思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

【読書メモ】2012年10月①

2020-03-24 10:27:37 | 【読書メモ】2012年
<読書メモ 2012年10月①>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。

『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』村上春樹
(メモなし。
 女性向け雑誌『anan』連載のエッセイ<村上ラヂオ>
 3冊目です。
 大橋歩のエッチングがエッセイの雰囲気に合っていて、
 本当に!ステキ!です!(全部収録されているのかな?)
 宝くじを当てたら、氏のエッチングを買いたい。

 最初の『村上ラヂオ』は2001年。
 2冊目(再連載)は10年後の2011年だそうです。
 とぼけた内容と、読後に気持ちが軽くなるような文章と、
 大橋歩ワールドは変わらない安定感。
 村上エッセイの中でも、このシリーズ、特に好きなんですよねえ)


『東京日記 卵一個ぶんのお祝い。』川上弘美
内田百間(門構えに月)の同名エッセイにあやかったタイトル。

(2001年から2004年にかけて、
 雑誌『東京人』に連載されていたエッセイ。

 ちょこちょこ幻想的な風景や、現実バナレしてる出来事が
 シレッと、ふわっと、日記的に描かれています。
 んん?今の何だ?!
 って二度見しちゃうような、ふいに現れる不思議。
 でも、まあ、カワカミ的日常なのかな?と思わなくもない。

 ご本人はあとがきで「五分の四くらいは、ほんとうです」と書かれてます。
 なるほど!じゃあ、オッケー!!
 ファンとしてはガッツリ受け入れる所存である)


『暗く聖なる夜』マイクル・コナリー
ハリー・ボッシュは『わが心臓の痛み』の主人公だと
思っていたら、記憶違いでした。
ボッシュは『ナイトホークス』だ。
これは面白かった。
しかしハードボイルドというには短絡的すぎないか。
マーロウはもうちょっと冷静じゃないか?(そうでもないか…)

(この頃、マイクル・コナリーの作品をつまみ食いで読んだことが、
 3年後の<ハリー・ボッシュ>シリーズ一気読みの際の
 混乱の元となるわけです。
 まあ、自分の記憶力の雑さが全ての元凶なんですが)

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尾崎翠『第七官界彷徨』星5つ!!!

2020-03-23 10:57:19 | 日記
尾崎翠(おさきみどり)の代表作で、稀代の名作です!

私、なんで今まで読んでなかったんだろう…。
自分の迂闊さを呪いたくなりつつ、
久しぶりに良い読書ができたことを言祝ぎたいね!
手持ち無沙汰でフラッと立ち寄った私に
尾崎翠を平積みでそっとアピールしてくれてありがとう
アトレの明正堂書店さん!!

そんな名作『第七官界彷徨』はですね、
ちぢれた赤毛の女の子・小野町子が
ふたりの兄と従兄弟と暮らす下宿での日々を
不思議な感性と文章で綴ります。

分裂心理の医院で働く長兄・一助、
農学研究のため自室で「こやし」を煮る
(そして蘚(こけ)の恋愛を研究している!)次兄・二助、
調律の狂ったピアノで音楽学校浪人をしている従兄弟・三五郎。

独特な感性を持っている町子にも「変な家庭」と評される、
ヘンテコなメンツ。

なのに、なんだか妙に学術的で思索的な会話をします。
ステキ。

町子のちぢれ髪をきれいに切るために
研究室にしている自室を提供する次兄や、
衝動的に買ってしまったボヘミアンネクタイを
町子の女中部屋に飾ってあげる(?)三五郎の、
ヘンテコなやさしさ。
ステキ。

ちなみに兄たちは町子のことを「女の子」って呼ぶ。
なんだか80年代の少女漫画的ステキ感である。

町子の独特な感性や、不思議な描写にも
読んでいて惹き込まれます。

すごい小説だよ!
すごい小説家だよ!!

尾崎翠には現代作家にファンが多いというのもうなずけます。
現れた当時も、林芙美子や太宰治が衝撃を受けていたとか。

尾崎翠は、1896年(明治29年)生まれ。
この作品は35歳1930年の頃に執筆されたそうです。
蟹工船の時代だよ!!すごいな!!

