昨日のあさ、午前中の自由遊びでのこと。園庭で数名の子どもたちと泥んこ遊びをしていると、年長のある男の子が私のところにやってきて砂遊び用のボール(調理器具)をしばらく預かっておいてくれないかと言って差し出しました。見ると、中にはダンゴ虫やらワラジ虫やら大小さまざまな幼虫やらがうじゃうじゃと捕らえられ、入れられておりました。
「せんせい手に持ってちゃんとみててね」
「えっ、先生ずっと持ってはいられないよ、これからダム作りするんだよ」
「いいから、すぐ戻ってくるから」
「どこへ行くの?」
「オレ、絵本借りてこなくちゃなんないからさ。見てて」
「じゃあ、ここに置いておいてもいいかな?みてるから」
「う~ん」
そう言うと、彼はしぶしぶうなづいて私の足元にそのボールを置きました。
「せんせい取られないようにちゃんと見てるんだぞ!」
「だいじょうぶだよ、早く行っておいで」
彼は一目散に園の中へ走っていきました。
それからどれくらい時間がたったでしょうか。いろんな所から子どもたちが次々に私を呼ぶので、あちこちに気を取られてしまい、呼ばれた方へ行って話しを聞いたりしているうちに、ついうっかりそのボールに入っている虫たちを見ているのを忘れてしまったのです。
やがて、先ほどの年長児が園庭に飛び出してきて、全力疾走で私のもとへやってきました。
「せんせい、幼虫どうだった?」
「ああ、幼虫ね」
そう言って泥んこ山のすぐ脇に置いておいた幼虫の入ったボールのところまで行ってみると・・・。
「あーっつ!」私たちはそう叫んだまま絶句してしまいました。
そこには、泥んこを入れられてトロトロになるほど攪拌され、見るも無残な姿となったはかなき虫たちの姿がありました。事情をよく知らない年少児たちがお料理を作るために使っていたのですね。
それから、彼の怒りは一気に私へと向けられました。とにかく怒る怒る。罵詈雑言の雨あられでありました。どうしてちゃんと見てなかったんだよ!、と。ひたすら謝るアタクシではありましたが、彼の怒りはなかなか収まりません。仕方なく極上のミミズをつかまえて、彼のご機嫌をうかがうことに。それからさっそくミミズの採取に取り掛かりました。やがて2~3匹の大きなミミズを捕まえたので、その中でも一番大きくて太いミミズを彼のところに持って行くことにしました。彼はふてくされて鼻を曲げたまま風鈴堂の入り口に腰を下ろして、地面をじっと見つめていました。わたしが恐る恐る近づいていくと、彼はキッとした目で睨みました。
「かんせんせいが悪いんだぞ」
「まったくそのとおり。先生が悪かった。ちゃんと見てなかった」
「ふん」
「でもせんせいもいろいろ大変なんだよ。何しろしんじんの子どもみんなのせんせいだからね」
彼はそれについてしばらく考えていました。
「そこでお詫びのしるしにでかいミミズを捕まえたんだけど、これで許してくれないかな」
そう言うと、彼はそのミミズをじっと見て息を呑みました。それからやがて言いました。「いいよ」
「許してくれる?」
「うん。許してあげる」
我々はそれからまた気を取り直し、幼虫好きなほかの子どもたちと一緒に虫を探すことにしましたとさ。
「せんせい手に持ってちゃんとみててね」
「えっ、先生ずっと持ってはいられないよ、これからダム作りするんだよ」
「いいから、すぐ戻ってくるから」
「どこへ行くの?」
「オレ、絵本借りてこなくちゃなんないからさ。見てて」
「じゃあ、ここに置いておいてもいいかな?みてるから」
「う~ん」
そう言うと、彼はしぶしぶうなづいて私の足元にそのボールを置きました。
「せんせい取られないようにちゃんと見てるんだぞ!」
「だいじょうぶだよ、早く行っておいで」
彼は一目散に園の中へ走っていきました。
それからどれくらい時間がたったでしょうか。いろんな所から子どもたちが次々に私を呼ぶので、あちこちに気を取られてしまい、呼ばれた方へ行って話しを聞いたりしているうちに、ついうっかりそのボールに入っている虫たちを見ているのを忘れてしまったのです。
やがて、先ほどの年長児が園庭に飛び出してきて、全力疾走で私のもとへやってきました。
「せんせい、幼虫どうだった?」
「ああ、幼虫ね」
そう言って泥んこ山のすぐ脇に置いておいた幼虫の入ったボールのところまで行ってみると・・・。
「あーっつ!」私たちはそう叫んだまま絶句してしまいました。
そこには、泥んこを入れられてトロトロになるほど攪拌され、見るも無残な姿となったはかなき虫たちの姿がありました。事情をよく知らない年少児たちがお料理を作るために使っていたのですね。
それから、彼の怒りは一気に私へと向けられました。とにかく怒る怒る。罵詈雑言の雨あられでありました。どうしてちゃんと見てなかったんだよ!、と。ひたすら謝るアタクシではありましたが、彼の怒りはなかなか収まりません。仕方なく極上のミミズをつかまえて、彼のご機嫌をうかがうことに。それからさっそくミミズの採取に取り掛かりました。やがて2~3匹の大きなミミズを捕まえたので、その中でも一番大きくて太いミミズを彼のところに持って行くことにしました。彼はふてくされて鼻を曲げたまま風鈴堂の入り口に腰を下ろして、地面をじっと見つめていました。わたしが恐る恐る近づいていくと、彼はキッとした目で睨みました。
「かんせんせいが悪いんだぞ」
「まったくそのとおり。先生が悪かった。ちゃんと見てなかった」
「ふん」
「でもせんせいもいろいろ大変なんだよ。何しろしんじんの子どもみんなのせんせいだからね」
彼はそれについてしばらく考えていました。
「そこでお詫びのしるしにでかいミミズを捕まえたんだけど、これで許してくれないかな」
そう言うと、彼はそのミミズをじっと見て息を呑みました。それからやがて言いました。「いいよ」
「許してくれる?」
「うん。許してあげる」
我々はそれからまた気を取り直し、幼虫好きなほかの子どもたちと一緒に虫を探すことにしましたとさ。