思惟石

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【読書メモ】2011年5月 ④ドラゴンタトゥーの女

2019-09-24 14:26:47 | 【読書メモ】2011年
<読書メモ 2011年5月 ④>
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。


『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』スティーグ・ラーソン
友人Nおすすめの本。
Nは英語版で読んだとのこと。さすがです。
ミカエルとその周辺のジャーナリスト事情の話がベースかと思いきや、
途中から金持ち一族の内紛に焦点が。
気が散ることもなく両方楽しめて満腹。

(流行りましたね!
 <ミレニアム>シリーズ!!
 今となっては、ちょっと、懐かしい!!

 女子高時代の友人Nは大学院でイギリス留学をし、
 そのまま根を下ろしました。
 留学生時代は、味噌やほんだしを国際便で送り、
 卒業後はあちらにないコスメを送り、
 (オイルのメイク落としがないから送ってくれ!というメールがいきなり来た)
 2011年当時は『1Q84』の日本語版を送りました。
 お礼代わりに「邦訳が出たら読め」と薦められた次第。
 うむ、英語版を送りつけられなくて良かった。
 
 ちなみに私は、スウェーデンという国に関しては、
 大学の卒業旅行でバックパック背負って1日滞在したくらいで
 ぜんぜん知識がなくてですね。
 
 そんな感じでミレニアムを読んだわけです。
 小説としてのおもしろさ、完成度はさておき、
 とにかく衝撃的でした。
 「女性として生まれただけでこんなに暴力にさらされるの?
  この国、マジで日常的にこんな感じなの…?怖いよ!!!」
 と。スウェーデンに対してドン引き。
 
 スウェーデンの小説では、こういうシチュエーションや描写が
 一般的なの?修羅の国なの?と。

 結局、他のスウェーデン小説の内容は知らないままなんですが。
 『ミレニアム1』は原題が"Män som hatar kvinnor"(スウェーデン語)
 直訳すると「女を憎む男たち」となるそうです。
 そういうテーマを前面に出している小説なのね。
 作者は、シリーズ全体を通じて、
 女性の人権や暴力被害をテーマに据えていたのだそうです。

 
 なんというか、
 スウェーデン=社会保障と福祉の国=誰でも住みやすい、
 みたいなイメージあったから、
 スウェーデンという国に対してのイメージが揺さぶられたというか…、
 脳内の情報更新しないとな、と思いました。

 と言いつつ、いまだに「…IKEA?」レベルの知識ですけど。
 『長くつしたのピッピ』も読んでないままですけど…。

 ミステリ小説としてはね、あんだけ流行したので言わずもがなですが、
 おもしろかったですもちろん)
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嵐山光三郎『文人御馳走帖』ー『文人悪食』と併読しよう!ー

2019-09-20 19:38:51 | 日記
『文人悪食』『文人暴食』などの
文人シリーズで有名な嵐山光三郎の一冊です。

編集者だった嵐山氏チョイスによる、
文人たちの「食」にまつわる短編・随筆のアンソロジー。

ラインナップは、20世紀初頭の文人18名。

森鴎外、幸田露伴、正岡子規、泉鏡花、永井荷風、斎藤茂吉、種田山頭火、
高村光太郎、萩原朔太郎、内田百閒、芥川龍之介、宮沢賢治、川端康成、
稲垣足穂、林芙美子、堀辰雄、坂口安吾、檀一雄。

生まれ年の順番で収録されているので、
ゆるやか~な世代差・時代差とかも感じられます。
そうでもないか…?

個人的には、嵐山氏が自らの見解交えて書いた
『文人悪食』の方が好みなのですが。
第三者である嵐山視点の文人の「食」への嗜好『文人悪食』と、
文人ご本人が書いた「食」の描写『文人御馳走帖』、
両方を読み比べてみると、何倍もおもしろいと思います。

例えば森鴎外。
『文人御馳走帖』では、衛生学を学んだ軍医らしい一篇、
牛乳の栄養や細菌への注意をコンコンと説いている
『服乳の注意』が収録されています。
なんだか堅苦しい内容で、偉いお医者さんの書く
ありがたいお話しじゃのう…って感じである。
一方の『文人悪食』では、有名な必殺「饅頭茶漬け」のエピソード
(アツアツのごはんに饅頭のっけて煎茶を書けて食べる。
エクストリーム好物です)が併読できます。