ちなみに2009年に出た河出文庫版、装丁は名久井直子。
繊細で美しくて、ものすごく作品に合っています。
おすすめ!!
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泡坂妻夫『亜愛一郎の狼狽』

2020-03-16 14:58:37 | 日記
3冊の短編集が刊行されている<亜愛一郎シリーズ>の第1作。

亜愛一郎が初登場する『DL2号機事件』は、
作者のデビュー作でもあります。
レジェンド連城三紀彦と同じく、
『幻影城』主催の幻影城新人賞です。

幻影城新人賞は、たった4回しか開催されていないのに、
栗本薫や田中芳樹も出身だそうで。
『幻影城』すごいわ…。

安楽椅子探偵の亜愛一郎(あ・あいいちろう)は、
ギリシャ彫刻のような彫りの深い顔とセンスの良い服を着ている割に、
言動がポンコツです。
初対面の人は、だいたい見た目でテンション上がって
言動で落胆して、推理でちょっと見直す。
でもポンコツ。
という愛されキャラ設定。
ずるくないですか?!

『亜愛一郎の狼狽』は
さらっと読めるページ数の短編8本が収録。
1978年初版とのことで、
時代を感じる設定も多いけれど(団地族!)、
それはさておきで楽しめます。

通勤読書とかにちょうど良い内容と文量です。
時節柄、私の会社はリモート推奨になり
読書時間も大幅に減りましたが…。
(通勤時間以外で読書しなくなってしまったな…)
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【読書メモ】2012年9月②

2020-03-13 16:03:59 | 【読書メモ】2012年
<読書メモ 2012年9月②>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。


『卵の緒』瀬尾まいこ
ちょっと変わった性格の母親としっかり者の息子
という設定は鉄板だなあと思う。
が、とにかくセリフが良かった。
こどものこと「かなり好き」と言う表現も。

(2作の中篇が収録されてます。
 表題作が坊っちゃん文学賞大賞受賞作(2001)であり、
 作者のデビュー作でもあります。
 他に『7's blood』収録)


『武士の家計簿』磯田道史
猪山家に感情移入してしまう。
元気に暮らしているだろうか・・・知りたい・・・、

(映画化もされましたね。
 この原作は、小説ではなく、新書です。
 でも、めちゃくちゃおもしろい!!オススメ!!!
 『金沢藩士猪山家文書』という武家文書から発見された
 武家のリアル「家計簿」を、研究者の視点で解説してくれます。
 おもしろいですよ!!)


『女王蜂』横溝正史

『悪魔の手鞠唄』横溝正史
磯山警部かわいそう。

(相変わらずの金田一ブームです)


『向日葵の咲かない夏』道尾秀介
(これ、ネタバレのコメントです!
 すっごく辛口です!!!!
 ファンの方はすみませんね!!!

 どーでもいい方だけ、下方に、どうぞ。




 以下、2012年当時の読書メモ)

賛否両論みたいだが、ダメダメです。
3才児のセリフがへたすぎて、こりゃ犬かなんかだろ、
とすぐにわかる。
叙述トリックというらしいが、そんなに大層なものではないのと、
キ○ガイが都合良く出過ぎで、なんとか騙されてください!
という作者のダメさが出ている。ダメ。


(はい、偉そうにすみません…。
 なんか、読んでいてカチンと来たんでしょうね…。

 とはいえ、この作者の作品、悪くないんですけど
 あまりグッと来ないってのもある。
 貫井徳郎よりは良いとも思ってる)
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【読書メモ】2012年9月①『絡新婦の理』

2020-03-12 20:22:55 | 【読書メモ】2012年
<読書メモ 2012年9月①>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。


『絡新婦の理』京極夏彦
長かった…。
が、まあ面白く読めた!
複雑でわからないこともたくさんあるけど、
読みなおす気にはならない…。

(<百鬼夜行シリーズ>5作目です。
 まったくストーリーが記憶にないのですが、
 個人的にはこのシリーズは「ほう」が至高ですが、
 それはさておき、これ『絡新婦』はシリーズ中では
 読みやすいお話しとして位置づけられています。

 なぜならば!
 人類のめんどくさい思考代表の関口くんが
 ほぼ出て来ないからです。
 
 木場警部の常識を感じられる語りとか(結婚するなら木場さんだな)、
 榎木津の「クレイージー枠お前ひとりならOK!」な感じとか、
 めちゃくちゃバランスいいですよ!
 わかりやすいよ!!!

 京極堂も、関口くんも、迷走系クレイジーだからさあ、
 正直に言うとさあ、
 めんどくさいんだよ!!!お前ら!!!

 まあ、個人的には「ほう」が好きなんですけどね)
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