「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

平成25年度「空港競争力強化事業費」373,000,000円

2013-06-17 20:15:00 | H25県予算評価
再開第1弾は空港関係予算の中から「空港競争力強化事業費」373,000,000円を紹介する。(なお、この予算は空港の収支計算、つまり赤字には算入されていない)

この予算の95%、3億5,567万1千円を占めるのが航空会社への支援を目的とした補助金である。(他には県職員の航空会社訪問旅費など)

この補助金の必要性について、県は「他空港との競争の中、より利便性の高い空港を実現するには、航空会社に対する運航経費支援や積極的な働きかけを行い、路線便数の維持・拡大を図ることが必要」として予算計上しているが、実質は路線維持のための損失補てんであり、しかも、なぜこの金額でなければならないのかという根拠は一切示されていない。
すなわち、増やすも減らすも行政のさじ加減次第というに等しいばらまき予算である。

先日来全国ニュースを騒がしている鹿児島県の県職員千人を上海に研修派遣する予算案であるが、その額は1億1,800万円。
目的は中国東方航空の鹿児島¥繩C線を維持するためであり、実質、本県の空港競争力強化事業費と変わるものではない。
しかも鹿児島では非難の声が上がる中、当初予定していたパスメ[ト申請費用の県費負担をやめたり、県民枠を設けたりしたにもかかわらず、いまだ理解の声は少ないようだ。

このことを比較すると不思議な錯覚に至る。
一方(静岡県)はお金を直接的に航空会社に与えるのみで非難が上がらず、もう一方(鹿児島県)は航空会社支援に加え研修という目的を付加し、かつ額も少ないにもかかわらず非難を受ける。
一方(静岡県)は職員のパスメ[ト負担に非難が上がらず継続を誇示、もう一方(鹿児島県)はマスコミの取り上げられたばかりに非難を受け負担を回避する。

これが今日の現実であり、現実とは如何に不条理であるかを示す事実でもある。

もう一つ。
安倍政権で打ち出された成長戦略第3弾の「10年間で1人当たり国民総所得(GNI)を150万円増やす」という目標であるが、あたかも国民の平均年収を150万円増やすかのように流布され批判を浴びているが、一方で本県では「県民所得が3位」であることが県民の平均年収であるかのごとく報道されても一向に問題にされない(※このブログ内を県民所得で検索されたい)。

とても同じ国の中のこととは思えない現実であるが、一級の専門家を含め様々な目で監視されこれを検証できる全国報道と少数の記者個人に依存し批判能力・検証能力を欠く地方報道の差がこれら不条理を放置している一因であることは疑いない。

批判のないところに緊張感は生まれず、このぬるま湯の中で県の役人が何をなすかは絶対権力が絶対的に腐敗するがごとく必然といってよい。

ゆえに、もし我々がここで暮らす人々の未来に責任を持とうと思うならば、我々自身が想像力と検証力を持たねばならない、行政監視を怠ってはならない、声を抑えてはならない、諦めてはならない、のである。


<予算調書>
「空港競争力強化事業費」