また、読み物としては、
正岡子規や内田百閒、林芙美子など
食いしん坊で有名な文人の随筆が最高ですよねえ。
よだれ出そう。じゅるり。
アンソロより本人の随筆集でたっぷり味わいたい。

斎藤茂吉の随筆も良いんですが、
大好物の鰻の大きさを他人のお重と比べる
大人げないエピソードとかが好きだから、
第三者視点の方がおもしろいな。

(ちなみに、斎藤茂吉の息子である北杜夫による
実家がモデルの小説『楡家の人びと』もおもしろいですよ。
楡徹吉が斎藤茂吉。文学的なことは特にしていない設定になってますが)

芥川龍之介は、食の随筆とかなかったのかな。
この人だけ有名すぎる作品『芋粥』が収録されています。
が、
久しぶりに読んだらおもしろかった。
好物の芋粥を食べ過ぎてうんざりする話しかと記憶していたのですが、
そうじゃないんですね。
「馳走しよう」と言われた時点で、主人公の五位は逃げたくなるし、
大量の芋粥を見た時点で、絶望してるんですよね。
ほぼ食べてない。
なんか切ない…。
嵐山氏の解説も深い…。
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【読書メモ】2011年5月 ③

2019-09-19 14:02:24 | 【読書メモ】2011年
<読書メモ 2011年5月 ③>
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。


『赤ちゃんが来た』石坂啓
出産エッセイ。すごく面白かった!
90年のものだからか、少し古い情報もありつつ、
赤ちゃんとの暮らしって愛おしいし
あっという間なんだなと感じさせられる。

(作者は、手塚治虫のアシスタントも経験した女性漫画家さん。
 この本にも挿絵は描いているけれど、
 文章がメインのエッセイです。
 1990年に朝日新聞で連載されていたようです)


『食堂かたつむり』小川糸
ひどい出来ですね!
なにも言うこともないけど、
最後に鳩を食すのは森ガールもびっくりだろ…。

(森ガール、当時流行ってたなあ…。と、遠い目をして逃避する。
 鳩もアレですが、最後の豚を食すってのも、
 ゆるキャン層(森ガールを2019年的イマドキワードにしてみた)
 がビックリするんじゃないでしょうか。
 アウトドア上級者のブッシュクラフトキャンプ層でも引くと思う。
 まあ、小川糸に関して何も言うことはない)


『パプリカ』筒井康隆
おもしろかった!
筒井作品はほぼ読んだことがなかったけど、他も読んでみよう。
アニメ映画(今敏監督)も観ようかな。

(個人的には、筒井康隆と言うと、
 こどもの頃にテレビでよく見た「断筆宣言のオジサン」です。
 なので、作品を読もうという気にならなかったんですよね。
 未だに『ロートレック荘事件』と『パプリカ』くらいしか読んでない。
 『パプリカ』はおもしろいですよ!おもしろかったです!
 とはいえ、テレビで偉そうにしゃべるオジサンのイメージが
 強烈なんだよなあ…。
 そのうち「喝!」とか言っちゃいそうなオジサンの一味。
 『朝のガスパール』とか、読んでみたいとは思ってるんだけどなあ…)


『田紳有楽』藤枝静男
「田紳」は紳士ぶっているけど垢抜けなくて
どこか田舎くさい人の意らしい。なるほどー。
最初は私小説っぽいけど、どんどんファンタジーになっていくのは
おもしろかった。茶碗と金魚の恋とか。いいですよね。

(なんと、1974年の作品です。
 藤枝静男の本業は眼科医。
 志賀直哉の影響を受けているらしいですが、
 なかなか独特な奇想天外っぷりの作風です。
 これ「私小説」か…?
 一体どうなったら志賀直哉からこうなるんだ…?
 クレイジーで良い感じの作風です。
 
 当時、どういう経緯で読んだのか忘れましたが、
 川上弘美さんが何かで言及しているらしいので、
 多分、そこからでしょう)
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【読書メモ】2011年5月 ②

2019-09-11 17:20:37 | 【読書メモ】2011年
<読書メモ 2011年5月 ②>
結構、長編モノをがつがつ読んだ月です。
仕事も忙しかったはずなんだけど…大丈夫か、自分。
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。


