは、何を幸せでと感じますか?」
こんな質問に この青年も、バングラディツシュの青年も
「パパ、ママと呼び合い、家族で抱き合えることです」と。
帰りの駅で真剣な顔で切符を購入していた。