2021年の夏から秋にかけて汽水域のハゼ釣りをよくした。場所はJR桜木町駅に近い大岡川の河口、金沢八景の平潟湾である。どちらも昔に比べれば水質は格段に良くなっている。釣行回数は12回くらいなので、最高記録である。アルバイトを辞めて閑居時間が増したせいであろうか。夏に釣った小型サイズは唐揚げが最適。10月頃の秋口に育ったものは、焼いてから風干しする。乾いたら冷凍ストックして溜め込む。これを京番茶の煮汁で下煮する。煮詰まったら、昆布、三州本味醂、ザラメ糖、本醸造醤油、日本酒を出汁にしてコトコト煮詰める。
良書「自然流だし読本」(農文協)で展開されている化学調味料否定論旨を自分も貫いているのは自明の理である。これを大晦日に集まった友人やお客さんに振舞えたことは2021年の喜びの一つになっている。その甘露煮もそろそろ終わりになってきた。常連客の一人、元大型船舶の乗員Sさんは酒と魚というものの味を知り尽くしている。三重県の南端、尾鷲付近の黒潮が効いている海で釣りをしているから、ハゼのようなチンケな雑魚には、釣りの対象魚としては目もくれない。カンパチ、キハダマグロ、マハタ、クエの世界である。
そのSさんがビールを飲みに寄る度に肴として供するのが、やはり化学調味料無添加の大根醤油漬け、辣韮、この甘露煮である。無駄な事を喋らないSさんがビールと交互に甘露煮を摘んで満足そうな顔になっている。今年も三重県に帰っていないSさんのタイミングが合えば、横浜の知る人ぞ知る、岩井の胡麻油を使って揚げる、ハゼとメゴチの天麩羅にでも挑戦してやろうと思っている。
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