素振りブログ。

一般でスピーチできる話の素振りのはずなのに、無理な話がほとんどのブログ。

先週の神社新報のコラムを読んだら、ミノタウロスの皿がネタにされてた

2021年01月24日 03時30分45秒 | 日記
私、神社業界を助けるため、みたいな気持ちと、単純に皇室行事を一番良く書いている新聞ということで、全国の神主さんが読んでいる神社新報を定期購読しているのですけど。
ちなみに週刊。1週間に1度、月曜日に届く。

で、先週分の神社新報を読んだら、コラムに「丑年ということで、藤子不二雄先生のミノタウロスの皿の話でも」という書き出しのコラムが載ってた。
久々に、ちょっと俗っぽい内容のコラムだなぁ。

漫画の話から来るコラム、久々に見た気がする。
……いや、鬼滅の刃の話から来るコラム、つい最近見たっけ?
読んだ端から捨てていくから確認できないけど。

……まぁ、それは置いといて。

私としては、かなり好きな藤子不二雄先生の短編漫画をネタにしてもらえて、面白かったわけですよ。

「ミノタウロスの皿」とはどんな話か?

宇宙飛行士の主人公が、事故で不時着した星。
そこはミノタウロスのような牛頭の知的生物「ズン類」が支配する星で、彼らは知性を持った家畜「ウス」を飼育していた。
ウスは食用にされる家畜で、その姿は人間そのもの。
主人公はそのウスの一人の少女に恋をする。
だけど、そのウスの少女は特級の食材に選ばれており、重要な祭典でメインディッシュに出されるという。
それを知った主人公は、ズン類の残虐な食文化を廃止させるために奔走する、というもの。

この話が面白いのは主人公が「ウスを食べるなんて残虐だ」っていくら訴えてもズン類に「はぁ? 何を訳の分からないことを言ってるんですか?」とまるで理解してもらえないことで。
主人公はそれを「ズン類の奴らは聞く耳を持ってくれない」と嘆く。
ズン類は不時着してきた自分を手厚く保護してくれた親切な知的生物だと思っていたのに、と。
で、主人公の努力も空しく、ウスの少女はその重要な祭典で活け造りの刺身で食卓に上がる。
(ちなみにその少女は大喜び。そりゃあ死ぬのはどちらかといえば怖いけど、ウスは食用で死ぬために生まれてきた種族。その運命から外に出ることなど考えられない。ウスにとってはどれだけ喜ばれて食材に成れるかが幸せなのだ、と)
で、救助の宇宙船が来て、主人公はそこに乗り込んで大好物のステーキを食べながら、泣きながら言うんです。
「ズン類は残酷だ」って。

……テメーだってズン類に似ている牛喰ってんじゃねーか。と読者は突っ込むわけですな。
この話のテーマは「他人と価値観が対立したとき、他人は他人の価値観である。放っておこう」とは思わず「俺の正しい価値観に修正してやる」と思ってしまう傲慢さ、だと思うんですよ。
で、それが叶わないと「相手が聞く耳を持たないのが悪いのだ」と思うところ。

この作品だとさ、主人公がとるべきだったのはウスを食べる習慣の廃止じゃなくて、そのウスの少女を買い取ることだったんじゃないの?
いや、手元に原作無いからひょっとしたらしてたかもしれんけど、途中で投げ出したのは明白なわけで。
だって「ウスを食べるなんて残虐だ」って言ったわけだし。

その少女だけ救えばいいのか? って?
そうですよ?

だってそれはエゴだもの。
どうしても我慢できないからやめて欲しいって思うなら、お金で買い上げてその少女一人を救うだけにとどめるべき。
それが妥協点だったんじゃないのかな。

そもそも論として、ズン類の食文化を残虐と思った原因は、その少女に恋をしたことなわけだし。
少女は嫌がるかもしれんけどそこは「俺はお前を買ったんだ」で押し通すしか。

……まぁ、こういう感じで面白い作品なので、未読の人は一読をオススメします。