『1Q84 book2』村上春樹
やはりハルキが好きである。
青豆のことが心配。
二人が無事に出会えるといいのだが、とはらはらする。
天吾に比べて状況がヘビーではないか。

(最初に刊行された際は、book1とbook2だけだったんですよね。
 出版と同時に読んだ人々はbook2のラストを読んで
 「え?これで終わりなの…」と戸惑う派と、
 「ねじまき鳥と同じようにもう一冊でるよね?」と期待する派に
 別れたような記憶が。
 翌年、無事にbook3が出ましたけどね。
 私はbook3まである状態で読めたので、
 book2の疾走感と、雷の夜の混沌と、ラストの「ちょ!」という
 盛り上がり、好きです)


『孤島パズル』有栖川有栖
火村先生じゃない方シリーズ。
なんだっけ先輩の名前。

(ちょ!
 先輩の名前を忘れるの、早すぎないか…?!
 <学生アリスシリーズ>です。
 先輩は江神さんです。
 まあ、前述したとおり、当時はあまり良いと思わなかったんですよね。
 青春臭いな!と思ってしまって。
 いま読んだら、違った感想になるのかな。
 ポンコツ脳みそのおかげでトリックも忘れたし(自慢することではない)
 再読しようかなあ)


『バナールな現象』奥泉光
独り言小説というか、ぼそぼそとつぶやき続ける小説というか。
嫌いじゃないしおもしろいと思うけど、無駄に長い。

(奥泉光、作品によって好き嫌いの振れ幅がでかいんだよなあ
 と、ぶつくさ言ったことがありますが。
 心から「合わない」と思ったのは、クワコー2作目3作目の
 ラノベっぽい表紙で中途半端な短編集になったやつだけです。
 他は総じて「好き!」で、この『バナールな現象』だけ
 ちょっと、他に比べると「好き」が少ないかなあ、
 ちょっとだけどね、という所感。
 要するに好きなんだな、奥泉光が)


『物語が、始まる』川上弘美
ちょっとファンタジックな短編集。

(表題作の『物語が、始まる』の他に『トカゲ』『婆』『墓を探す』
 の4篇が収録されています。
 中短編くらいの分量かな。
 雛型と暮らす女性とか、座敷トカゲに振り回されるとか、
 軽く説明しようと思うと、何言ってんだって内容にしかならないのですが、
 川上文学なので大丈夫ですホントにそういう内容なのに
 バッチリ文学ですおもしろくて、ちょっと切ないです)
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【読書メモ】2011年5月 ① 初エラリー・クイーン

2019-09-06 12:18:28 | 【読書メモ】2011年
<読書メモ 2011年5月 ①>
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。

『Yの悲劇』エラリー・クイーン
ドルリー・レーン氏四部作の二作目。
おもしろかった。
最後がちょっとわからなかったけど、
そういうとこも含めて「悲劇」シリーズなのかしら。

(クイーンは有名だし作品も多いですが、私はこれが初読でした。
 日本の作家で「クイーン好き!」な人は多い気がする。
 そのせいか、名前を目にする機会は多いんですよね。
 自分でも、一冊も読んだことなかったって、意外でした。
 自分の記憶も把握できてない安定のポンコツ感である。

 で、こちらは、ドルリー・レーンが主役の<悲劇4部作>。
 『Yの悲劇』が最も評価が高いですが、シリーズ的には2作目です。
 四部作をすべて読む気が少しでもあるなら、
 『Xの悲劇』から刊行順に読んだ方が良いみたいです。

 ところで、エラリー・クイーンって紛らわしいですよね…。
 いとこ同士であるダネイとリーの二人組による共著の作家名。
 且つ、作品内に登場する探偵の名前でもあります。
 複雑!

 そして、X~Zプラス一作がある<悲劇四部作>は
 発表時はバーナビー・ロス名義でした。
 探偵役は作者とは別名のドルリー・レーン。聴覚を失った元俳優。
 おお、なんか混乱してきた…。

 まあ、複雑なことはスルーして読書を楽しめば良いんですけどね。
 <国名シリーズ>も後学のために読んでおきたいな。
 ド定番(らしい)『ローマ帽子の謎(秘密)』を読もうと思う。メモ)
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