今年の元日スペシャル

今年の相棒の元日スペシャル、わりと好みでした。
警察は秩序の維持が目的で、正義を守る組織じゃないから、正義的にちょっと気になったからといって、与えられた任務を投げ出すことは無いし。
事故現場に居合わせてしまった場合、被災者は「救えるものから優先して救う」のが当たり前。
その個人に「救う価値があるか？」なんてことは吟味しない。
当たり前。

だけど。

やっぱ人間は正義を求めるものだし、警察組織に属する人間は、その傾向が強いのが本来のあるべき姿なのも当然の事。
救った人間がクズで、助ける価値の無い人間で。
救えなかった人間が高潔で、素晴らしい人間だった。

ここのところの右京さんの後悔と自己矛盾？的苦しみですかね。
そこがかなりツボでした。

以前右京さんが工場爆発の事故現場で助け出した少年は暴力団幹部の息子で、筋金入りのワル。
少年院に送られるも、出所後全く更生せずに特殊詐欺グループの元締めになって悪の限りを尽くしている。
反対に、唯一助けられなかった少年は、本当に立派で、生きていれば社会のために数えきれない人に幸せを届け、正義を成したに違いない。
それが確実だと言える子で。
悪を助けて正義を見捨てた。
意味不明の事をしてしまった。
しょうがないことだったとはいえ。
（まあ、人の命の選別は右京さんの主義には反するから、助けたことを後悔しているわけじゃないんですけどね）

話のクライマックスは、その運良く助かったのに全く改心せずに悪を続けている元少年のゴミを、助けられなかった少年の父親が拉致し。
こてまりの女将さんも一緒に拉致して
「どっちか救いたい方を選んでくれ」
と、命の選別を突き付ける。
選ばなかった方は射殺する、と。

良かったです。
良かったですけど。

……私としては、このゴミはとっとと殺してしまって、最後のクライマックスは別の男が命の危機に晒されるのかなと思ってたんですけども。
話の終盤で、どうも「少年院帰りだけど更生し、家族を持とうとしている元少年の男」が出てきたからさ。
復讐を遂げて、後に何も残らない苦しみに気づき、生きがいになりつつある復讐を継続しようと

「罪を犯した者はゴミだ。更生したように見えてもそれは見せかけ。どうせいずれ本性を現すに決まってる。その前に俺が始末する」

と、男と、身重の男の妻を拉致し、一家丸ごと殺処分しようとするとか。
そういうの来るかな～と。期待したんですけどね。
そっちの方があのクズ生き残らないから胸糞感軽くなるし、復讐は何も生まず、身を焦がせば自身も魔物になってしまう的な。
そういう味が味わえるかな、と。
思ったんですが。

無かったか～。
（冒頭で過去に戻れたとしたら、赤ん坊のヒトラーを殺すべき、ってアメリカ国民の大半が答えたって話があったから余計に）